デジタル時代のソフトウエア信頼性の証明

デジタル時代のソフトウエア信頼性の証明

製品の価値のあり方が、かつてはハードウエア一辺倒からソフトウエアに傾き、そして今、ハードウエアとソフトウエアの両方が大事であると言われるようになった。極端な振れ方から、ちょうど良いところに落ち着いた感じだ。

でも気になることが一つある。ハードウエア部品はBOM(部品表)があり、その仕入れ先や製造者をさかのぼることができる。製品に含まれる成分なども材料レベルまで分析され、明文化されている。そうした管理によって品質が担保でき、安心安全性を高めている。万が一何かトラブルがあっても対処できる。

その点、ソフトウエアはどうだろうか?

 

かつてのソフトウエアは、技術者が自らゴリゴリとプログラムを書いていた。だから何かあっても責任の範囲が明確で、さかのぼることが可能だ。

一方、近年はソフトウエアもオープンソースソフトウエア(OSS)を使ったり、外部業者に制作を任せたりすることが増えた。ソフトウエアもコードという材料や部品の集合体で、構図としてはハードウエアと同じ。

しかしソフトウエアはハードウエア以上にオープンな世界と文化であり、これまで違う歴史を歩んできた。いまさらハードウエアのように構成成分を分析したり、サプライチェーンの全体像と詳細を把握し、管理することは難しいだろう。

 

いくら便利で効率的になると言っても、人の命に勝るものはない。産業やインフラの分野で、最も気を配らなければならないのは安全性とそれを担保するためのセキュリティだ。

セキュリティを高めるには構成要素の把握と履歴の管理が重要となるが、ソフトウエア開発ではそこが十分に行えているとは言いにくい。

デジタル時代、「信頼性の証明」がビジネスのカギを握る。これまでのITの世界で通用したものとは異なる、産業やインフラのデジタル時代に合わせた、新たなソフトウエアの信頼性、安全性の証明が大切だ。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。