『品質でもうけなさい』6-1.アクションプランをまとめる
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6-1.アクションプランをまとめる
アクションプラン……行動計画とか実施計画と言った方が良いですかね。
4-5.でプロジェクト全体のシナリオをイメージすることをお話しましたが、個々の問題についても同様に解決のシナリオを描くことが大切です。
しかし、目の前に現れた問題は、中身も違えば難易度もそれぞれです。なんでもかんでも一緒くたにしては、解決できるものも解決できなくなってしまいます。
(1)簡単な問題はさっさとやれ
簡単な問題を難しく考える必要はありません。すぐに解決できることはさっさと片付けてしまいましょう。
……さあ、何を躊躇しているんですか?
心配しなくても大丈夫。
こういう問題に面倒な手法なんていりません。たぶん、解決法もわかっていて手を付けていないだけなんじゃないですか?
でも、こういう問題が手付かずに残っているというのは、ある意味とてもラッキーです。
最初は、このような簡単な問題解決を積み重ねて点数を稼いでいくのがうまいやり方なのです。
結果は必ず数字に表れてきますから、メンバーにもやればできるという感触が得られて、モチベーションのアップに役立ちます。
能書きは後。まず行動を起こすこと。
(2)時間をかけるだけの問題はテーマから外せ
マトリクスのⅡの部分。
例えば、データベースの整備とか資料の整理など、解決の方法については議論の余地がなく、とにかく時間をかけて結果を出すだけの問題です。
こういう問題は、しっかりとスケジュールを立てて地道に進めるしかありません。
改善活動の中でテーマアップするなら、余程の問題意識と忍耐力がないと、活動を持続すること自体なかなか容易ではありません。
現実的には、通常業務の一環とするか、準備室のような臨時の専門組織を作って進める方が賢明です。
(3)アクションプランで確実に深堀りを進めろ
マトリクスのⅢの部分。
改善活動のメインテーマとなる部分で、まさに深堀りを必要としている問題です。
一方で求められるのは迅速な行動です。
深堀りとは文字通り問題を深く掘り下げることですから、それなりの時間と手間がかかります。
テキパキとやるべきことをやって結果を出さなければなりません。
そこで、下のようなガントチャートを利用した実施計画を作成して、要領よく問題解決を進めていきます。
この実施計画は、チームメンバーが仕事をしている工程の近く、例えば朝礼の場所とか休憩所などに掲示して、みんなが進捗チェックできるようにします。
ラインパトロールをして各チームの実施計画をのぞいて見ると、活発に改善活動を進めているかどうかが大体わかります。
色々な書き込みがしてあって汚れているようなチームは、間違いなく熱心に問題解決を進めています。
逆にキレイな実施計画のままのチームは、ほとんど活動していません。
いつまでもそのような状態が放置されていたら、これは推進委員会が全くフォローしていない証拠です。
(4)難問は長期戦覚悟で攻略しろ
マトリクスのⅣの部分。
チャレンジは結構ですが、効率的に解決しようと思うならば、自分のグループだけでやるのでなく、少なくともスタッフ部門の協力を仰いだり、外部の専門家の知見を利用することが不可欠です。
また、一気に解決しようと焦らないで、じっくり戦略を練ること。
スポーツや競技で強敵と当る場合、試合前に攻略作戦を立ててから臨むでしょう? それと同じです。
まず、解決までのプロセスを、時間をかけてフローチャートにまとめて、わかりやすくしておきます。
スタッフや専門家に協力してもらいながら、どのような調査・検討を行ってどのように解決していくか、というシナリオをみんなで描きます。
情報不足で描けないところは想定で構いません。調査の結果見えてきたら描き直せば良いのです。
計画を具体化する場合には、次のような基本ステップを踏むようにします。
次に、活動のスケジュールを計画します。
長期戦を想定して、最初はここまで、次の段階ではここまで……という具合に、ステップバイステップで問題解決を考えることが大切です。
(3)のようなガントチャートでも構いませんが、前述したマスタースケジュールを作成して進めるのが良いでしょう。
フローチャートとマスタースケジュールは、プロジェクトマネージャーや推進委員会の承認を得ておくことも忘れずに。
こういう問題は技術ノウハウや新製品のシーズになる可能性が高いので、マネジメントを巻き込んで投資判断しやすくしておきます。
楽屋裏話 by『面白狩り』編集長
深堀りという表題は意識的に付けました。……というのは、問題解決がうまくいかない理由の大半が、問題の表面をなぞるだけで、ちゃんとした調査・検討を怠っているからです。
その調査・検討にレベルの高い、難しいことが要求されているのかというと、決してそうではありません。ほとんどがだれでもわかる基本的なことを端折っているだけなのです。あるいは、その基本的なことがわからないのかもしれません。
経営者・管理者は、こういう問題にQCやIEなどの手法を使うと大喜びします。どうしても改善イコール手法という固定概念から抜け出せないんですね。
私は手法にこだわるなと言っていますから、指導先でも必要最小限のことしか教えません。それで、よく文句を言われますが、使わなければいくら難しい手法を勉強しても時間のムダです。