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製造業の安全対策と現場管理

製造業の安全対策と現場管理

工場で大小さまざまな工作機械を扱う製造業は、最近では装置のオートメーション化やデジタル化が進み、人間の手を介在しない作業も増えてきましたが、それでもまだ人間がコミットする部分は大きな比重を占めています。

工場の安全対策と現場管理は、事業を継続していくうえで必ず検討しなくてはならない課題の一つです。

今回は、エルゴノミクス(人間工学)という考え方を基にした、製造業の安全対策と現場管理について考えていきます。

エルゴノミクスは、現場の安全管理にも応用できる

エルゴノミクス(人間工学)とは、ソフトウェアやハードウェア、さまざまな日用品などを、人間が自然に使いやすいように設計し、実際のデザインに応用するという考え方です。

人間の動きにマッチするように設計することで、効率よく動けるようにするとともに、可能な限りミスや事故を減らします。

アメリカではヒューマンファクター(Human Factors)、ヨーロッパではエルゴノミクス(Ergonomics)と呼ばれます。

 

由来はギリシャ語で、「ergon」(仕事)と「nomos」(法則)、そして「-ics」(学問)の合成語であるといわれています。

エルゴノミクスはさまざまな分野に関わりますが、労働事故に関しては、事故が発生した原因を検証し、それが機器の設計ミスによるものなのか、それとも人間の認知や認識の誤りによるものなのかを分析し、再発防止策を講じることも、エルゴノミクスの研究の範囲になります。

一方で、産業の安全性を担保するための学問分野としては、安全工学と呼ばれるものもあります。

 

例えば、現代では科学技術が発達した反面、原子力事故や飛行機事故などで、1度の事故から多くの人間の命が失われることがあります。

特にアメリカでは、航空機事故の調査から安全工学が発展しました。

人間の個人的資質に基づいてヒューマンエラーを防ぐよりも、安全教育や装置やシステム、操作方法などの観点から改善をすることで、事故を防ぐという考え方が一般的になっています。

「人間が作業に合わせる」のではなく、「人間を作業に合わせる」

産業界におけるエルゴノミクスの基本的な考え方は、「人間が作業に合わせる」のではなく、「人間を作業に合わせる」というものです。

この「作業」は、「機器や装置」「作業環境」「組織」などにも置き換えることが可能でしょう。

製造業では、大規模な産業機械や装置をたくさん使って、製品を製造しています。

 

産業の高度化が進む中で、労働者の特性に合わないような機械や装置を使うようになると、事故を起こす可能性が増えます。

エルゴノミクスを応用した考え方で、現場の安全管理を行うことが、今後ますます重要になることは間違いありません。

一方で、作業者への負担を減らすという意味で、産業界の安全管理にエルゴノミクスの基本的な考え方を応用する必要もあります。

 

冒頭でも述べた通り、製造業の機械化が進む中でも、まだ人間の手が必要な作業は多くあります。

製造過程が複雑化するなかで、人間のもともともつ特性に合わないような作業を長時間続けていると、肉体的・精神的に負担が出て、重大な事故につながるかもしれません。

とくに、大人数が働く工場などでは、その可能性は高まります。

 

休憩配分や残業、夜勤交代制の工夫による過労防止とストレス緩和、筋・骨格系障害予防、視覚負担の軽減、チームワークとコミュニケーションといったソフト面での労働課題も、より人間の自然な動きにマッチして、快適に作業が行われるようになれば、効率が上がり、労働者はやりがいをもって働けるようになるはずです。

とくに、筋・骨格系障害予防については、現場管理の上でも重要視されており、アメリカの労働安全衛生庁(OSHA)は、筋骨格系障害発生防止に向けたエルゴノミクスプログラムを策定しています。

この基準は、「製造または手作業に従事する労働者に、OSHAに報告すべき筋骨格系障害が発生した場合(基準案の対象かどうかは事業者が判断)、事業者は当該業務と、当該業務と同様の肉体作業を行う事業所のすべての業務において、全面的なエルゴノミクスプログラムを実行することを求められる」というものです。

機器や装置、作業環境、労働配分などをエルゴノミクスで見直してみよう

作業現場で何かエラーやミスが発生すると、管理者や組織の責任を問われないためにも、作業者個人の資質やヒューマンエラーにしてしまいがちなものです。

しかし、その事故の裏側には、もしかしたら機器や装置、作業環境、労働配分などが、エルゴノミクスにそぐわないものであるという理由があるのかもしれません。

日々の安全対策と現場管理を進めるなかで、「ヒヤリハット」した事例が発生したとしたら、一度このエルゴノミクスの考え方に沿って、機器や装置、操作方法、作業員の配置や工場内のレイアウトなどを見直してみてもよいかもしれません。

 

出典:『日本の製造業革新トピックス』株式会社富士通マーケティング


20年以上のサポート経験から培ったスキル・ノウハウを基に、富士通マーケティングの先進の製造業サポート推進チームが、日本の製造業の動向や現状の課題を紹介していきます。 基本のQCDや環境、安全など、毎週、旬なトピックスを展開します。