キャッチフレーズと商標権の関係

キャッチフレーズと商標権の関係

テレビコマーシャルでは、商品名とは別に用いるキャッチフレーズによって印象を増幅させる工夫が見受けられます。インパクトのあるキャッチコピーは、商品の印象を脳に焼きつける効果があるようです。

このキャッチフレーズですが、知的財産としてはどのような扱いなのでしょう。

「Always Coca-Cola!」このフレーズを聞いて、覚えがある方はいらっしゃいますでしょうか。コカ・コーラ社が以前にテレビコマーシャルなどで用いていたフレーズです。このフレーズを聞けばあの清涼飲料水をイメージできるという方が大半かと思いますので、大変良いキャッチフレーズだといえます。

実はこのキャッチフレーズの中の「Always」の部分に似た商標として、「オールウエイ」という言葉の商標権を持っている人がいました。そして、その商標権を保有する権利者がコカ・コーラ社を相手どって訴訟を提起した、という事件がありました。
確かにこのキャッチフレーズには、商標登録「オールウエイ」(に類似する部分)が含まれますが、コカ・コーラを購入するような消費者は「Always Coca-Cola!」を見聞きした際に「Always」はキャッチフレーズの一部であると認識し、それが商標であるとは考えない。すなわち、「Always Coca-Cola!」の使用は「オールウエイ」の商標権の侵害ではない、と裁判所はこのとき判断しました。

キャッチフレーズともいえるようなものが商標登録がされることはあります。しかしながら商標とは商品を識別する目印ですから、目印としての用いられ方をしない場合には商標権の侵害とは言えないのです。

キャッチフレーズと商標権の関係

出典:『キャッチフレーズと商標権の関係』(発明plus〔旧:開発NEXT〕)


弁理士。コスモス国際特許商標事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。知的財産権の取得業務だけでなく知的財産権を活用した製品作りの商品開発コンサルタントを行う。知財マッチングを展開し、ものづくり企業の地方創世の救世主として活躍している。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標の活用を応援するWEBマガジン「発明plus Web」( https://hatsumei-plus.jp/ )を運営している。