ベライゾンCIOヴィック・バガッド氏語る IT革新を推進する最新トレン...

ベライゾンCIOヴィック・バガッド氏語る IT革新を推進する最新トレンド IoT時代を成功に導く

ベライゾンは、アメリカ・ニューヨークを拠点とし、アメリカ国内だけで1億1390万件超の契約数を持つ無線通信事業をはじめ、グローバルで無線・有線通信サービスを提供する通信大手。世界で16万1000人以上の従業員がおり、2016年度には1260億ドル(約14兆円超)の売り上げを上げるなど、世界のIT・ネットワーク業界に大きな影響力を持っている。このたびCIOであるヴィック・バガッド氏が来日し、IT変革を推進する最新トレンドと、CIOの役割について語った。

フォーカス分野3点

はじめに、同社がフォーカスしている分野が3つあるとし、1つ目に「インテリジェントネットワーク」を挙げた。世界のほとんどの企業がクラウドとIoT化に高い関心を持っており、それを支えるものとしてのネットワークの重要性が高まっていると解説。

「世界の企業は、データをクラウドに移行したいという考えがあり、そのためにはセキュリティを確保しておくことが大事になる。また多くの企業がIoTを使って収益を上げる企業になりたいと思っている。IoTではすべてのデバイスがネットワークにつながっていて、どんなに優れたデバイスでもネットワークに接続されていなければ単なるものである」(バガッド氏)。

そして同社では、SDNなどで実現するインテリジェントネットワーク、セキュアコネクテッドインターネット、インテリジェントクラウドコントロール、5Gといった技術を一つにまとめ、ネットワークアズアサービス(NaaS)の提供を行っているとした。

2つ目がセキュリティに関する「アドバンスドセキュリティ」。すべてのデータは通信トラフィックとしてネットワーク上を流れている。ネットワークの流れの異常の有無、その対象となるIPはどれかといった情報はネットワークセキュリティで決まり、アナリティクスやSDPの提供を通じてセキュリティインテリジェンスの実現をサポートしたいと話した。

3つ目が「アドバンスドコミュニケーション」。大規模な企業同士のコラボが必要となっていて、社員やパートナー、顧客も世界中にバラバラに存在している。それを連携させるには、従来のコミュニケーション手段では難しく、動画と音声、チャットを融合したユニファイドコミュニケーションが必要となるとした。特にアジア地域は多国籍企業の本拠地であり、企業としても何ができるか考えている。

変わるCIOの役割

また企業経営のなかでIT活用の重要性が高まり、企業のITや情報戦略をつかさどるCIO(最高情報責任者)の動きがビジネス成功における大きなポイントになっている。今はCIOに求められることが変わってきているという。

「これまでのCIOは、自社の情報システムを整備すれば良く、内向きで社内向けのリーダーだった。しかし今は利益にフォーカスし、モダンなIT環境とセキュリティ環境を構築し、顧客体験をいかに高めるかがキチンとできていなければならない。それができないCIOはCareer Is Over(CIO)だ」(バガッド氏)。

しかし日本の製造業ではCIOが存在しないケースが多い。いても名前だけの場合が多く、IoTの普及が進まない原因がここにある。ベライゾン・ジャパン藤井一弘執行役員社長は、これを解消するためには、CEOやトップの意識改革が必要だと指摘した。「日本ではシステム担当がCIOのような役目をしていることが多い。また役員でCIOとなっている人でも実務がわかっていないケースはよくある。CEOや社長がIT戦略を明らかにし、CIOにどんな活動を求めるのかを明確にすることが大切だ」(藤井社長)

今後についてバガッド氏は「ユーザーは皆、デジタル技術で変革をしたいと思っている。それに対しベライゾンとしてお客さまがどういう方向に進めたいのか、どうするかを一緒に考える。インテリジェントネットワークがどんなサーバーや機材で構築されているかどうかは重要でない。ネットワークを使って何かをしたいという要望に対し、ソリューションを提供していきたい」と話している。

参考:ベライゾン


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。