不景気の今こそ次のステップへの準備を

不景気の今こそ次のステップへの準備を

人はジャンプする時、膝を曲げ、腰をかがめて下に向けて力をためる。そしてそこから膝を伸ばし、体を反らして、上に向けて一気に力を解放して跳び上がる。

高く跳ぶ動物の代表例でもあるカエルやバッタ、ノミなども太くて強靭な足を折り畳んでバネのようにして何倍もの高さまで跳び上がる。

当たり前の話だが、膝を伸ばしたまま、上半身を立てたままでは高く跳ぶことはできない。

 

スポーツに詳しい人に言わせると、高く跳ぶためには筋肉を鍛えるだけではダメだそうだ。体を柔らかくして可動域を広げることと、パンっと一瞬で全身を動かす瞬発力が必要だという。

体操選手を見れば分かる通り、彼らは筋肉の塊でありながら、体は柔らかく、動きは機敏。体の一部に頼らずに全身を使うことで、あれだけ高く跳び上がることができるのだそうだ。

ぐっと縮んで力をためることと、柔らかさと瞬発力が秘訣だ。

 

いま製造業の景気は良くない。しかし、それは好調だったここ何年間かの反動が来ているだけであり、長期的に見れば右肩上がりだ。いわば筋肉は鍛えられている。日本が力を持っている生産設備や電子部品、自動車は今後も伸びる分野であり、いまは次のステップに向けて力をためる時期。短期的な市況だけで慌てる必要はない。

忙しくなれば目の前の仕事で一杯になり、成長に向けた長期的な準備はできなくなる。逆に今こそ力をため、次の時代を見極めて柔軟に人や組織を再構築できる貴重な時期だ。

力をぐっとためつつ、アタマも体も柔軟にし、タイミングを見て一気に力を解放する。従来の常識にとらわれず、高く跳び上がるためのアイデアを試してみよう。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。