【調達業務のデジタル変革】富士通のクラウド型間接材調達支援サービス
生産性向上という課題に対し、事務所や工場で使う資材の調達業務は、改善の要素が多く残る“宝の山”と言われる。製品単価や配送スピードに目が向き、業務全体の最適化が進んでいない。安い製品を購入したが、手配作業時間や費用振替の手間を含めると、実はコストが高くなっていたという状況も発生している。
富士通マーケティング・オフィスサービスと富士通コワーコは、こうした状況に対し、法人向け購買ソリューション「Net 2B」と「クラウド型間接材調達支援サービス」(以下、調達支援サービス)を通じて、調達業務の効率化、デジタル変革によって全体最適を実現する。
Q.調達支援サービスとはどんなサービスなのか?
猪股洋二 富士通マーケティング・オフィスサービス プリンタセンター長兼NETビジネス推進部長
調達部門における間接材の購入についてクラウド型の購買ソリューションである「Net 2B」を提供し、製品の集約化や品目の統制により、業務の手間を減らして全体最適、コスト削減を支援するサービスです。富士通グループは、10年以上前から間接材の集中購買に取り組み、品種を統制して、調達の仕組みを変えることで経費を下げることに成功しました。「調達支援サービス」はこのノウハウを元にして作られたサービスです。
Q.具体的なサービス内容は?
齊藤顕爾 富士通コワーコ 中央第一営業統括部 調達支援サービス部長
「調達支援サービス」は、製造現場で使う手袋やヘルメット、潤滑油といった間接材やボールペンやノートといった消耗品などの資材を対象としています。
これらの間接材は、拠点や部署ごとに独自に選定していたり、一部では購入しているケースがあります。そのため調達品が多岐に広がり、在庫管理や経費処理といった手間が増え、さらに個別で少量発注しているためにボリュームディスカウントも効かないというデメリットが発生しています。また、消耗品のような間接材は、製品の品質に直接影響しないにも関わらず、膨大な種類のなかから時間をかけて選んで発注するというムダな作業が発生しています。
これに対して調達部門が主導して購入する品種を厳選して一括購入することで調達価格を下げ、さらにはムダな作業を減らすサポートを行うのが調達支援サービスです。
Q.ネット通販との違いは?
齊藤部長
調達のミッションは「全体コストを低く抑えながら、必要な調達品を揃えること」です。調達には購入製品の価格など「目に見えるコスト」と、業務の手間や時間など「目に見えないコスト」があり、コストを下げるためにはこの両方を改善しなければなりません。
ネット通販は、安く買い、早く届くので、目に見えるコストを下げるのに効果的です。特に間接材の管理がそれほど煩雑でない企業であれば良いでしょう。しかし、社内がいくつかの部門に分かれ、国内外に複数の営業・生産拠点を持つような規模の企業になると、目に見えないコストが大きく、効率化する必要が出てきます。
調達支援サービスでは、「Net 2B」とともに、調達業務の最適化を含めたコンサルティングも提供しています。間接材の調達について簡易業務診断をして、どれくらいコスト削減できそうかという推算をし、お客様と一緒に業務効率化をしていきます。
富士通コワーコ 中央第一営業統括部 調達支援サービス部 小原正彰担当課長
ある企業では、作業で使うゴム手袋を現場の担当者がそれぞれ選んでいて、結果として300種類にもなっていました。当社は、その企業で簡易的なミニ展示会を開き、ゴム手袋を利用する作業者に実物を見せ説明しながら選んでもらい、5種類まで絞り込むことができました。物品統制も現場が動きにくくなったら本末転倒です。そうならない工夫をし、調達部門と現場の両方に利益のあるように心がけています。
水野洋樹 富士通マーケティング・オフィスサービス NETビジネス推進部 担当課長兼東日本営業本部 東京営業部 第2営業課長
また、最近はIoTやスマートファクトリーの文脈で「つながる」がキーワードになっています。調達業務に関しても、購入する部署や仕入先がバラバラで、その情報がERPなど基幹システムとつながっていないと、その管理は煩雑で難しくなります。その点、クラウドで提供するNet2Bは、基幹システムや工場の情報システムと連携させることができます。
Q.今後について
猪股部長
複合機のリース費用など役務系の間接費に対するコスト削減の動きは製造業でも進んでいますが、間接材の品種統制など調業務の改善は、大手製造業でもなかなか進んでいません。そのため、もっと啓発していかなければならないと感じています。
齊藤部長
生産計画や品質に直結する直接材、それに近い設備や機器の調達の改善は、その企業の最も大事な部分であり、慎重に行うのが当然です。しかし、それ以外の間接材、代替が効き、どのメーカーの製品を選んでも問題ないものや経費扱いになるようなものの調達業務は、もっとスリム化できます。お客様に本業に注力してもらえるように、間接業務のコスト削減をサポートしていきます。