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言うことをきかない頑固さと仕事を完遂できない弱さを併せ持つ若手技術者た...

言うことをきかない頑固さと仕事を完遂できない弱さを併せ持つ若手技術者たち

助言に耳を傾けない若手技術者

表向き大人しい、または人当りのいい若手技術者であっても、技術者という職業を選ぶ時点で自らの仕事にこだわりがあるのが一般的です。

そのため、

「こういう風にしたらいいと思う」

といった助言に耳を傾けない(言うことをきかない)ことが多々あります。

 

そして助言を聴かないという強靭な頑なさがある反面、

「組織の求める成果を上げられない」

という基本スキルに劣っているケースが多々あります。

 

もちろん必要に応じて、

「業務命令」

を発令して上司の意図通りに強制的に動かすということもできます。

 

多少の時間がかかったとしても、成果を出せる上司の言うとおり動かせば、仕事を完遂することはできると思います。

ところが業務命令で動く若手技術者は、後に、

  • 言われたことしかできない技術者
  • 上層部に不信感を募らせ、不満のために口を動かし続け、手を動かせない技術者

 

というどちらかの技術者へと変質し、30歳を超えてしまうと

「自ら課題を発見し、それを解決する」

という最重要スキルを有する技術者へ育成するのは極めて困難となります。

 

このような技術者が増えてしまうと、いつまでたっても技術者指導者層が実務もこなす管理職となり、時間がなかなか捻出できないために余裕がなくなるために、

  • 組織がさらに目指すべき将来戦略
  • 最適な組織体制検討
  • 人員採用・配置
  •  

    といった本来行うべき管理職の仕事ができなくなってしまいます。

    その一方で、助言も聴かず成果を出せない若手技術者を放っておくわけにはいきません。

    では、どうしたらいいのでしょうか。

    2通りのアプローチ

    この苦境を脱するには2通りのアプローチがあります。

    どちらのアプローチがいいのかは、技術者指導者層である上司の方々が、育成される若手技術者をどのように感じているのかというので2通りに分かれます。

    1.ポテンシャルがあり、将来的には組織の中核を担える可能性が高い

    頑固で人のいうことも聴かず、まだ経験も浅く荒削りなスキルのために成果を出していない。

    それでも時折見せるセンスを感じ、育っていくイメージを浮かべることができる。

    いわゆる、期待できる若手技術者の場合です。

     

    このタイプの若手技術者については、

    「ある程度の裁量を与えて仕事を任せ、成果を出すための最小限のフォローをしながらプレッシャーにさらす」

    というアプローチが最適です。

     

    いわゆる、「梯子をはずす」といったイメージです。

    最前線のプレッシャーにさらされながら、自分の持っている手持ち札を自由に使いながら、何とか仕事をやり切るという経験こそが、全体を俯瞰して見るスキルを得るために必須の経験です。

    守り育てるという方向ではなく、裁量という自由度を与えながらも、成果を求められるというプレッシャーを感じさせるという、厳しい環境にさらすというイメージです。

     

    もちろん未経験であるゆえ、強い精神的苦痛を感じることもあるため、言動に異常が出た場合は業務負荷を下げるなどのフォローも必要です。

    これは、若手技術者が這い上がってくるのかという「賭け」の要素も入ってきますが、育成する側もこのくらいの危機感を持って仕事をしないと、ポテンシャルのある若手技術者を育てることはできません。

     

    2.将来前線を担える可能性が低い

    残念ながら学歴、年齢にかかわらず将来的に前線で戦える力を身に付けられない技術者もいるのは事実です。

    見切りをつけるタイミングは難しいところですが、このような若手技術者は「間接業務遂行能力」を徹底的に鍛えることが組織として重要です。

     

    例えば、

    • データ入力のような時間のかかる定常作業
    • 装置や設備の保守管理といった管理業務
    • チームメンバーが愚痴を言いたくなった時にそれを聴いてあげられる聞き役のメンター的業務

     

    といったものです。

     

    どれも高い給与を払ってまで……と言いたくなる仕事ですが、組織としては非常に重要な仕事です。

    このような間接業務をこなしてくれるメンバーがいれば、他の前線で戦う技術者たちの時間を捻出させることができるのです。

    そして、何かあった時に愚痴を聴いてくれる人というのは、仮にその人が組織として成果を上げられていなくても、他のメンバーの精神的バランスを取るといった観点からも重要な存在です。

     

    頑固で助言を聴かない一方で、成果も出せない技術者はどちらの方向で活かせるのか。

    そのような観点で若手技術者の育成を考えると、技術者人材育成のブレークスルーを見出すことができるかもしれません。


技術者育成研究所所長・FRPコンサルタント。入社2~3年目までの製造業に従事する若手技術者に特化した法人向け人材育成プログラムを提供し、自ら課題を見つけそれを解決できる技術者育成サポートを行う。◎東京工業大学工学部高分子工学科卒業後、ドイツにある研究機関 Fraunhofer Institute での1年間のインターンシップを経て同大学大学院修士課程修了。その後、複数の大手メーカーにて技術者として勤務。専門外の企業に転職したときは周りの会話についていけないという苦境に陥るが、試行錯誤の末に活字を基本とした独自の思考法を確立、開発最前線で成果を積み上げたことにより最先端研究プロジェクトリーダーに昇格。また、自らの立ち直りに実践した思考法を応用した技術者育成法により、技術者人材育成に悩みを抱えていた事業部から、多くの自発的課題発見/解決型の技術者を輩出。当時評価の低かった若手技術者を事業部最年少海外駐在者として送り出すなど、技術者教育でも高い評価を得た。◎11年にわたる企業の技術者勤務の後、自らの専門性を生かし複数企業と直接顧問契約を結ぶFRPコンサルタントとして独立。川中から川下の企業の研究開発最前線での技術指導、サポートを行う中で多くの企業が技術者人材育成に苦労している実情に直面し、専門性を生かすも殺すも人材に大きく依存することを実感。さらに自らの技術者人材育成経験から技術者育成には一般的な人材育成と異なる技術者に特化した「技術者人材育成」が必要という考えに至った。その後、技術者に特化した人材育成プログラムがほとんど存在しないことに着目して「技術者人材育成研究所」を創業、FRPコンサルタントとしてFRPに関連する高い専門性の技術指導やサポートを行う一方、現場の技術者の人材育成にも精力的に取り組んでいる。◎主な著書に『CFRP~製品応用・実用化に向けた技術と実際~』(共著)など。◎Professional member of Society of Plastics Engineers( SPE; 米国プラスチック技術者協会)◎– 高分子学会(The Society of Polymer Science) 正会員◎– 繊維学会(The Society of Fiber Science/Technology)正会員◎– NPO インディペンデント・コントラクター協会(IC協会)正会員◎– 国立大学法人 福井大学 非常勤講師 http://engineer-development.jp/