ものづくりの火を絶やすな

ものづくりの火を絶やすな

マスクが不足しているとのニュースから、アイリスオーヤマやシャープなどこれまでマスクを製造していなかったメーカーがマスク製造に乗り出したり、服飾メーカーが技術を生かしてオリジナルマスクを作ったり、はたまた個人が自ら布地を買って自分用のマスクを手作りしたりと、あらためて日本人のものづくりの底力に感動した。

自分たちの工夫でこの苦境を何とかしてみよう。こうした気持ちが勇気を与えてくれる。

 

中国では製造ラインの転用や空きスペースにマスク製造装置を据え付けてマスク製造を始めたという。アメリカやヨーロッパでも、マスクではないが、医療従事者向けの医療用具や医療機器の部品を、普段はまったく異なる製品を作っているメーカーが製造を開始したなど、こうしたニュースは後を絶たない。

世界が総力を挙げて新型コロナウイルスに対峙していることが分かると同時に、この短期間で製造品目を変えられるという柔軟性とスピード感にも驚きだ。

こうした動きは紙の図面で専用機を使って製品を作っていた時代にはできなかっただろう。いま私たちはデジタル化の実力を目の当たりにしている。

 

私たちが生きているのは肉体が動くリアルな世界。そこで起きていることは、リアルな物質でなければ解決はできない。ものづくりは偉大であり、素晴らしい社会活動であり、それをなくす、弱くすることは決してあってはならない。

こうしている今も製造現場は動いている。そこでは、多くの人々が命をかけて頑張ってくれている。

彼らに感謝しつつ、人とデジタル技術を融合しながらこれからのものづくり強化のあり方を真剣に考えなければならない。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。