【トップに聞く】インフィニオンテクノロジーズ、日本は重要な市場

【トップに聞く】インフィニオンテクノロジーズ、日本は重要な市場

システムセンター設立 ユーザー成長支援

インフィニオンテクノロジーズは、車載向けで世界2位、パワー半導体で世界1位、セキュリティIC分野で世界トップシェアを持つドイツの半導体大手メーカー。2018年度の売上高は75億9900万ユーロ(約9544億円)となり、電気自動車やエネルギー、セキュリティといった近年のデジタル化に関わる分野に強く、右肩上がりの成長を続けている。

日本では1980年から活動し、年々10%以上の成長率で事業を拡大。現在、市場に即した技術サポートに力を入れ、18年10月に「東京テクノロジーセンター」を開設。さらに19年4月にモーター制御に特化した「システムセンター」をオープンした。

その狙いについて、インフィニオンテクノロジーズIPC事業本部グループ長 フランク・グローベ氏と、インフィニオンテクノロジーズジャパンIPC事業本部事業本部長 針田靖久氏に話を聞いた。

SONY DSC

IPC事業本部 フランク・グローベ氏(左)と針田靖久氏

 

ドイツ半導体大手メーカーの「狙い」

IPC(インダストリアルパワーコントロール)事業本部は、発電から送電、電力使用まで、エネルギーに関する広い範囲をカバーし、18年の事業部売上は13億2300万ユーロ(約1661億円)。前年比19%超の成長率となった。

日本では555(ゴーゴーゴー)戦略として、5つの製品、5つの業種グループ、5つのアプリケーションにフォーカスを絞り、19年度は20%成長を目指している。その実現のための技術開発拠点となるのがシステムセンターだ。

システムセンターの開設についてグローベ氏は「日本は当社にとって重要な市場で、製品のイノベーションに対するニーズや要求がとても高い。これまではその相談に乗れる専門家が世界各地の拠点に散らばっていて対応できないことがあった。それを解消するためにも日本にはシステムセンターをオープンしたかった。今回それが実現できて嬉しい。実際にお客様の成長を支援するには『お客様のシステムとアプリケーションへの理解』『技術開発機能の集積』『製品開発と市場投入へのスピードアップ』が必要だ。システムセンターではこの3つでお客様を支援し、時には一緒になって開発を進めていきたい」としている。

 

半導体、モーターの専門家がサポート

システムセンターでは主にモーター制御に関する技術サポートと開発、ユーザー向けのカスタマイズを行う。具体的には、日本のユーザー向けの相談窓口となり、プリント基板の設計からソフトウエア開発と検証、レファレンスデザインの開発、製品のカスタマイズまで幅広く対応する。また日本市場の要望やニーズを拾い上げ、グローバルでの製品開発にフィードバックする役目も担う。

システムセンターの名前の通り、半導体単体だけでなく、モーターを使ったアプリケーション、システムに関する課題を受け付けて、その解決を進めていく。同社には半導体技術者に加え、家電や電子機器、産業機器メーカー等で長年モーターを扱ってきた専門家が多数在籍し、多面的にアドバイスやサポートをしてくれるのが特長だ。

「モーターの開発者やソフトウエアの専門家、ユーザーとして使っていた技術者、20年以上の経験を持つベテランなど、多様な人が組織にいることで手厚い支援を可能にしている。モーター制御でイノベーションを起こすためには、ハードウエアであるモーターそのものと、半導体、ソフトウエアなど、モーターシステムすべてを行って初めて実現できる。全体最適が大事であり、そのための人員がそろっている」(グローベ氏)

モーターとシステムの開発者、モーターを使うユーザーに対し、モーターシステムの付加価値向上と開発の生産性向上に役立つものとして同社が提案しているのが、制御モーターの設計最適化・効率化プラットフォーム「iMOTION」だ。

 

「iMOTION」でモーター制御最適化

モーターコントローラからゲートドライバ、インバータまでの機能を1つの半導体パッケージに収め、半導体チップ単体から制御ソフトウエア、評価キット、基板を含めたモジュールまで提供している。半導体チップだけ購入してソフトウエアと基板は内製する、すべてそろったモジュールを使い、そこで浮いた開発工数を製品開発に注ぎたいなど、ユーザーはそれぞれの用途に応じて選ぶことができる。

iMOTIONは、高性能インバータと同等のモーター制御を半導体とソフトウエアによって実現している。ユーザーは高精度なモーター制御をすぐに実行できる。またハードウエアとしてのインバータが不要なので、機器の小型化や省配線化に効果的だ。さらに、基板設計やソフトウエア開発、部品調達、製造工数などあらゆる工程に好影響が期待できる。

グローベ氏は「iMOTIONはこれまでも多くのお客様に愛されている。お客様はすぐに高精度のモーター制御を使い始められ、機器の小型化やコスト、開発期間の短縮を可能にする。例えばコストに関しては、平均で30%下げることができる」と強調する。

 

ロボティクス分野の小型化などサポート

日本にはモーターメーカーをはじめ、家電や業務用機器、産業機器などモーターを使う企業が集積している。すでに家電製品ではiMOTIONが広く採用されており、これからは他の分野の新しいユーザーとの関係構築をしたいという。特に期待しているのがロボティクス分野。ロボットの駆動源はモーターであり、日本は産業用ロボットでは世界ナンバーワン。サービスロボットにも多くの企業が取り組み、ロボティクス関連企業も裾野が広い。その小型化や開発効率化に対してサポートをしていきたいという。

グローベ氏は「システムセンターは日本市場とお客様に対するコミットメント。お客様の成長に寄与するパートナーシップへの大きな第一歩になる。日本でもモーターシステムの専門家、開発部門とのコミュニケーション窓口が一つ加わったと考えて欲しい」とし、針田氏も「システムセンターはお客様とのオープンな接点。お客様に来ていただいて相談してもらうことも、案件に対して解決に向けて共同で進めていくという選択肢もできる。半導体に加え、モーターシステムに対して深い理解のある専門家もいる。ぜひお気軽に声をかけて欲しい」と話している。

参考:インフィニオンテクノロジーズ


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。