検定ビジネスにおける商標権の活用

検定ビジネスにおける商標権の活用

検定試験のブランド力

日本人は検定が大好きです。

ある分野について詳しい知識を持っていることを周りの人にわかってもらおうと思ったときに便利なのが、検定です。

たとえば「漢字検定」(正式名称:日本漢字能力検定)が有名な例です。

漢字検定の受検者は200万人を超えるほどといわれています。

「漢字検定」は、公益財団法人日本漢字能力検定協会が商標権者である登録商標です。

法定の国家資格でもないのに多くの受検者を集められるのは、登録商標「漢字検定」のブランド力もあってのことかもしれません。

なお、日本漢字能力検定協会は、「漢字検定」のほか正式名称の「日本漢字能力検定」や略称の「漢検」についても商標登録を受けており、商標権を重要視していることが窺えます。

著作権では守れない

検定試験の問題などは著作権で保護することができます。

しかし、問題の内容や構成をまったく違うものにすれば著作権上のバッティングを避けることはできるので、検定試験の独自性を著作権で確保するのは困難です。

やはり、検定をビジネスとして確立させるには、検定の名称そのものをブランド化することで、他の類似検定と差別化することが必要になります。

その際に役立つのが、漢字検定の例でも紹介した、商標登録の制度です。

以前には京都・観光文化検定試験が話題になったことがあります。

同検定は2004年から実施されており、ニュースや新聞などで取り上げられたことで全国各地から1万人が受検したそうです。

この検定は京都商工会議所が独自に行っており、その名称についても京都商工会議所が商標登録を受けています。

検定で商標を調べると

それ以外にも、世の中にはいろいろな「○○検定」があります。

特許情報プラットフォームJ-PlatPatを使ってちょっと調べただけでも800件近くの検定を見つけることができました。

検定をビジネスとして展開する場合には、著作権だけでは守りにくいので、重要な防御策の役割を果たすのは商標権となります。

その点を理解して検定を実施する団体の多くが、検定の名称を商標登録しているのです。

有名な検定としては野菜ソムリエ協会が行っている「野菜ソムリエ」の検定もあります。

さまざまな著名人が受検して資格を取っているように、とても有名な検定試験となりました。

当然ながら、商標登録もされています。

商標登録がされていることにより、協会が実施している検定試験に合格していないのに「野菜ソムリエ」と名乗ることを禁じることができます。

仮に商標登録を受けていないとすると、誰でも「野菜ソムリエ」と名乗ることができてしまうので、その検定のブランド価値が下がってしまいます。

検定に合格しないと名乗れない。だからこぞって受検するのでしょう。

もし、あなたが、何かにとても詳しくて、「○○検定」を創設したいと考える場合には、早目に商標登録をしておくのがよいでしょう。

検定ビジネスにおける商標権の活用

出典:『検定ビジネスにおける商標権の活用』(発明plus〔旧:開発NEXT〕)


弁理士。コスモス特許事務所パートナー。1980年愛知県生まれ。愛知大学卒業、名古屋工業大学大学院修了。LECで弁理士受験の講師を務める。オモシロ特許研究会を主宰し、知的財産権の大切さを伝えるため全国で講演を行う。自身、商標権を活かしたアイデア商品を作るベンチャー企業、TimeFactory株式会社を設立、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標・ものづくりを応援するフリーペーパー『開発NEXT』を発行、「開発NEXT Web」( http://kaihatsu-next.com/ )を運営している。