本当のスマートファクトリー

本当のスマートファクトリー

先日、ダボス会議を主催する世界経済会議が選定した世界の最先端工場「Lighthouse」のひとつである、シュナイダーエレクトリックのフランス・Le Vaudreuil(ル・ヴォードライユ)工場を見学することができた。

パリから車で約1時間超のところにある工場で、電磁接触器の製造やインバータのカスタマイズなどを行っている“スマートファクトリー”だ。

 

1975年稼働開始の歴史ある工場で、生産設備や建物設備は最新とは言えない。しかし製造装置にはセンサが取り付けられ、工程ごとにエッジコンピュータで情報を管理。構内には特別なセキュリティを施したミニデータセンターがあり、現場にはデジタルダッシュボードが置かれ、作業進捗や稼働状況を一覧で表示。

現場は磁気テープがなくても自在に動くインテリジェントなAGVが動き回っている。装置に異常が発生した時は、現場作業者がARを使って現物と装置のデータを重ね合わせて見ながらチェックをして迅速にトラブル対応。IoTなど最新のシステムをあと付けして最新工場に華麗に変身。まさに思い描くようなスマートファクトリーであった。

同時に、彼らが強調していたのが、工場内のエネルギーマネジメント。ファシリティからデータを収集して省エネ活動を進め、2014年に比べて15%減を達成。今年も省エネを継続し、さらに4%減を目指すという。

 

「最小の資源で最大の効果を出す」工場の究極的な目標はここにあり、今回見学した工場はまさにそれを地で行く良いお手本だった。今ある設備を最大限活かすように改良し、不良を出さずに材料をムダなく使い切り、製造装置の稼動を止めずに時間も浪費しない。

さらに電力などエネルギー消費も最小限に抑えて、支出を減らす。こうすることで時間あたりの生産量を最大化し、利益幅を大きくできる。

スマートファクトリーというと、ついつい製造現場と作業効率化に目が向きがち。しかしファクトリーは生産設備だけではない。それを支える建物設備、ファシリティも一緒に管理することで初めてスマートなファクトリーが完成する。全体最適に向けて良い学びだった。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。2016年5月〜「ものづくりニュース by aperza」編集長兼任。 趣味は釣りとダーツ