人手不足を未然に防ぐ

人手不足を未然に防ぐ

貴社では人手不足を未然に防いでいますか?

1.人手不足に至る諸問題を未然に防ぐ

東京商工リサーチの調べによると、「人手不足」が原因の倒産が増えています。2018年は11月までで362件。

これは前年同期対比で20%増です。

この調査は2013年からやられていますが、通年で最多だった2015年の340件を既に超えています。

人手不足が原因の倒産は飲食業や老人福祉・介護事業、貨物自動車運送業などのサービス業で多くなっています。

 

人手不足のタイプ別では、主なものは下記です。

・代表者の引退、病気で倒産に至る「後継者難型」が261件。

・事業を継続するだけの人材を確保できず倒産に至る「求人難型」が53件。

・待遇改善コストが収益を圧迫して倒産に至る「人件費高騰型」が24件。

「求人難型」の前年対増加率は特に大きく66%。

(出典:日本経済新聞社2019年1月6日)

倒産企業が多いのはサービス業となっていますが、中小製造企業の経営者の方々にとっても人ごとではないです。

他山の石としなければなりません。

 

大手企業トップの最大のしごとは自分の次を決めることと言われ、中小経営者もその点では同じですが、事情はかなり異なります。

大手は人材が豊富です。

したがって、トップの仕事は「選ぶ」となります。

一方、中小の場合、「育てる」という要因が多いのではないでしょうか。

 

「選ぶ」というより、親族含めて特定の人材をターゲットに育成する。

ですから、時間がかかりますし、そもそも、ターゲットにできる人材がいなければ事です。

 

時間を味方にじっくり育てるのが中小のやり方であるなら、そうした長期計画を実現させるだけの儲かる工場経営が前提になければなりません。

自転車操業のような経営では、長期計画を確実に進める風土や文化は現場にはないでしょう。

近視眼的です。気が付いたら後継者育成ができていなかったとなりかねません。

 

また、少子化が現実の問題となっている今日、求人対象の人材、とりわけ若手には働く場の選択肢がたくさんあります。

選ばれなければ来てくれないわけですから、職場として人材を引きつけるだけの魅力がなければ求人難に陥るのは火を見るよりも明らかです。

 

だからといって給料を上げようと背伸びをして収益を圧迫するようでは本末転倒です。

経営者にとって従業員の給料は将来投資のようなもの。

過剰投資は儲かる工場経営にとって重荷になりますが、その対象は設備だけでありません。

将来の頑張りを期待して投じる給料も同じです。

 

積極投資には資金が必要です。

ただ、不確実性の高まった昨今、借金は最小限に押さえ、できるなら会社のお金の範囲でやりたいと考える経営者は少なくないでしょう。

 

振るべき袖がなければ、原則、投資はあり得ませんから、付加価値額の最大化を通じて利益を最大化する仕組みを持つことが持続的な成長と発展に欠かせないことです。

このように考えると、「後継者難型」「求人難型」「人件費高騰型」、いずれにしても、これらの問題を問題として認識するようでは、その時点で既に遅いと考えざるを得ません。

 

弊社では、儲かる工場経営の品質管理のキモは未然防止策にあると考えていますが、人手不足への対応も全く同じです。

後継者がいない、人材が来てくれない、回収の見込みの無い将来投資をしてしまったなど、これらは、未然に防ぐべき問題です。

中小の現場にとっては、事後対応できる類いの問題ではありません。

そんな余裕はないのです。

 

先を見通して手を打ち、未然に防ぎます。

そして、それを実現させる前提条件が、安定した工場経営、持続的に付加価値額を積み上げる工場経営です。

持続的に付加価値額を積み上げる仕組みをつくり、人手不足に至る諸問題を未然に防いで下さい。

2.積み上げる型を明らかにする

先回のブログでは付加価値額生産性を向上させる余地がありませんか?と皆さんへ問いかけました。

持続的な付加価値額の積み上げこそが中小製造現場の生き残る策です。

それも効率良く積み上げたいので付加価値額生産性に焦点を当てます。

皆さんの現場での付加価値額積み上げ戦略はどのようなものですか?

 

付加価値額をどのように積み上げるか、そしてそれがどう現場からお金を生み出すことにつながっているのか、経営者が確固たる戦略を持っていなければなりません。

宝くじよろしく、蓋を開けるまで収益結果は分からない。

これでは儲かる工場経営をやっているとは言えません。

 

積み上げ構造を把握していなければ、収益上の問題が出ても具体策を現場へ指示もできず、こうした職場には、“頑張ってくれ”という科学とは真逆の精神論がはびこります。

儲かる体質を手にするためにも、積み上げる構造を明らかにしたいのです。

“型”がはっきりしていれば、改善活動もやりやすくやります。

“型破り”は型があってはじめて成立するからです。

3.人材を引きつける魅力ある職場づくりの前提条件

繰り返し申し上げていることですが、儲かる工場経営の要諦は「顧客に選ばれる製品を効率良く造る」ことです。

付加価値額生産性を高めることにあります。

日本の労働生産性(これは付加価値額生産性と同じ概念です)はグローバルに見ると決して高くありません。

日本の時間当たり労働生産性が1970年以降、主要先進7カ国でワーストを継続している事実があります。

さらに、比較的高いとされている製造業でも2000年以降、順位を落としている事実もあるのです。

 

今、話題の「働き方改革」にしても、行き着くところ、仕事のやり方を変えて、生産性を高め、国力を上げようと言うことに本質があります。

ですから製造業の99%を占める中小製造企業が製造業全体の、ひいては国内の生産性を高める牽引役を担っています。

 

大手製造企業の人時労働生産性が約6,500円であるのに対して、中小製造企業のそれは3,600円程度です。

5割強にとどまっています。

中小が大手に比べて低い背景には、如何ともし難い事情があるかもしれませんが、そもそも経営者が最初からそれ言っては不戦敗です。

現場改革自体が始まりません。

 

下請けだから……価格決定権がないから……こうした現状を打破しようと挑戦する経営者を弊社は後押ししたいと考えていますし、活力ある中小製造現場が増えて、今の職場で頑張ってきて幸せだった言える仲間が1人でも増えて欲しいと願っています。

 

ですから、儲かる体質を手にしていただくために、付加価値額を積み上げる構造、型をはっきりさせたいのです。

儲かっているにしても、なぜ儲かっているのか分からないと気持ち悪くないでしょうか?

詳細はセミナーやご指導でお話ししていますが、生産性向上の2つタイプ(XタイプとYタイプ)に基づいて付加価値額を積み上げるストーリーを立てるのです。

 

中小の現場では、まず、インプットを減らしてもアウトプット維持する取り組み(弊社ではこれはタイプXと称しています)に注目して下さい。

これは、いわゆる少数精鋭で筋肉質の現場の状態を意味します。

ベテランが抜けて、それを補完する人材がどうしても採用できない……あるいは、経営者の掲げた現場改革について行けずに会社を去る人材が出てしまった…..

 

中小の現場ではこうした事態に直面することが少なからずありますが、これを飛躍の機会としたいのです。

分母の「工数」が減っても、分子の「付加価値額」を維持できれば、あるいは少なくとも付加価値額生産性を維持できれば事業の継続は可能です。

そこから豊かな成長・発展のロードマップを描けます。

時間をかけて人材を引きつける魅力ある職場をつくりのです。

 

ただし、魅力ある職場づくりにも前提条件があります。

儲かる工場経営、効率良く付加価値額を積み上げる仕組みです。「型」です。投資をしたくても、振る袖がなければ何もできません。

そうした仕組みがあれば、「後継者難型」「求人難型」「人件費高騰型」、人手不足に至る諸問題を未然に防げます。

 

付加価値額を効率良く積み上げる仕組みをいっしょにつくりませんか?

次は貴社の番です!!

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製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)