アズビル 自動はんだ付け検査にAI活用、データ蓄積し品質向上
アズビルは、AI(機械学習)技術をはんだ付け後の検査工程への活用を進めている。
自動はんだ付け装置を使ってセンサーのパッケージをプリント基板へはんだ付する工程で、8カ所のはんだ付けの状態を16台のカメラによって撮影しているが、はんだ付けの合否判定にはこのカメラ画像を活用するとともに、その検査データを蓄積してAIを合否判定のサポートへの利用を目指しているもの。
同社では、自動調節弁や差圧・圧力発信器などに内蔵するセンサーのプリント基板へのはんだ付け作業を、人のスキルに依存した手作業から自動はんだ付け装置への移管を行っている。こうした製品は使用する環境に過酷なところが多いだけに、はんだ付けにもより高い信頼性が要求される。
ハンド付け作業は熟練の技が求められる工程で、人でも習得が大変な技術と言われているなかで、その技術を自動はんだ付け装置へ置き換えることはさらに高度な技術が必要になる。「はんだ付け後の形状は毎回異なり、テンプレートのような定型作業はできない」(アズビル技術開発本部關宏治工程開発部長)だけに、同社は16枚のカメラ画像を利用して、良否判定を行っている。
はんだ付けの状態に点数を付けて合否判別するとともに、不具合の状況と画像を関連付けてデータを蓄積することで、AIで判別できる環境を整備している。
AIを活用することで、不具合の発生する可能性を色別(緑、赤、白)に表示して検査作業者に情報をフィードバック。検査時の注意喚起に活用している。「最終的には検査から人を無くして、AIによる判断で行うようにする計画だ」(關部長)。
現在、国内のマザー工場である湘南工場(神奈川県寒川町)と藤沢テクノセンター(同藤沢市)の自動はんだ付け装置の検査工程で、AIを活用した合否サポートを実施している。今後は手作業ではんだ付けを行っているタイなど海外の工場でも自動はんだ付け装置を使い、作業者が変わっても安定したはんだ付け技術が維持できるようにしていく考えだ。