サービスロボ 安全運行、日本主導で国際規格

サービスロボ 安全運行、日本主導で国際規格

産業競争力強化へ追い風

日本は世界的な産業用ロボットメーカーがひしめき、世界有数のロボット大国としてイニシアチブを握っている。

市場が拡大しつつあるサービスロボットに対しても、このほど安全運用に関する国際規格が日本主導でスタートすることになり、これをきっかけに日本のサービスロボットの産業競争力の強化の追い風としたい。

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サービスロボットは施設案内や飲食物の配膳、清掃、警備などで実用化が始まり、その市場も年々拡大傾向にある。国際ロボット連盟(IFR)の予測では、サービスロボット世界市場は22年には家庭用・業務用を合わせた市場は18年の3.8倍となる495億ドル(5兆2965億円)に達するとしている。

また直近では、新型コロナウイルスの蔓延により、ソーシャルディスタンスの確保、ロボットによる人の作業の代替への関心が高まり、駅や商業施設等の人の日常空間でのロボット活用へのハードルが下がってきている。そのためロボットが人に危害を与えない、安全性の確保が必須の状況になっている。

そうした状況に対し日本では、世界に先駆けてロボットの安全に対する基盤整備を進めてきており、2014年には日本提案によるロボットの製造者に対する要求事項としてサービスロボットの国際安全規格ISO13482が発効。

さらに19年にはロボットを用いてサービスを提供するロボットサービスプロバイダに対して、安全な管理や運用に関する要求事項を体系化、標準化。新JIS法におけるサービス分野規格第一号として「JISY1001サービスロボットを活用したロボットサービスの安全マネジメントシステムに関する要求事項」を制定するなど安全運用と国際標準化に対して世界をリードしてきた。

 

今回、JISY1001を基に規格案を国際標準化機構(ISO)に提案。ロボットの安全に関する技術委員会ISO/TC299(ロボティクス)に新たな作業グループWG7が設立され、日本が議長職となって議論を進めることが決定した。

規格案では、公共の場所等で、一般の人を対象にしたロボットサービスを提供する際の安全性を確保したり、周囲の第三者への影響を考慮する必要がある場合を想定し、ロボットサービスプロバイダが実施すべきリスクアセスメントや安全管理、教育、運用体制、マネジメントシステムなどについて規定する。

日本が中心となって国際標準化を進めていくことにより、世界的にロボットサービスが安全・安心に運用されて普及につながり、国内市場の創出・拡大、さらには世界に向けた産業競争力の強化につながることが期待される。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。