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情報は《鮮度》が大切ということを意識させる

情報は《鮮度》が大切ということを意識させる

報告書の提出はスムーズですか?

部下である若手技術者に何かの会議の出席を任せた時、出張を任せた時、そして開発業務を任せた時を想定してください。

 

それに対する、議事録、出張報告書、ある程度の開発の区切りでの技術報告書がどのくらいのペースで出てきているでしょうか?

議事録は1、2日後ですか? 出張報告書は出張から帰ってきてから3、4日以内ですか?

はたまた、技術報告書は開発業務がすべて終わるまで書かない状態ですか?

もし、上の問いかけについて、

「自分のチームの若手技術者からは、その程度の時間で報告書が出てくる」

というようでしたら、

「情報の鮮度意識」

が不十分といえます。

 

もしかすると、

「明確な報告書提出期限を設けていない」

「技術報告書はほとんど書かない」

といった状況かもしれません。

もしそうだとすると事態はより深刻です。

記録することの大切さ。情報の「鮮度」とは

部下がどこかに行ったとき、会議に出た時、何らかの開発業務を任せて、小さいことでも結果が出たとき….。これらの出来事に対して、活字で情報を共有し、それを記録として残すことは極めて大切です。

口頭でのやり取りでは、情報はその場で消えていきます。もちろん、活字での情報に加えての口頭報告は大切です。

どうしても活字では表しきれない微妙なニュアンスについては、口頭で報告してもらうことで細かい情報を確認できるからです。

 

しかし活字で情報を共有し、それを記録することは、誤解が出ないように後で情報を確認する際、とても有効な手法となります。

加えて情報には鮮度が大切である、ということを若手技術者に徹底させることはさらに重要です。

 

議事録は当日。

出張報告書は翌稼働日。

技術報告書は結果が出てから1週間以内。

 

というのが情報の鮮度が失われない目安です。

 

技術者は活字で情報を伝えるのが不得手であることが多い上、主観的な時間軸で過ごす、つまりマイペースな人が多いのです。

このため、情報の鮮度に対する意識が低いことが多々あることから、

若手技術者が情報をため込むことで問題が表に出るまで時間がかかる

一人で仕事を進めようとするため独りよがりな状態で非効率になる

研究開発業務で得られたデータが人の目に触れることなく消えてしまう

といった多くの問題が生じることとなります。

特に鮮度が命の議事録や出張報告書については情報伝達の数日の遅れが様々な業務の遅れにつながり、結果として他社の開発スピードに後れを取ることで売り上げや利益を得る機会を失うことにもなりかねません。

「リアルタイムの情報」の共有

さらに見落とされがちなのが「技術報告書」です。

特許などで技術の権利を主張するのはどこの技術系企業も行っているのですが、特許に書けないような細かいノウハウなどは自社内の機密文書である技術報告書にまとめることが重要です。

 

この最大の目的は、一人で技術情報を抱えがちな技術者から情報を吐き出させ、

「その技術情報をチーム、組織で共有する」

ことです。

 

「自分自身は専門家である」という意識が強すぎる技術者は、人に相談するよりも、自分で解決しようとする傾向があります。

もちろん、自分自身で考えてというのは大切なことですが、それ以上に必要なのは、自分で考えながらも、情報を社内で発信して議論するということで、問題の解決や今後の進め方の指針精度を高めるということが肝要です。

そして技術報告書で報告されるのは、今現在の悩みや問題、そして新たな結果といった「リアルタイムの情報」であることが好ましいです。

最前線での情報を共有することで、技術者指導者である上司も最新状況が把握できるうえ、技術報告書をまとめた本人も今現在の問題や結果なので議論した時の情報収集スピードが上がります。

 

いかがでしたでしょうか。

議事録、出張報告書、技術報告書といった文章での報告を鮮度よく行える文化を醸成するため、若手技術者には情報の鮮度の大切さを認識させるようにしてください。


技術者育成研究所所長・FRPコンサルタント。入社2~3年目までの製造業に従事する若手技術者に特化した法人向け人材育成プログラムを提供し、自ら課題を見つけそれを解決できる技術者育成サポートを行う。◎東京工業大学工学部高分子工学科卒業後、ドイツにある研究機関 Fraunhofer Institute での1年間のインターンシップを経て同大学大学院修士課程修了。その後、複数の大手メーカーにて技術者として勤務。専門外の企業に転職したときは周りの会話についていけないという苦境に陥るが、試行錯誤の末に活字を基本とした独自の思考法を確立、開発最前線で成果を積み上げたことにより最先端研究プロジェクトリーダーに昇格。また、自らの立ち直りに実践した思考法を応用した技術者育成法により、技術者人材育成に悩みを抱えていた事業部から、多くの自発的課題発見/解決型の技術者を輩出。当時評価の低かった若手技術者を事業部最年少海外駐在者として送り出すなど、技術者教育でも高い評価を得た。◎11年にわたる企業の技術者勤務の後、自らの専門性を生かし複数企業と直接顧問契約を結ぶFRPコンサルタントとして独立。川中から川下の企業の研究開発最前線での技術指導、サポートを行う中で多くの企業が技術者人材育成に苦労している実情に直面し、専門性を生かすも殺すも人材に大きく依存することを実感。さらに自らの技術者人材育成経験から技術者育成には一般的な人材育成と異なる技術者に特化した「技術者人材育成」が必要という考えに至った。その後、技術者に特化した人材育成プログラムがほとんど存在しないことに着目して「技術者人材育成研究所」を創業、FRPコンサルタントとしてFRPに関連する高い専門性の技術指導やサポートを行う一方、現場の技術者の人材育成にも精力的に取り組んでいる。◎主な著書に『CFRP~製品応用・実用化に向けた技術と実際~』(共著)など。◎Professional member of Society of Plastics Engineers( SPE; 米国プラスチック技術者協会)◎– 高分子学会(The Society of Polymer Science) 正会員◎– 繊維学会(The Society of Fiber Science/Technology)正会員◎– NPO インディペンデント・コントラクター協会(IC協会)正会員◎– 国立大学法人 福井大学 非常勤講師 http://engineer-development.jp/