中小製造業のIoT化、どうやって背中を押せばいいのか

中小製造業のIoT化、どうやって背中を押せばいいのか

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」日本海軍の大将であった山本五十六が残した有名な言葉だ。親や上司が子供や部下に接する際の基本的な心構えとして人気がある。まず自分がやってみせて背中を見せる。基本的なことだが、人を動かす第一歩はここから始まる。

▼日本はIoTで海外に比べると遅れていると言われている。特に日本の企業のほとんどを占める中小企業で導入がなかなか進んでいかない。なぜだろうか?コストや人材という物理的な制約はもちろんだが、最大の要因は心理的な部分にある。「やろう・やらなければならない」と踏み出すところまで機が熟していない。これはやる側だけでの責任ではなく、製品やサービスを提供する側、IoTを後押しする側にも問題がある。特に山本の言う「やってみせ」「言って聞かせて」が十分にできているだろうか?

▼ユーザーは製品の機能やスペックではなく、どんな効果があったのか、どれだけの利益・メリットを生むのかを知りたがっている。しかし、IoTをやっていますと胸を張り、どれだけの投資で、どんな効果が出たのか、自社での実践例を具体的な数値としてオープンにしている企業はほんの一握りだ。そこが不明瞭な状態で「導入しませんか?」と言われても心は動かない。まず自身がやってみせ、その結果をユーザーに公開する。IoTのビジネスを動かすのはそこからだ。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。