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新規事業でエネルギー市場に参入、リコーがIoTで狙う省エネの先 (陰山...

新規事業でエネルギー市場に参入、リコーがIoTで狙う省エネの先 (陰山遼将,[スマートジャパン])

 リコージャパンは「スマートコミュニティJapan 2016」(2016年6月15〜17日、東京ビッグサイト)に出展し、同社の企業向けのエネルギー関連ソリューションを展示した。既存のOA機器事業で培った販路を強みに、法人向けの電力販売からIoT(Internet of Things)を活用したオフィス内の省エネまで、幅広く電力コスト削減ニーズの獲得を目指していく方針だ(図1)。

 「環境経営」で知られるリコーグループ。2016年4月に静岡県御殿場市に「リコー環境事業開発センター」を開設するなど、現在、エネルギーやリサイクルといった環境を基軸とした新規事業の立ち上げに注力している。エネルギー事業は2年ほど前から推進しており、現在では太陽光発電のO&Mや電気自動車用の充電器の設置・保守など、複数の領域で事業展開を進めている。

 企業向けの電力販売サービス事業もその1つである。リコージャパンは2015年に小売電気事業者登録を済ませ、新電力として同年9月からまず法人向け高圧電力の販売を開始している。販売エリアは当初の関東・近畿エリアから、現在は中部・九州エリアにも拡大した。顧客企業の1年間の電力使用状況から電力コストの削減見込みを算出し、既存の電力会社より数%安い価格で提供している(図2)。販売する電力は、新電力のLooopから約2割、既存の電力会社から約3割、残りは卸電力市場から調達しているという。

 2016年4月以降も100件以上の申し込みがあり、販売は好調だという。「オフィス機器などを導入している顧客を中心に提案を進めている。電力の購入先を、これまで関係のなかった企業に切り替えることの心理的なハードルは思ったよりも高い。『これまで付き合いのあるリコーだから』という理由で切り替える企業も多い」(リコージャパン)。

 一方、電力販売事業は単体では事業としての大きな利益を見込みにくい事業でもある。そこで、同社ではこうした電力コストの削減とともに、エネルギーマネジメントシステム(EMS)やLED照明、高機能空調や複合機などの省エネ機器の「セット提案」も進めている。さらにその先を見据え、顧客に提供した省エネ機器にさらなる付加価値を持たせた新サービスの開発も進めている。

“つながる”LED照明で新しい付加価値を提供

 ブースでは現在リコーが開発中の新サービス「リコースマートファシリティ」を参考出展した。これはリコーのセンシング/制御技術を活用することで、オフィスなどの照明・空調コストを大幅に削減することを目指したサービスだ。

 サービスのキモとなるのは同社が開発を進めている新型LED照明である。これはLED照明本体に複数のセンサーを搭載し、室内の照度、人の有無、湿度・温度などを計測できる機能を加えたものだ。920MHz(メガヘルツ)帯を利用する無線モジュールも搭載しており、オフィスの照明として取り付けることで室内の明るさや温度・湿度を自動で計測できるようにする。そしてこの情報をもと照明や空調の運転をエリアごとに最適に制御することで、オフィス内のムダな消費電力を徹底的に削減するというサービスだ。

 実証としてリコーの広さ500平方メートル、100人ほどの従業員が働くオフィスに導入したところ、照明電力を約80%、空調電力を約40%削減でき、1日当たりの合計消費電力量を従来の292kWh(キロワット時)から58%減の122.5kWhまで削減できたという(図4)。

 リコーがこのサービスでターゲットとしているのが既設のオフィスだ。「こうした空調や照明の制御システムは、新築のビルやオフィスには導入されることも多い。しかし日本にはバブル期に建設された古い建物が非常に多くある。そして今後はこうした既にある建物やオフィスの省エネニーズが高まっていくと見ている。そもそも全体の割合を見ると、LED照明を導入しているビルやオフィスもまだまだ少ない。既設のオフィスを対象とするため、業務への負荷が少なくなるように新たな配線工事を不要にするなど、設置工事も最小化できるように開発を進めている」(リコー)。

狙うのはデータ活用による新サービス

 「リコースマートファシリティ」の展開によるリコーの本当の狙いは、省エネだけではないという。ブース担当者は「最終的な目標としているのは単なる省エネの提供ではない。このサービスの導入によって得られるデータを活用した、新しいサービスの提供だ」と述べる。

 センサー類を搭載したLED照明を取り付けオフィスのデータを収集・集積していくと、従業員による“オフィスの使い方”が見えてくる。こうしたデータから「このエリアはあまり使われていない」「動線がよくないのではないか」といった分析を行っていくことで、オフィス環境の改善提案などが行えるのではないかという狙いである。

 「IoTの活用が話題となっているが、まさにそういった思想で開発を進めているサービス。導入した顧客対して単にモノを販売していくだけでなく、さらに一歩踏み込み、収集したデータを活用した新しいサービスの提供も視野にいれている」(リコー)。サービスの提供開始時期については「2016年中の提供はないが、なるべく早く提案を開始したいと考えている」(同社)としている。


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