サーマル・NP用語集(さ行)

サーマル・NP用語集(さ行)

サーマル・NPに関する用語をまとめた用語集です。

 

サーマルヘッド
英文表記:thermal head
サーマルヘッドとは、微小発熱体を整列配置し、画像データに対応した通電により選択的に発熱体を加熱するサーマルプリンタ用記録デバイスをいう。製造方法から厚膜ヘッドと薄膜ヘッドに、また、印画時の形態からシリアルタイプとラインタイプに分けられる。

 

サーモプラスチック記録
英文表記:thermoplastic recording
サーモプラスチック記録とは、熱可塑性のプラスチックフィルムに電子ビームを直接照射して静電荷パターンを作成し、次に加熱により静電荷パターンに相当する変形歪像を得る記録方法を指す。

 

サーモプラスチックホログラム
英文表記:thermoplastic hologram
サーモプラスチックホログラムとは、サーモプラスチック(熱可塑性樹脂)を使用したレーザホログラムを指す。原理的に微細な干渉縞を記録するのに適している上、加熱により直ちに現像、記録状態を確認できる利点がある。(=光サーモプラスチック記録)

 

残留磁化
英文表記:residual magnetisation
残留磁化とは、強磁性体に外部磁界を加えて磁化したとき、外部磁界を除いた後も残る磁化をいう。残留磁気(residual magnetism)ともいう。永久磁石や記憶装置・マグネトグラフィに使われる磁気記録媒体はこの現象を利用して記憶機能を実現している。

 

ジアゾカップリング反応
英文表記:coupling reaction of diazonium salt compound
ジアゾカップリング反応とは、ジアゾニウム塩化合物と、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、芳香族アミン、活性メチレン基を有する化合物など(これらをカプラと称する)との間に生じる結合反応。アゾ染料を生成する。ジアゾ複写紙、光定着型感熱紙に利用される。

 

ジアゾニウム塩化合物
英文表記:diazonium salt compound
ジアゾニウム塩化合物とは、分子内にジアゾ結合を有する化合物の総称。カプラと呼ばれる化合物と反応して色素を形成するとともに、露光により分解して色素形成能を失う性質を有するため、さまざまな記録材料に利用されている。

 

示温塗料
英文表記:thermos paint
示温塗料とは、温度変化により色相が変化する塗料。色相変化が可逆のものと非可逆のものがあり、可視的に温度を計測する、あるいは温度履歴を確認する目的で用いられる。

 

磁荷
英文表記:magnetic charge
磁荷とは、磁気の源は磁石の極に集まっていると考えられ、磁石のN極には正の磁荷が、S極には負の磁荷があるとして扱う。クーロンの法則が成り立ち、同符号同士の磁荷間には反発力が、異符号同士の磁荷間には吸引力が働く。磁石では正負の同じ大きさの磁荷が対になって存在する。

 

磁化曲線
英文表記:magnetization curve
磁化曲線とは物質に磁界を加えたときの、磁界と磁化の強さ(または磁束密度)の関係をプロットしたものをいう。強磁性体の場合、磁界を大きくするにつれて、磁化の強さが大きくなっていくが、ある程度以上の磁界になると磁化の増加が少なくなり、やがて飽和する。磁界を減らしていくと磁化も減っていくが、磁界を増していくときよりも磁化は大きい。磁界をゼロにしても残留磁気が残る。逆方向に磁界を加えていくと、やがて磁化はゼロになる。ヒステリシスカーブ、B-Hカーブ、M-Hカーブともいう。

 

磁化転移領域
英文表記:magnetic transition region
磁化転移領域とは、磁気記録ヘッドから記録媒体に加える磁界を反転させたとき、記録媒体内で徐々に磁化の向きが反転する領域をいう。この領域には磁荷が生じて、マグネトグラフィでは磁性トナーが吸引される。

 

磁化率
英文表記:susceptibility
磁化率とは、ある物質に磁界を加えて磁化したとき、磁界の強さ(H)とその物質の磁化の強さ(M)との比(M/H [H/m])をいい、磁化のされやすさを表す。

 

磁気記録媒体
英文表記:reverse transfer
逆転写とは、熱転写に最適な温度以上の高温で転写が不充分になる現象のこと。また、順次カラーインクを重ねる際に、先に転写した色のインクが後から重ねて転写しようとする色のインクリボンに付着して剥ぎ取られる現象(トラッピング)をいう場合もある。

 

磁気記録媒体
英文表記:magnetic recording medium
磁気記録媒体とは、磁気記録ヘッドから生ずる磁界により磁化されて、残留磁化パターンが記録される媒体をいう。硬磁性材料から成り、マグネトグラフィの代表的な磁気記録媒体はCo-Ni-Pのメッキ膜で、アルミニウムドラムの表面を覆っている。

 

磁気記録ヘッド
英文表記:magnetic recording head
磁気記録ヘッドとは、磁気記録媒体を磁化するために信号に対応した磁界を発生するヘッドをいう。リング状のコアにコイルが巻いてあり、コアの一部が非磁性体になっていて、そこから記録磁界が発生する構造になっている。コアにはパーマロイ、フェライトなどの軟磁性材料が使われる。

 

磁気光学シャッタ
英文表記:magneto-optical shutter
磁気光学シャッタとは、直線偏光した光が磁場内におかれた等方性の物質中を磁界方向に進むときに、その偏光面が回転する性質(ファラデー効果)を利用した光シャッタのこと。2枚の偏光板の間に素子を置いて使用する。1μs 位の短い露光時間を得ることができる。

 

磁気消去
英文表記:magnetic erasing
先に記録されて残っている磁気潜像を消すこと。磁気記録媒体に直流磁界を加えて一方向に均一磁化する方法と、交流磁界を加えて残留磁化をゼロにする方法とがある。(=消去、消磁)

 

磁気スタイラス記録
英文表記:magnetic stylus recording
磁気スタイラス記録とは、導電性かつ強磁性のスタイラスの先端と絶縁層との間に導電性磁性トナーを配置し、トナーを磁気力でスタイラスの先端に吸引させておき、選択的にスタイラスに電流を流して電気力でトナーを絶縁層の上に残す画像形成技術をいう。

 

磁気潜像
英文表記:magnetic latent image
磁気潜像とは、マグネトグラフィにおいて、磁気記録媒体に記録された画像に対応する磁化パターンで、現像前の見えない状態をいう。

 

磁気双極子
英文表記:magnetic dipole
磁気双極子とは、N、 S 両極がきわめて接近して存在しているものをいう。両磁極の磁荷は符号が逆で同量である。磁化された磁性体では必ず両端に N 極と S 極とが対になって現れる。磁性粒子のような小さな磁性体が磁化されると、磁気双極子として振る舞う。

 

色素受容層
英文表記:dye receiving layer
色素受容層とは、昇華転写記録において、インクフィルム(染料ドナーシート)より染料が転写することを容易にし、かつ固定化する層のことで、受像紙の表面に塗布される。染料受容層、受像層ともいう。ポリエステル樹脂などが用いられる。

 

磁気チェーン現像
英文表記:magnetic chain development
磁気チェーン現像とは、マグネトグラフィの現像法で、トナーが記録媒体と接する領域でトナーをチェーン状に結合させて記録媒体の磁気潜像に供給する。画像部では磁気潜像の吸引力がトナーのチェーン結合力に勝るので、トナーが潜像側に移り、非画像部ではトナーが移らない。(=弱磁界現像法)

 

磁気プリンタ
英文表記:magnetic printer
磁気プリンタとは、磁気潜像を形成し、磁性トナーにより可視像化してハードコピーを作るプリンタのこと。消去-記録-現像-転写-定着-クリーニングのプロセスを経る。一度潜像を記録すると、現像以降のプロセスを繰り返すだけで高速で極めて多数のコピーができる。

 

示差走査熱量測定
英文表記:differential scanning calorimetry
示差走査熱量測定とは、基準物質と試料とを同時に一定の速度で加熱するとき両者の間に生じようとする温度差を 0 に保つように電気エネルギーを与え、その熱量を記録する。時間(横軸)に対して熱量変化(縦軸)を記録して示差熱分析曲線(thermogram)を得る。これにより試料物質の熱的特性を解析する。略してDSCと呼ばれることが多い。測定機は示差走査熱量計である。

 

支持体
英文表記:substrate
支持体とは、インクシートや受像紙の構成材料で塗布層を保持させるための担体をいい、ベースフィルム、基材とも呼ばれる。インクシートでは支持体上に滑性層および色材層を形成する。染料熱転写用受像紙の支持体は断熱性とクッション性が重要である。紙、合成紙、PETフィルムなどが用いられる。

 

滲み出し機構
英文表記:exudation mechanism
滲み出し機構とは、溶融型熱転写記録においてインク層全体が転写するのではなく、インク層を構成する非転写性の構造中から色材成分が滲みだすように出てきて記録媒体へ転写する機構のこと。(=石垣構造)

 

弱磁界現像
英文表記:weak magnetic field development
弱磁界現像とは、マグネトグラフィの現像法で、記録媒体の磁化を消さないように比較的弱い磁界を使い、トナーを磁気チェーン状に結合させて磁気潜像に供給する。(=磁気チェーン現像法)

 

受像紙
英文表記:receiver paper
受像紙とは、転写記録法において最終的に画像が形成される記録用紙のこと。紙や合成紙等の支持体上に色素を受容する層を設けるのが一般的である。

 

昇華
英文表記:sublimation
昇華とは、加熱により固体が直接気体になる現象で、昇華転写記録はこの現象を利用して画像記録を行う。ただし、現在のサーマルヘッドで加熱する昇華型熱転写方式では染料は昇華現象ではなく、転写、拡散により画像が形成されると考えられている。(=昇華型熱転写法)

 

昇華型熱転写法
英文表記:dye sublimation thermal transfer method
昇華型熱転写法とは、昇華性染料を薄層フィルムの片面に塗布しておき、これを受像シートと密着させてフィルム背面から加熱することにより昇華性染料を受像シートに移行させて画像記録を行う方式をいう。最近は非昇華性の染料が使用される場合が多く、拡散型熱転写法との区別は実質的になくなっている。(=拡散型熱転写法)

 

昇華性染料
英文表記:sublimation dye
昇華性染料とは、加熱により固体から気体に状態変化する染料を示すが、現在では昇華あるいは拡散型熱転写法に用いられる、インクフィルム(染料ドナーシート)から受容層へ転移することのできる染料全般を示す。

 

消去
英文表記:erase
消去とは、先に記録されて残っている磁気潜像を消すこと。磁気記録媒体に直流磁界を加えて一方向に均一磁化する方法と、交流磁界を加えて残留磁化をゼロにする方法とがある。(=磁気消去、消磁)

 

消磁
英文表記:sublimation
消磁とは、先に記録されて残っている磁気潜像を消すこと。磁気記録媒体に直流磁界を加えて一方向に均一磁化する方法と、交流磁界を加えて残留磁化をゼロにする方法とがある。(=磁気消去、消去)

 

消色型二色感熱紙
英文表記:discolor type two-color thermal paper
消色型二色感熱紙とは、低温加熱時と高温加熱時で異なった色相に発色する二色感熱記録紙において、高温加熱時に低温で発色した画像が消色するもの。レコーダ等に用いられる。

 

触媒退色(触媒褪色)
英文表記:catalytic fading
触媒退色とは、記録媒体上の染料が共存する他の物質の触媒的働きにより、選択的に劣化する現象。例えば、青色の画像において、画像を構成するマゼンタ染料が共存するシアン染料により増感された一重項酸素等の活性酸素種の影響で加速的に褪色する現象。

 

垂直記録
英文表記:perpendicular recording
垂直記録とは、磁気記録媒体の膜面に対して垂直方向に磁化すること。磁荷は膜の表面に現れる。

 

制御電極アレイ
英文表記:control electrode array
制御電極アレイとは、イオンフロー記録方式において発生したイオン流を制御するのに用いられる電極列を指す。通常は、穴あき電極対を列状に並べたものが用いられる。

 

静電記録紙
英文表記:dielectric-coated paper
静電記録紙とは、静電記録方式に用いられる記録媒体をいう。表面の絶縁体層の他に導体層を併せ持つことが多い。最近では大型プロッターの出力用に用いられることが多く、パルプ紙の他に合成紙が使われる場合もある。

 
静電記録方式
英文表記:electrostatic printing
静電記録方式とは、媒体表面に表面電荷像を形成し、これをトナーで現像して記録する方式の総称である。広義には光導電体表面に電荷像を形成する電子写真記録方式まで含んで使用されることもあるが、通常は気中放電等を利用して絶縁体の記録媒体表面に電荷像を作成する記録方式を指す。多針電極記録方式、イオンフロー記録方式がこれに含まれるが、特に前者を指していう場合が多い。(参照:多針電極、イオンフロー記録方式)

 

セキュリティ印刷
英文表記:security print
セキュリティ印刷とは、記録材料の一部に特定のバーコードあるいは類似の印刷を施すことにより、指定されたプリンタ以外のプリンタでの記録を不可能とする機能を有する印刷を指す。技術的に使用可能であるか否か未確認のいわゆるサードパーティ品の転用を防止する。

 

セラミック基板
英文表記:ceramic substrate
セラミック基板とは、セラミックを材料とした基板のこと。サーマルヘッドに使用している。セラミック材料は主としてアルミナが使用される。

 

染着層
英文表記:dye receiving layer
染着層とは、昇華転写記録において、インクフィルム(染料ドナーシート)より染料が転写することを容易にし、かつ固定化する層のことで、受像紙の表面に塗布される。染料受容層、受像層ともいう。ポリエステル樹脂などが用いられる。(=色素受容層)

 

全面グレーズ
英文表記:flat glaze
全面グレーズとは、サーマルヘッドの基板上に形成したガラスを主成分とする蓄熱層をいう。基板全体に形成したタイプを全面グレーズと称し、発熱体近傍にのみ形成したタイプを部分グレーズと称する。

 

染料ドナーシート
英文表記:dye donor sheet
染料ドナーシートとは、染料転写型記録方式で用いる熱転写用インクシート(リボン)をいう。加熱ヘッドにより加熱された部分のインク層中の染料が受像シート側に転写され画像が形成される。

 

増感剤
英文表記:sensitizer
増感剤とは、記録材料において、記録エネルギーの低減を目的に添加される素材をいう。主に、記録速度の向上を目的に添加される。光増感剤、熱増感剤などがある。

 

ソルベントコーティング
英文表記:solvent coating
ソルベントコーティングとは、熱溶融性インク層や染料熱転写層の構成素材を有機溶剤中に溶解あるいは分散して塗工液として仕上げておいて支持体上に塗布する方法のことで、溶剤塗布とも呼ばれる。対立する方法には水系塗布、ホットメルト塗布などがある。

 

提供:一般社団法人 日本画像学会


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。