フランクな現場交流の大切さ

フランクな現場交流の大切さ

ハノーバーメッセに日本から「ツアー」で行ってきた。ツアー参加者は全員日本人。メーカー、商社、ユーザー、設計技術者、製品企画、営業など、さまざまな企業から職種も違う人々が10数人集まった。

各社一人での参加がほとんどだったので、お互いが自然と交流し、色々な意見が聞けて参考になった。

 

特定の企業の動向を探りにきた人、大まかなテーマを決めてその世界動向を調べにきた人、日本と海外の違いを感じることを第一義としてきた人など、それぞれの目的はバラバラ。

具体的には、機器の省配線化のヒントが欲しいと言ってケーブルや機器メーカーに絞って巡る人、OPC UAやIO-Linkなど産業ネットワークの動向を各団体で聞く人、競合社の最新製品をじっくり調べたいとして数時間も同じブースに張り付く人、とりあえず全エリアを歩いてまわった人などがいた。

メーカーに所属する人は技術や製品にフォーカスを絞り、商社の場合は自社の取扱製品の企業を押さえ、そこからそのライバルメーカーへと範囲を広げるパターンが多く、思考と行動の違いが分かれていたのが興味深かった。

 

ツアー最後の夕食時、参加者にこの視察旅行の満足度を聞いた時、印象的だったのが、展示会巡りが楽しかったことはもちろんのこと、ツアー参加者同士の交流が一番の収穫だったという人が意外に多かったこと。普段の生活では、協力会社や取引先以外と交流する機会はほとんどなく、今回は同じような立場や境遇の人とフランクに交流できたのが良かったという。

見学後、一緒にテーブルを囲み、複雑な人間関係や企業間の微妙なパワーバランスを忘れて、展示会の様子を肴(さかな)にワイワイと話し合う。そうした時間に没頭するのが楽しかったという意見が多かった。

オープンイノベーションや共創、つながることが重視されるこの時代、現場レベルもフランクな交流や意見交換を求めている。内情を聞くと、会社がそうしたことを推奨していない、積極的でないという企業は多い。社員の自発性に任せるのと同時に、オープンな交流を促進する文化を企業が作ることが重要だ。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。