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物流を見直す! 原価と在庫の最適化・削減の着眼点

物流を見直す! 原価と在庫の最適化・削減の着眼点

製造業の経営戦略において重要なファクターであるにも関わらず、見落とされがちな「ロジスティクス(物流)」。

原価や在庫を含め、物流を最適化することで、コスト削減を図ることが可能になります。

今回は、物流改革について考えます。

売上高に対する物流コストの比率は5%前後、窯業関連がもっとも高い

日本ロジスティクスシステム協会は、日本の物流コストに関する調査を毎年実施しています。

2015年6月に公表された2014年度の調査では、売上高に対する物流コストの比率は近年、おおむね 5%弱の水準で推移し、長期的には低下傾向にあるという結果でした。

なお、2014年の調査では、2013年の物流コストを調査対象としており、2013年は燃料価格が上昇傾向であったことで、物流費自体はコスト増となりました。

 

しかし、消費税増税前の駆け込み需要や、国内景気の回復傾向や為替の円安で企業業績が上向いたことで、相対的に売上高に占める物流費の割合が下がったと考えられます。

2014年末から原油価格が世界的に低迷しており、次回の調査では燃料コストの低下が見込めるでしょう。

業種別でみると、製造業では、「窯業・土石・ガラス・セメント」の売上高に対する物流コスト比率が8.70%で最も高くなっています。

 

次いで「食品(要冷)」「紙・パルプ」「金属製品」「プラスチック・ゴム」の順です。

なお、卸売業では「卸売業(食品飲料系)」の 6.81%、小売業では「小売業(通販)」の 12.39%が最も高くなっています。

2014年は物流量が伸び悩み

企業に物流コストの削減策について聞いたところ、「積載率の向上」「保管の効率化」「在庫削減」「物流拠点の見直し」といった回答が多くみられました。

2013年度は、前述のとおり為替の円安傾向などが寄与して企業業績が好転した結果、売上高、物流コスト(総額)、物流量が大幅アップしました。

2014年度は、売上高、物流コスト(総額)については同様の傾向が継続しているものの、物流量については伸び率が縮小し、物流単価は上昇しています。

物流は輸送業務を超えたマーケティングや経営戦略の一端に

最近、消費行動の多様化や低価格化への対応が求められるようになり、物流部門でも小ロット・多頻度納品、ジャストインタイム(在庫削減)などの対応を含め、トータルコストの削減が求められるようになっています。

物流は単なる輸送機能を超えて、企業のマーケティングや経営戦略の一翼を担う戦略的部門になっているのです。

物流の重要性が高まるにつれて、その包含する範囲も広がりをみせています。

 

輸送や配送、保管や荷役といった従来の直接的な業務だけでなく、受発注、流通加工、在庫管理などの関連活動、拠点の配置計画や在庫計画、生産・仕入指示といった情報戦略まで含まれます。

さらには、商品の仕入れや原材料の調達に関わる物流、返品やリサイクルまでもが物流の概念に加わっているのです。

グローバル化の進展や企業間の競争激化で、一層のコスト削減が求められる昨今ですが、物流のカバー範囲が広がったことで、業務の質が落ちては改革の意味がありません。

 

体制や仕組みの改革、システム化や情報化など、抜本的に見直していくことが必要です。

企業経営の中枢に近いレベルで、物流戦略を策定

物流改革を行いたいという場合、まずは自社がどのような成長戦略をとっていくのかを見つめることが必要になります。

なぜなら、いくら物流コストを削減したくても、「新たな販売チャネルや商圏を開拓する」「小口配送やジャストインタイムで顧客ニーズに応える」といった戦略をとっていくならば、一時的に物流コストが増えることは避けられないからです。

こうした場合、例えば運送業者と交渉して運賃のダウンを図ったとしても、根本的な改革にはなりません。

 

企業経営の中枢に近いレベルで、物流戦略を見直していくことが大切です。

コスト削減とともに災害時のBCPも考慮を

昨今の物流改革で、コストの削減とともに重視すべきなのは、災害時のバックアップ機能です。

2007年に起きた新潟県中越沖地震では、新潟県柏崎市にある自動車部品工場が被災したため、自動車メーカー12社もほぼ全面的に生産停止となりました。

再開まで数カ月かかるという見方もあった中、自動車メーカーからの人員派遣などの支援があったおかげで、地震発生から1週間で工場の操業再開にこぎつけ、自動車メーカーの生産停止も3日程度で済みました。

 

この事例では、トヨタが誇るジャストインタイム生産方式の弱さが露呈したという声もありましたが、トヨタの経営陣はむしろ、部品や設備ごとに細かな管理をする同生産方式のおかげで、どの部分がボトルネックになっているのかという原因究明が容易だったと述べています。

それでも、重要な部品供給を1社に頼っているというのは、BCP(事業継続計画)的にも望ましい状況ではありません。

トヨタはこうした災害時の経験をもとに、昨年から10次下請けにいたる国内部品メーカー約1万3000社の生産情報を把握し、災害が起きたらすぐに代替調達を行うといった物流システム改革に乗り出しています。

 

出典:『日本の製造業革新トピックス』株式会社富士通マーケティング


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