[就任インタビュー]コグネックス立脇ジャパン・ディレクター、日本は重要...

[就任インタビュー]コグネックス立脇ジャパン・ディレクター、日本は重要な市場

マシンビジョン&ディープラーニング
世界シェアトップを誇るコグネックス

AIやディープラーニングと組み合わせた画像処理への関心が高まるなか、FA・産業領域における画像処理の現状について、コグネックスの日本法人のジャパン・ディレクターに就任した立脇竜氏に話を聞いた。

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立脇 竜ジャパン・ディレクター

 

—— 日本市場の位置づけについて

日本にはマザー工場としての機能があり、現場改善や品質改善に対する意識が高く、最新の技術に関心を持つ人材が多く在籍している。

また国内生産の企業も、高い技術レベルで現場を維持し、変化に対して何か手を打たなければならないと思っている人が多い。特にFAやマシンビジョン業界では、世界のなかでも日本のプレゼンスは高く、当社にとって重要な市場と位置づけている。

現在、「ロジスティクス」「3Dビジョン」「インダストリー4.0」「ディープラーニング」の4分野が伸び、特にディープラーニングに最も力を注いでいる。

 

—— 具体的にはどういった取り組みを?

これまでの画像処理はルールベースが主流だったが、そこにディープラーニングが加わることでマシンビジョンに大きな変革が起きている。

ルールベースは、高精度アライメントや計測、コード読み取りなどルールが決めやすいもの、安定した形状の識別を得意としている。一方、ディープラーニングの場合、検査やゆがんだ部品の位置計測、変形した文字のOCRなど予測できない形状の変化の識別を得意とする。

なぜディープラーニングが必要かと言うと、生産される製品の種類が増え、小ロット多品種になり、これまでのルールには収まらない、予測できない不良やエラーが増加している。製品が高度化すればするほどエラーは出やすくなり、その種類や数が増えてくる。それに対応できるのがディープラーニングだ。

 

—— 御社のディープラーニングに対する取り組みは?

2018年6月、世界で初めて官能的検査を自動化できるディープラーニングベースの画像処理ソフトウエア「VisionPro ViDi(以下ViDi)」を発売した。

ViDiは世界中で数多くの現場で導入され、日本でも自動車やエレクトロニクス、食品や医薬品業界など300以上のライセンス購入がある。POCや検証レベルを越え、実際の生産ラインで活用されている。

ViDiが生産ラインで使われている最大の理由は「使いやすさ」にある。通常、ディープラーニングの画像処理ロジックを作るには、数十万から100万枚の画像を用意して、GPUを搭載したハイパワーのPCで長時間学習させる必要がある。ViDiは、数十枚から100枚、1000枚程度の画像でロジックが完成する。ロジックの作成も、画面上の指示に従っていくだけのコンフィグ形式で行い、プログラミングをする必要がない。

事実、マシンビジョンのディープラーニングのグローバル市場では、当社が34.3%でトップシェアを占め、28.6%の第2位のSUALABも昨年、当社が買収した。市場の3分の2を当社が押さえている。

 

—— 新製品「In- Sight D900」について

より簡単で低コストで導入でき、もっと汎用的なアプリケーションにディープラーニングを使ってもらうための新製品が「In- Sight D900(以下D900)」だ。

D900は、GPU搭載スマートカメラと、ソフトウエアとしてViDi、レンズや照明などの周辺機器もセットになったディープラーニングのオールインワンパッケージ。外観や見た目は従来のスマートカメラと同じでレンズや照明、フィルタ等が豊富にそろい、選定や検証の手間がいらない。

アプリケーションに関しても、用途に応じてアッセンブリ検証用の「ViDi check」、文字やバーコード、2次元コードなど読み取りのOCR機能を強化する「ViDi Reader」、欠陥検出用の「ViDi Detect」の3種類を提供している。

またロジックの作成から現場で使うまでのプロセスも簡単で素早くできる。WindowsPCにインストールしたViDiで数十枚の画像からディープラーニングのロジックを作り、それをD900に入れて現場に設置すれば、すぐにディープラーニングによる検査を始められる。作成したロジックはD900スマートカメラ内で動くので、別ラインや別工場へ横展開する際もコストパフォーマンスに優れている。

 

—— ディープラーニングの普及に向けて

ディープラーニングやAIは、経営層や管理者層が興味を持ち、そこから製造現場に降りていくケースが多い。もっと現場で実際に使う人々への理解を深めていく必要がある。

私の認識は、ディープラーニングとルールベースの画像処理は別物ではなく、ルールベースの延長線上にディープラーニングがあると思っている。工数がかかっていたロジックを作る作業を効率化でき、ルールベースでは不可能だった検査に対しても自動化できるようになるというツールだ。

ViDiはルールベースのロジックにディープラーニングのロジックを簡単に組み合わせることができ、その逆も可能だ。どんな検査でもAIやディープラーニングを使って自動化すればいいという訳ではなく、ルールベースとディープラーニングをうまく使いこなすことが大事だ。

 

—— 今後について

日本は世界で最もディープラーニングの導入が進んでいる一方で、昔ながらの古いインターフェースも多く使われている。その置き換え需要とディープラーニング需要の両方がある有望かつ重要な市場だ。より使いやすく、効率化を実現できる製品を提供して存在感を強めていく。

また最先端のマシンビジョンを試せる場として、6月に東京本社内にショールームを開設する予定だ。実機を見ると同時に、デモや検証、トレーニングもできる体制を整え、お客さまに当社の技術とカルチャーを体験していただけるようにする。

 

参考:コグネックス


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。2016年5月〜「ものづくりニュース by aperza」編集長兼任。 趣味は釣りとダーツ