ディズニーと知的財産権
特許が取得されている「ファストパスシステム」
今やほとんどの方が1度はディズニーランド・ディズニーシーに行ったことがあるのではないでしょうか?いわゆる夢の国、子どもだけでなく大人まで楽しい気分になれますよね。
行ったことのある方はご存知かとおもいますが、アトラクションの待ち時間の長さをなんとかするシステム「ファストパス」があります。
専用の機会で発券を受けることで、通常の列より早くアトラクションに入れるというシステムです。
発券さえ受ければずっ行列に並んでおく必要がなくなるので、その間に他の楽しみ方ができるようになりました。
このファストパスシステムですが、これにも特許権が取得されていることはご存知でしょうか?
特許第4475455号「アトラクション入場管理方法及び装置」
この特許の出願書類には
客は並んで待つが、これを好む客はいない。人々は、列に並んですごした時間は無駄になった時間だと感じる。客は、並んで待つ代わりに他のことができるように、後になって列ができていないときに戻ってくるほうがよほどよいと思っている。この問題は特にアミューズメントパークで深刻である。
と記載されています。ゲストの視点からの問題点を挙げていますね。
ゲストの立場で考えればアトラクションの待ち時間は大問題、この問題の解決の必要性からファストパスという発明が生まれたのでしょう。まさに、必要は発明の母です。
ちなみに「ファストパス」「FASTPASS」は商標登録もされています(商標登録第5460988号、第4505420号)
ディズニーは常に知的財産を意識している
例えば、作品やグッズに表示されているディズニーの名称やロゴの横にはⒸマークがついています。
このマークは、コピーライト(Copyrights)の意味で、著作権者であることを主張しています。
ちなみに、Ⓡマークは、登録商標(Registered symbol)の意味です。アメリカの法律で、アメリカ特許庁で登録された商標に付けることとされているものですが、他の国でも同じように付けられていたりします。
ディズニーは著作権に敏感なのは有名です。
例えば、ウォルトディズニーが初めて上映したミッキーマウスの映画は1928年に公開されており、既に84年が過ぎています。
日本の現行法であれば、映画の著作権は公表から70年で権利が消滅することになります。
それにもかかわらず未だにディズニーは著作権を主張します。国によって法律が違うからというのもありますが、実はアメリカでは、ディズニーの著作権の期限が切れそうになるたびに、法律を改正して著作権を延長しているのです。
その結果、最初は「作者の死後10年まで」だったのが、著作権延長法という法律により延長して現在のように70年も保護されるようになっているのです。
著作権延長法は、ミッキーマウスのために著作権が伸びているということでミッキーマウス保護法とも呼ばれています。
このように書くとディズニーが独占的で悪者のように聞こえてしまいますが、正当な著作権を主張することは決して悪いことではありません。
著作権の扱いを疎かにすれば、例えば少し前に話題になった中国の偽物テーマパークも、そのキャラクターを正当なものとして扱っていたでしょう。
世界に1人しかいないはずのミッキーという価値を守るためにも、著作権の管理を徹底することが必要なのです。
他人事ではない!
日本の小学校で卒業制作の一環としてプールの底にタイルでミッキーマウスの絵を描いたそうです。
そして、そのことをしったディズニーは、著作権を根拠にその絵の撤去を求めました。
一時はニュースでも話題になりましたが、非情な対応として苦情もあったようです。
しかしながら、一事が万事、安易にキャラクターを使わせないという意味でも必要な対応との苦渋の判断があったのかもしれません。
法律はルールです。安易なキャラクター利用は同様の事案を招きかねませんので、注意しましょう。
出典:『ディズニーと知的財産権』(発明plus〔旧:開発NEXT〕)