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【広州国際オートメーションテクノロジー専門見本市リポート】急成長 中国南部の自動化市場

広州国際オートメーションテクノロジー専門見本市フォトレポート

製造強国目指し官民あげて推進

中国南東部における産業オートメーション、自動化に関する専門展示会「SIAF-SPS Industrial Fair Guangzhou(広州国際オートメーションテクノロジー専門見本市、以下SIAF)」と、造形関連の展示会「asiamold」が、3月4日から6日の3日間、中国・広州のチャイナインポート&エクスポートフェアコンプレックスで開催された。中国市場は自動化への関心が非常に高く、前回を超える7万2000人超が来場した。

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▲SIAF開会式

600超える出展者 日本の主要企業も

SIAFは、ドイツ・ニュルンベルクで毎年開催されている「SPS IPC Drives」の姉妹見本市で、毎年3月に行われる自動化専門展。2010年の初開催から今年で9回目となる。4万5000㎡の会場に、ロボットやモータ、センサなどを扱う企業が世界15カ国から600以上が参加。日本からは、ロボット関連で安川首鋼ロボット、減速機でナブテスコ、ハーモニック・ドライブ・システムズ、モータ関連で山洋電気、空圧装置でSMC、ケーブル関連で沖電線など14社が出展した。

asiamoldは、射出成型や切削加工、3Dプリントなどの専門展で、1万5000㎡に200社が参加。今回は両展合わせて前回の6万4000人を8000人上回り、3日間で7万2000人が来場した。

人件費高騰、人手不足、品質要求の高まり

現在の中国市場は、国策となっている「中国製造2025」を背景に、製造強国を目指して官民あげて自動化が強力に推し進められている。また人件費の高騰、単純作業や3K作業の忌避による人手不足、発注側からの自動化や品質要求の高まりなどもあり、政府の指示と足元の市場環境の両面から自動化を進めなければいけない状況になっている。

開催地の広州市は、1200万人以上が住む中国南部、華南地区の中心都市で、中国大手自動車メーカーの広汽集団が本社を構え、自動車産業が盛ん。南にはハイテク産業が集積し、デジタル機器などの工場が多いことでも知られる深セン市や東芫市、仏山市もあり、同展は、中国屈指の産業集積地帯である中国南東部における重要な展示会として位置づけられている。

ハイスペック市場をキープする日本

会場は4つのホールを、ロボットとマシンビジョン、コントロールとドライブ、センサの3つのエリアに分けて構成。中国企業のブースは製品そのものを机や壁面に陳列させるハードウェア中心の展示がほとんどで、日本やドイツなど海外資本の企業はパネルや製品デモでアプリケーションを紹介していた。日系企業の担当者によると「今の中国の自動化は、まだ製品を入れていく第一段階」とし、ひと昔前の日本の展示会の状況と似ているとの印象を持ったという。

ロボットのゾーンは実機デモが中心だが、安川首鋼や川崎重工業のS級代理店の佛山隆深机器人(LSRobot)、中国の有力ロボットメーカーのESTUN、ADTECHなどは、溶接や機器組み立て、ピッキング、ハンドリングなどを実機で実践。他の中国メーカーやロボットSIでは、アームを動かしているだけの展示も目立ち、「急激に伸びているが、技術的には日本とはまだ差がある。しかし中国のローカル企業の場合、高精度を求めない単純作業に対してのニーズが強く、そこはわれわれも対応を考えないといけない」と話している。

コントロール・ドライブ関連は、ベッコフ・オートメーションやB&R、フエニックス・コンタクトなどグローバルメーカーをはじめ、PLCや産業用PC、モータと減速機、直動機構、コネクタなど配線接続機器など、中国ローカル企業が多数出展。前述のように自社製品を並べているだけの企業が多く、減速機や直動機構では、仕上げが粗く、目に見える傷やクラックがあるものも陳列されていた。

センサもジック、バルーフ、ピーアンドエフ、コントリネックス、オートニクスなど海外メーカーに混ざり、Controlway、Hanyoung Nuxなど中国メーカーも製品を展示。ライトカーテンやフロートセンサ、積層表示灯などは中小企業のブースに多く、産業の広がりを示していた。

来場者は20代から30代、40代とみられる人が多く、男性だけでなく女性の姿も多く見かけた。工場で働く従業員を連れたツアーを組んでの来場も目立ち、NIKEやFOXCONNといった旗を持った添乗員の後に続く団体客の姿も見られた。

JEMA「製造業2030セミナー」大盛況

会場の各所でセミナーも行われ、メインステージではインダストリー4.0と中国との出会い、世界における産業IoTのアプリケーション紹介、倉庫作業や物流最適化など、主に中国製造2025やスマートファクトリー、IoTなどの話題が取り上げられた。

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▲JEMA「製造業2030セミナー」

 

日本からも日本電機工業会(JEMA)が「製造業2030」をテーマに講演を行った。スマートマニュファクチャリング特別委員会の冨田浩治委員長と、技術部阿部倫也主任が登壇し、世界の製造業のスマート化の潮流と製造業2030の内容、未来の製造業の姿などを紹介した。聴講者は満員の200人を超え、立ち見も出る盛況ぶりで、プレゼン資料を熱心に撮影する姿が目立った。

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1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。