【製造業再起動ブログ 】第1話『グローバル化とグローバル人材』

【製造業再起動ブログ 】第1話『グローバル化とグローバル人材』

日本の製造業は必ず復活する。
日本がバブル崩壊以前の成功に再び戻ることは期待できないが、中小製造業(これからはローカル企業と呼ぶ)の底力で必ず復活する。

復活の条件は、『ローカル企業の再起動』

ローカル企業の再起動には、『ローカル企業のグローバル化が必須である』
ローカル企業のグローバル化は、日本の大手企業が取り組んできた”グローバル化”とは違う

『ローカルの特徴を活かし、ローカルに根を張って、世界に扉を開く事』。これが、ローカル企業の再起動の中心軸である。

全10話でお届けする、『ローカル企業の再起動で日本の製造業が復活する』の第1話では、
”グローバル化とグローバル人材”をテーマに、間違ったグローバルの認識を投稿する。

①:【日本大手企業はグローバル化に成功したのか?】

世界で戦う日本の大企業群、最近元気の無い企業が増えてきた。

日本人が誇りに思うソニーの輝きも既に過去のものとなってしまった。

家電、弱電、機械、自動車など多くの業界でも、多くの大企業が凋落の危険を抱えている。
これが残念ながら日本企業の現実であり、避けられない現実でもある。

日本の大手企業はバブル崩壊以降、「グローバル化」という旗印を掲げ、「グローバル標準」を社内に取り込んだ結果、日本古来の雇用と経営システムを破壊した。
社内では、リストラ後遺症を抱え、モチベーション低下の進行に悩み、マーケットシェア低下に苦しんでいる大手企業が数多くある。

グローバル化を旗印に規模拡大に邁進した日本の大手企業は、世界競争で勝ち続けなければ存続できないが、現実には新興国で韓国や中国の企業に負け、出口の見えない戦いを余儀なくされている。

戦後の日本経済を牽引した大手企業が少しずつ力を失い始めている。

②:【間違ったグローバルの認識】

★グローバル化とは、『海外売上を増やすこと!』と信じている?

今やグローバル化という言葉はあまりにも一般的である。
我が社のグローバル戦略は・・・どこでも聞く言葉である。
日本の企業がグローバル化を掲げる背景に、『日本市場が収縮して売上が厳しいので、海外売上を増やそう』という意図が透けて見える。

”グローバル”という言葉は、バブル崩壊以降になって日本企業に定着した。
”インターナショナル”ではなく”グローバル”が正しい表現と認識された。

でも、その意味の本質を誰も考えることなく、真のグローバル化を理解もせず、”グローバル”という言葉は、企業や社会のなかで当たり前の言葉になってしまった。

そして”シフト・グローバル”なる奇妙な新語も流行った。
『我が社の方針はシフト・グローバルである』みたいな・・、これを聞いた社員は、海外売上を増やそうという経営陣の意思を理解しても、自分が何をすべきか?多分誰も分からなかったに相違ない。

『海外売上の比率を上げよう。』『海外の競争相手のシェアを奪うのだ』『新興国を攻略しよう』・・・このような経営方針が ”グローバル化” と思ったら、大きな間違いである。

グローバル市場とは、多様性を持つ市場である。
一つの価値観に固守せず、多様性の変化に対応しなければグローバル化はできない。

グローバル化とは、世界の多様性を受け入れることである

★グローバル化とは、『海外に進出すること』と信じている?

加工貿易という言葉は、日本の製造業の象徴的言葉として、明治時代から続く日本の国家戦略のように信じられ、多くの人は日本は輸出大国であると信じている。
家電や自動車など、かつて日本の製品が世界中に売れていたので、『日本は輸出大国だ!』
『日本の経済は、輸出で支えられている!』と信じられている。

しかし、戦後の日本の経済成長は、日本国内の内需に支えられてきた。
もちろん、日本の大企業は世界中に自社製品を輸出し、大きなブランドを世界に作ってきたことも事実であるが、やはり日本の経済モデルは内需中心であり、大企業の売上は日本国内の需要に大きく依存してきた。

日本の多くの企業が、バブル崩壊以降デフレや少子化の影響も重なり、内需拡大に限界が生じ国内売上が大幅に縮小した。海外にどんどん進出して、売上を海外で伸ばさないとマズイ・・だからグローバル化だ!ーーこれが大きな間違いーー

グローバル化は、そんな簡単なものではない。
日本の内需をベースに作られた製品を(グローバル化の掛け声だけで)世界に売ることなど無理な相談である。

『地産地消だ!海外に工場を作くろう。』『海外販売拠点を強化しよう。』『日本人社員を海外に派遣しよう』・・これがグローバル化と信じている大企業の幹部もたくさんいる。

海外に進出することばかりがグローバル化ではない。

グローバル化とは、世界に扉を開くことである。

★グローバル化とは、『英語を学ぶこと』と信じている?

最近、英語教育が注目され、小学校から英語を勉強することが奨励されている。
グローバル人材には英語が必要。日本人は英語の会話能力に乏しい。などが理由らしい。

人類のあらゆる人々と接するには、確かに英語は必要である、
しかし英語は単なる道具にすぎない。
英語力も大切だが、本当に大事なことは日本人としてのアイデンティティーである。
幼少の頃から英語をがっちり勉強し、TOEIC満点近い実力を持つ英語力を身につけても、英語力という武器だけで国際社会で生き抜くことはできない。

グローバル化とは、英語を学ぶことではない。個人個人が、『日本の歴史』『日本の文化』を学び、日本人としての誇りを持つことである。

③:【グローバル人材とは!!】

グローバル人材とは、世界で通用する人を言う。
世界で通用するとは、国際社会でビジネスができる人を言う。

国際社会は、多様性の社会である。
歴史、文化、宗教、言語が全く異なる人々とのなかで、相手を尊重し、自分が認められなくては、ビジネスなど出来るわけがない。

自分の価値観やアイデンティティを明確に発信しないと、グローバル人材にはなれないし、多様性の国際社会で認めてもらうことが出来ない。
グローバル人材になるためには、自分の原点を作らねばならない。
グローバル人材と呼べる人は例外なく日本人としての原点を持っている。日本人としてのアイデンティティを持ち、自分の意見を強く発信できる力を持っている。

普通の日本人は時として知らない人(特に白人)に対して、控えめになる傾向が強い。
結果、知っているはずの英語も話さない。笑顔も苦手。ハグなど絶対ダメ。
こんな控えめな日本人は、日本では美徳でも、国際社会では通用しない。
下手をすると”対人恐怖症”と思われてしまう。

グローバル人材とは、祖国愛のある人。アイデンティティが明確な人。自分を全面に出せる人。

④:【日本人は歴史的にグローバルプレーヤー。グローバル国家である。】

日本では、誤った劣等感が日本を支配している側面がある。
その原因は、戦後の米国教育や、日教組やメディアの報道が関係している。

日本はアジアの中で西欧の文化と技術を自らの意志で学んだ唯一の国である。
聖徳太子の時代から、歴史的に宗教にも寛容で、他宗教を取り入れ、自ら文化と融合し、更に文化を進化させてきた稀なる民族である。
日本は世界一の美食国家であるが、宗教と共に世界中の食事を取り入れてきた民族である。

黄色人種で列強の植民地にならなかったのは、日本だけである。
今の日本人はこの事実を知らないか、知っていても誇りにも思わない人が多くいる。

日本人がもっと日本の歴史を学べば、日本人がグローバルプレーヤーである事実に誇りを持てると思うが、いまの日本人はいささか自信を失いすぎている。

この原因は歴史を学ぶ事を封鎖された戦後教育に起因しているかも知れない。
出典:アルファTKG


株式会社アルファTKG社長。1953年長野市生まれ。2014年3月までアマダ専務取締役。電気通信大学時代からアジアを中心に海外を訪問して見聞を広め、77年にアマダ入社後も海外販売本部長や欧米の海外子会社の社長を務めながら、グローバルな観点から日本および世界の製造業を見てきた。 http://a-tkg.com/