【製造業の働き方改革】富士通、設計者向けCAE無償提供
富士通株式会社
産業システム事業本部 PLMソリューション事業部第四ソリューション部
先崎 毅 部長に聞く
「補完と改善」さまざまな領域に
アフターコロナ、ニューノーマル時代の製造業の働き方のポイントは、デジタル技術活用によるリアル業務の補完と改善。例えばリモートワークにおけるWEB会議は、対面の制限をデジタル技術で補い、密の回避と生産性向上につなげている。今後はこうした「補完と改善」をさまざまな領域に広げ、新しい業務の仕方を作ることが肝要だ。
富士通は産業機械・製造装置の設計と検証業務について、COLMINA 設計製造支援 iCADとCOLMINA CAEの活用によっていつでも・どこでも滞りなく業務できるような業務改革を提案している。
今回同社は、新しい働き方にチャレンジしたい企業に対し、8月31日までお試し期間として「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA CAE 設計者向け構造解析(以下、COLMINA CAE)」の無償提供を開始している。
富士通株式会社 産業システム事業本部 PLMソリューション事業部第四ソリューション部の先崎毅部長に今回の取り組みについて聞いた。
仮想設計・試作でQCD向上へ
—— ニューノーマルの製造現場の働き方はどうなると考えますか?
新型コロナウイルスはものづくり現場を直撃し、従来のままでは事業と業務を続けることが難しくなる事実を突きつけた。今後はいわゆるニューノーマルへの対応が必要となり、工場で行っていた設計や試作といった現場作業をデジタル化し、事業継続とDX(デジタルトランスフォーメーション)に対応していくことが重要になる。
事業継続に対しては、現場作業をデジタル化して在宅勤務でも業務できるようになることで密の回避となり、感染リスクを低減できる。DXに対しても、仮想試作と仮想実験をコンピュータ上で繰り返し、リアルな試作を減らすことで開発期間の短縮や品質強化、試作コスト削減を実現できる。
こうした環境を実現するためのコア技術が、3次元デジタルデータとシミュレーションだ。
—— COLMINA CAEについて
解析とその支援ソフトであるCAEにも、解析対象によってさまざまな種類がある。そのなかでCOLMINA CAEは、産業機械・製造装置の設計検証に特化し、品質と納期、コストというQCD向上に役立つCAEとなっている。
強度解析と振動解析、熱解析に対応し、コンピュータ上のシミュレーションで、実機を使わずに製品にかかっている負荷と強度検証や振動に対する強度や寿命を評価したり、試験機を使ったりしなくても熱の伝わり具合などを解析できる。
使い方はウィザード形式となっていて、設計者でも簡単に使える。iCAD SXとも連携性が良く、解析時間を極力短くなるような工夫も施されている。また解析結果から自動的にレポートを作成して出力でき、ネットワークを利用して関係者へのオンラインプレゼンなども可能になるなど、在宅テレワークで便利に使えるような工夫が施されている。
ニューノーマルの最適ツール
—— CAEはパワフルなコンピュータが必要なイメージがあります
確かに一般的なCAEと解析に使うデータは、細かなメッシュでデータ量が大きく、高精度な解析ができるが処理に時間がかかる。使うコンピューターも、パワフルなワークステーションでないと動かないという制約がある。
それに対しCOLMINA CAEは、設計者の利用を想定して汎用のノートPCでも描画し解析できる軽さになっている。
例えば強度計算について、建物の強度や振動に対する強さは「梁と壁」の構造から全体の強度が算出されるが、COLMINA CAEでもそのやり方を応用し、細かなメッシュを切ることなく、「梁と板」の軽いデータのままで精度の高い強度計算を可能にしている。これによりハイスペックなワークステーションがいらず、日常使いのノートPCでもわずか数分で解析ができるようになっている。
一般的なCAEは、解析の専門家がハイスペックな機種でゴリゴリと細かいところまで解析する。COLMINA CAEは、設計者がCADでデータ化したアイデアをいち早く検証して次につなげるためのものになっている。
—— COLMINA CAEの無償提供を開始しました。反応は?
中堅中小企業を中心に、CAEを使いたいという企業から数十ライセンスの申込みが来ている。これからの事業継続やニューノーマルに向けた改善に取り組んでいこうという企業がほとんどだ。
DXが世の中的に進んでいて、シミュレーションを使ったものづくりを試してみる良い機会だ。出社できないなか、何かを変えていかなければいけないという声をいただいている。
—— これから
COLMINA CAEもニューノーマルのツールとしてはまだ十分ではない。コラボレーションや情報共有、コミュニケーションを充実させ、新しいシミュレーションツールへと昇華させていきたい。
DXについて、お客さまはこれまでDXや働き方改革を進めてきたが、今回コロナ禍によってBCP(事業継続計画)も検討しなければいけなくなった。今は大変な時期だが、ニューノーマルに移行する機会だと捉えてチャレンジしているお客さまも増えている。当社としてもそうしたチャレンジをする方々を支援していきたい。
■FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA CAE 設計者向け構造解析