アマゾンのロケット開発から夢の大切さを知る
自社事業に枠を設けず、顧客へ届ける「コト」に注目して提供できるものを考える、という話です。
1.あのアマゾンが再利用可能な宇宙ロケットの開発?
Amazon.comと言えば小売業の世界にインターネットを導入して革命を起こした通販会社というイメージが真っ先に浮かびます。
そのAmazon.comの最高経営責任者(CEO)のJeff Bezos氏はBlue Origin社を率いていますが、この会社は宇宙開発のベンチャー企業です。
通販の会社が宇宙開発??
この宇宙開発ベンチャー企業は2015年11月に「再利用可能な宇宙ロケット」の試験飛行を成功させました。
その様子はTVでも報道されていましたので、打ちあがったロケットが地上に着陸した様子を目にした方も多いと思います。
同社のロケット「New shepard」の先端には6人乗りのカプセルが搭載されています。
初の試験飛行では、米テキサツ州西部の砂漠にある発射場から打ち上げられました。
約100kmの高度で、先端に搭載する6人乗りカプセルを切り離しました。
分離されたカプセルは宇宙空間に4~5分滞在し、無重力状態と窓からの青い地球の姿を楽しむことができます。
その後、カプセルはパラシュートを使って地上に戻ってきます。
一方、ロケット本体の方ですが。
これまでのロケットでは高価なエンジンを搭載するロケット本体を使い捨てにしていました。
かってアメリカのスペースシャトル計画では軌道船が航空機と同様な形状をしており、3基のメインエンジンを搭載したこの機体が地球に帰還していましたが、打ち上げで使われる2本の細長い固体燃料補助ロケットは使い捨てだったはずです。
それに対して、同社のロケット「New shepard」では、エンジン部分で使い捨てするところがなく、全くそのまま全て戻ってきます。
カプセルを切り離した後、ゆっくり降下してきた液体燃料ロケット本体は、高度約1500mでエンジンに再点火し、高度な姿勢制御によって地上にふわりと着陸しました。
発射位置からわずか1.4m程度しか離れていない位置に見事に着陸成功。
完全自動運転であり、パイロットは搭乗せず、地上管制センターから監視します。
ロケット本体を再利用できるならば、打ち上げコストを飛躍的に安くできます。
Amazon.comの最高経営責任者(CEO)のJeff Bezos氏が狙うのは、一般の人が安価に宇宙旅行できるサービスです。
有人宇宙飛行の価格破壊を起こそうとしています。
実用化に向けた日気宇実験を繰り返して、早ければ2017年にも商業サービスを開始するようです。
「完全に再利用できるロケットは(宇宙産業を変える)ゲームチェンジャーだ。
再び燃料を入れて飛行させる日が待ちきれない。」
Bezos氏の言葉です。
(出典:『日経ものづくり』2016年1月号)
そして、2016年1月に再利用(打ち上げ・着陸)に成功したと発表しました。
Bezos氏は同日、再利用実験の動画を添付した「中古ロケットは飛べるかな? 動画と技術的詳細はこちら」というツイートを投稿しています。
Amazon.comが描く夢の実現に一歩近づいたと言えそうです。
それにしても、垂直状態を維持しながら着陸する様は何度見ても感動します。
(出典:『ITmediaニュース』2016年1月25日)
2.トップが描く夢が大きければ大きいほど現場は元気になる
通販の会社が宇宙開発?? と思いましたが、一般の人の利便性を高めたい、イノベーションで価格破壊を起こしたい、という思いは通販にも、宇宙開発にも共通の信念であると思います。
つまり、Amazon.comの最高経営責任者(CEO)は事業分野を特定することなく顧客へ届ける「コト」に注目して、自分の信念を貫いているのではないでしょうか。
通販事業と宇宙開発事業は、顧客へ届ける「コト」視点で見ると同じです。
Bezos氏にとっては、両方の事業が自分の中ではなんら違和感なく存在しているのだと思います。
特定の分野にとらわれない柔軟性のある考え方と強い信念があってこそ、できる事業の多角化です。
ユニークなビジネス、イノベーションを引き起こすような事業の発祥の地は日本ではなく、他の国々であることが多いような気がします。
経営者が描く夢の大きさに違いがあるように思います。
通販のAmazon.comが宇宙開発事業を進めているのです。
自社事業に枠を設けず、顧客へ届ける「コト」に注目して提供できるものを考えましょう。
創業時の頃の熱い想いや経営理念を今一度、かみしめるのもイイと思います。
夢は大きければ大きいほどイイです。
(やりましょう日本初、目指しましょう世界一!)
大きな夢は現場の感情を揺さぶり、感動を引き起こすことで共感を生みます。
現場が熱中して仕事に打ち込む環境が出来上がります。
現場を熱くしたい、一体感を醸成したい、と考えたら世界初でも、日本初でも、あるいは地域初でも、経営者が何か大きな夢を熱く語ることです。
大きな夢を描いて、会社を、工場を成長させることは経営者にしかできません。
現場の従業員は皆、社長の描く大きな夢を聞きたがっているはずです。
自分の人生をかけて働いている工場が将来、どんなにワクワクするところになるのか……。
まとめ。
自社事業に枠を設けず、顧客へ届ける「コト」に注目して提供できるものを考える。