アナログとデジタルの配合

アナログとデジタルの配合

ここ数年の製造業では「手作業やアナログ業務をやめてAIやロボットにまかせてデジタル化し、生産性を上げよう」といった論調が目立つ。私たちメディアもこうした表現で訴えてきたが、最近は少し違和感を抱いている。

 

デジタル技術をもっと使って生産性を上げることには大賛成だが、仮想敵を作り、それを否定することで自らを持ち上げる形の常套文句があふれ、少々うんざりしている。

「アナログからデジタルへ」の構図はその通りであっても、このデジタルツールを導入すれば簡単に効率化できるというばかりで、提案に中身がないことが多い。要はツールの売り込みと使い方相談に終始し、ユーザーの都合はどうあれ、デジタルという流れを盾に自らの型にはめ込んでいく。もちろんそうでないケースもあるが、単純な図式に当てはめて、マイナス感情をあおってデジタル化を進めようとする。そうした手法があふれていることがDX推進の足かせになっているのではないかとも思ったりする。

 

「アナログからデジタルへ」は二者択一では決してない。適材適所であり、アナログでやった方が良いケースもある。また、以前は「アナログとデジタルの融合」なんて言葉も言われてきたが、今はもうそんな時代ではない。今求められているのは、「アナログとデジタルの適切な配合」だ。

単純に溶かし合わせるのではなく、ユーザーや業務を細かく分析し、それに適したアナログとデジタルの組み合わせを考える。いかにユーザーに寄り添えるか、今も昔も価値はそこにある。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。