経産省デジタル変革実現に向けた報告書「2025年の崖」克服へ

経産省デジタル変革実現に向けた報告書「2025年の崖」克服へ

既存ITシステム刷新を

変革の時代、製造業を含めたあらゆる企業が、ビッグデータ等の新しいテクノロジーを駆使して、新しい製品やサービス、ビジネスモデルを通じて競争の優位性を維持する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の実現が求められている。

経済産業省は日本のDXに向けた課題と対応策についての報告書「DXレポート~ITシステム2025年の崖の克服とDXの本格的な展開~」を発表し、現在稼働中の既存システムがDXの壁となり、それを刷新することでコネクテッドインダストリーズの深化につながるとしている。

最大12兆円の経済損失指摘

既存システムが存在するリスクと課題

全産業において既存システムが存在する割合は8割以上。ほとんどが既存システムという企業が19%、半分という企業が25%、一部という企業が40%となった。

企業のITシステム予算のうち既存システムの維持・運営が90%という企業は40%に達し、予算のほとんどが維持にまわっている。さらに維持・運営業務にIT人材のリソースのほとんどが割かれており、属人的な運用となっているために他の人への継承が困難となり、ただでさえ人材不足のなかでさらなる不足感の原因となっている。

予算と人材ともに不足し、新しいデジタル技術へ挑戦する余裕がなくなっている。7割以上の企業経営者はこうした状況がDXの足かせとなっていることを認識しているという。

 

報告書の副題となっている「2025年の崖」とは、事業部門の縦割りでの構築、過度のカスタマイズによるブラックボックス化など既存システムの課題を解決できない場合、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が発生するとの指摘のこと。

ユーザー企業がデジタル競争に敗れ、システムの維持がIT予算の9割を占め、その継続が困難になり、サイバー攻撃や事故・災害によるデータ流出等のリスクを負う。ベンダーも、保守・メンテにかかりきりで先端技術と人材を確保できず、受託型ビジネスを維持し、クラウドベースのサービス開発など世界の主流から外れる。

これらによって重大な損失が発生する可能性があり、それまでにシステム刷新を集中的に推進する必要があると警告している。

 

20年まで順次実施 DX実現シナリオ

報告書ではDXの実現シナリオも提示。20年まではシステム刷新の経営判断と先行実施期間とし、できるものからDXを実施し、21年から25年は集中期間として、システム刷新を経営の最優先課題としてシステム切り替えを断行する。

不要なシステムは廃棄し、マイクロサービスの活用によって段階的な刷新、共通プラットフォーム活用でリスクを低減し、顧客や市場の変化に対応しつつ、クラウドやモバイル、AI等のデジタル技術を迅速に取り入れて製品やサービス、ビジネスモデルを国際市場に展開していくとしている。

これによりユーザー企業はシステムの維持・保守システムからデジタル技術の活用にシフトし、データ活用等を率先して進める。

 

ベンダーも、保守・維持から最先端デジタル技術分野にシフトし、クラウドベースのアプリケーション提供型のビジネスモデルに移行するようになるとし、あらゆる企業がデジタル企業になるとしている。

DX推進システムガイドラインの策定のほか、見える化指標や診断スキームの構築、DX人材の育成確保など、そこにいたるまでの具体的なステップを9月以降に検討していくとしている。

 

出典:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会の報告書『DXレポート~ITシステム“2025年の崖”の克服とDXの本格的な展開~』をとりまとめました」


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。2016年5月〜「ものづくりニュース by aperza」編集長兼任。 趣味は釣りとダーツ