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第二新卒の若手技術者育成の注意点

第二新卒の若手技術者育成の注意点

景気が少しずつ上向いているせいか、中途採用市場が活性化しています。

20年以上前から3割から4割が3年以内に会社を辞めているのが実情である日本において、中途採用の技術者がそれぞれの企業の技術を担っているというのは紛れもない事実でしょう。

組織が大きい大企業ほど中途採用を積極的に進めているのが実情ですが、転職を斡旋する転職エージェントの登場によって中小企業との橋渡しをすることも珍しくなくなりました。

組織の知名度よりもやりがいや働きやすさを重要視する技術者が増えているのかもしれません。

増える「第二新卒」

このような状況において、新卒から1~2年で転職する「第二新卒」と言われる若手技術者も増えてきました。

そして第二新卒の若手技術者の育成には、新卒の若手技術者と異なるアプローチが必要です。

 

まず、第二新卒の若手技術者は経験未熟ながら、

「自分は技術者としての専門性を評価されて入社した」

というプライドやプレッシャーを感じながら入社しているケースが多いようです。

 

第二新卒採用における採用側の観点としては、専門性というよりもその人の性格などを重要視して採用するケースが圧倒的に多いのですが、それでも採用された本人は自分の「専門性」に極めて高いプライドを持っています。

 

このプライドゆえ、前職での経験や学生時代の専門性とあまり関係のない仕事、特に雑用が続くと、

「どうして私は中途採用なのにこのような仕事をやっているのか」

と感じる第二新卒の若手技術者が多いようです。

 

その一方で技術者指導者層の方々にとってみれば、実践力を認めながらも新卒とそれほど差があるわけではないということに加え、

「人手が欲しい」

という動機で採用している以上、初期の頃はオペレーターのような雑用を多くこなしてもらう必要があります。

 

これは、組織の中枢の仕事をする方々の時間捻出という観点からとても重要なことです。

とはいえ、あまり雑用的な仕事ばかりが続いてしまうとモチベーションが低下してしまい、また仕事を辞めてしまうということにもなりかねません。

仕事を一度辞めている若手技術者にとって転職はそれほどハードルの高いものではないためです。

ではどうしたらいいのでしょうか。

「第二新卒」のモチベーションを上げるには

第二新卒で中途採用した若手技術者に対し、月に1度、自分の経験や専門に関する勉強会の講師をやらせるということにより、モチベーションを上げるというのをまず行ってみてください。

時間は1時間でも30分でもかまいません。

「自分は専門家として認められているのだ」

という気持ちを第二新卒の若手技術者に持たせることができればそれで十分です。

 

月に1度くらいであれば時間を作ってあげることも可能ではないでしょうか。

そしてこの勉強会は新卒の若手技術者、中堅の技術者にも講師を持ち回りでやってもらいます。

 

こうすることで、新卒の若手技術者とは切磋琢磨を、中堅の技術者からは学ぼう、という姿勢を第二新卒の若手技術者に芽生えさせることができます。

このような自らの専門性に対する満足感を与えることこそ、第二新卒の若手技術者に先輩や上司の助言を受け入れる心のゆとりを与えるという、その後の育成をスムースにする第一歩となります。

第二新卒の若手技術者を採用した際にはぜひ実践してみてください。


技術者育成研究所所長・FRPコンサルタント。入社2~3年目までの製造業に従事する若手技術者に特化した法人向け人材育成プログラムを提供し、自ら課題を見つけそれを解決できる技術者育成サポートを行う。◎東京工業大学工学部高分子工学科卒業後、ドイツにある研究機関 Fraunhofer Institute での1年間のインターンシップを経て同大学大学院修士課程修了。世界的な展示会での発明賞受賞、海外科学誌に論文を掲載させるなど研究開発最前線で業務に邁進する一方、後身の指導を通じて活字を基本とした独自の技術者人材育成法を確立。その後、技術者人材育成に悩みを抱えていた事業部から、多くの自発的課題発見/解決型の技術者を輩出した。◎11年にわたる企業の技術者勤務の後、自らの専門性を生かし複数企業と直接顧問契約を結ぶFRPコンサルタントとして独立。サポートを行う中で多くの企業が技術者人材育成に苦労している実情に直面。過去の技術者育成経験から、「一般的な人材育成」と異なる技術者に特化した「技術者人材育成」が必要と考え、「技術者人材育成研究所」を創業。FRPコンサルタントとしてFRPに関連する高い専門性の技術指導やサポートを行う一方、その受け皿となる現場の技術者の人材育成にも精力的に取り組んでいる。◎主な著書に『技術報告書 書き方の鉄則』、『CFRP~製品応用・実用化に向けた技術と実際~』(共著)など。◎Professional member of Society of Plastics Engineers( SPE; 米国プラスチック技術者協会)◎– 高分子学会(The Society of Polymer Science) 正会員◎– 繊維学会(The Society of Fiber Science/Technology)正会員◎– NPO インディペンデント・コントラクター協会(IC協会)正会員◎– 国立大学法人 福井大学 非常勤講師 http://engineer-development.jp/