「アウトメカニカフランクフルト2018」報告② 自動車アフターマーケット 日本と世界の違い
9月にドイツ・フランクフルトで行われた世界最大の自動車アフターマーケットの国際見本市「アウトメカニカフランクフルト2018」。
自動車業界はEVや自動運転の話題でにぎやかだが、実際いま走行中の車の整備や修理、メンテナンスをどうしていくかは現在進行中の課題であり、同展ではさまざまなアプローチからそれに対する解決策が示された。そこで今回はアフターマーケット、特に純正品における日本と世界の違いに注目して報告する。
▲会場の様子
販売店中心に流通網が整備されている日本
日本は自動車メーカーの本拠地であり、新車の販売台数も世界屈指である。
自動車メーカー傘下の販売店を中心に純正品の流通網が整っており、手に入りやすい。そのため趣味や娯楽以外で社外品を選ぶケースは少なく、純正パーツ信仰が強いのが特徴だ。
またティア1、ティア2といったメーカーは系列の傘下に入っているため、自社ブランドで製品を展開していないケースが珍しくない。販売も限定的だ。
安く手に入りやすい社外品を重宝する世界
一方、世界は少し構図が異なる。多くの自動車メーカーが本拠地を構えるドイツでは、部品メーカーと自動車メーカーの立場は対等。自動車メーカー向けに製造・販売したのと同じパーツを、自社ブランドとしても販売しているケースが一般的だ。
そのため社外品の種類が非常に豊富で、ユーザーは広い選択肢のなかから選ぶことができる。日本ほど純正品信仰は強くなく、その都度純正品と社外品を使い分けるのが普通。
アフターパーツにおける柔軟な市場が形成されており、大小種類さまざまなパーツメーカーが存在している。
またそれ以外の地域、特に新興国では純正品の流通が整備されておらず、社外品を使う比率はドイツよりも高く、社外品の利用は一般的だ。純正品よりも安く、手に入りやすい社外品が重宝される文化ができており、それを目指してローカルメーカーが数多く勃興している。
アウトメカニカの会場を彩ったのは、まさにそうした社外品を製造するメーカー。日本から出展した自動車部品の輸出入業者は「日本は純正品ばかりだが、世界は医薬品のジェネリックのようなパーツメーカーが非常に多い」という。
実際にアウトメカニカフランクフルト2018への出展企業は国際色に富んでおり、過去最多となる5000社超が出展。中国や台湾、韓国のほか、インドやマレーシア、インドネシアなどアジア各国、デンマークやチェコ、オーストリアなどからジェネリックパーツを多くの企業が出展していた。
一方、日本企業は26社が出展。大手ではデンソーやNGKがブースを構えたが、日本の存在感は薄く、前述の出展者も「日本企業が少ないのはとても残念。自動車大国で、日本には良い品質のアフターパーツがたくさんある。日本車は世界中で走っており、日本車のアフターパーツ市場は世界に広がるチャンスがある」と話している。
11月28日から開催 アウトメカニカ上海
アウトメカニカは世界15カ国で展開しており、アジアでは中国、インド、サウジアラビア、マレーシア、ベトナム、UAEで開催されている。
このうち11月28日から12月1日に中国・上海の国家会展中心で行われるアウトメカニカ上海は、出展社6000社、来場者数13万人というフランクフルトに匹敵する規模で行われる。フランクフルトに比べて日本企業の出展も多い。
上海ではアフターマーケットに加え、自動車製造の自動化に関する展示エリア「オートマニュファクチャリング」も目玉として開設されている。