安全衛生活動の質をIoTで高めたい

安全衛生活動の質をIoTで高めたい

現場の主役はあくまで「人」であり、どんなに技術が進化しても地道な安全衛生活動は絶対に欠かせない。

IoTを安全衛生活動の質向上に生かす、という話です。

1.安全衛生管理は儲かる工場経営の影の主役

情報通信技術(ICT)が現場の隅々にまで行き渡っても……。

IoTでつながる工場が実現して生産性が極大化されても……。

モノづくりの現場が、どんなに進化しても変わらないことをひとつ思い浮かべて下さい。

このように問われたら何を思い浮かべますか?

私は……、「安全」です。

 

現場の管理者時代のことです。安全衛生の問題が多発した期間がありました。

毎月1件以上、安全衛生関連の問題が発生する……。こうした状況が約半年続いたのです。

 

安全衛生の問題で苦労した経験から、今でも現場の安全は気になります。

経営者様のご相談事項と趣旨は違うものの、現場で気になることはご指摘申し上げます。

安全衛生管理は儲かる工場経営の影の主役です。

これでつまづくようでは、利益を出すとか、付加価値を生むとか、云々する以前の話になります。

生産活動に影響を与えずに安全意識の定着を図ることは極めて大切な取り組みです。

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2.安全衛生活動の質を高めるのにIoTを生かす

技術が進化すれば、それに伴って安全のコンセプトも進化します。

技術の進化とともに「人」中心の安全のコンセプトが重要になってくると言われています。

そして、Safety2.0が提唱されています。

 

「Safety0.0」:自己責任

「Safety1.0」:安全制御

「Safety2.0」:人とロボットが安全に協業するための新技術

インダストリー4.0に対応した安全のコンセプト

 

Safety0.0→1.0を経て、2.0はどうなるのか?人とロボットの協業がイメージされています。

 

どんなに技術が進化しても、安全意識を現場に浸透させることは忘れてはなりません。

安全ポイントを毎朝唱和する、毎週定期的に安全ミーティングを開催する、日々現場のKYを実施する。

こうした手法は今後も地道に続ける必要があります。現場の主役が「人」である以上、絶対に変わりません。

 

ただし、安全衛生活動を推進する「道具」はドンドン新しいものに変えて、やってみます。

IoTもそうした道具のひとつとして、活用することを考えたいです。

 

東京電力は発電所のIoT化で米General Electric(GE)社と組みました。

多くの電力会社は、停電などのトラブルを防ぐために予測ベースの予防保に長年取り組んでいます。

今さらGE社の技術を導入してIoT化を進める必要はないと考える方が自然です。

それでも東電はGE社と手を組みました。

 

GE社のゼネラル・エレクトリック・グローバル・サービスGmbH パワーサービス ソフトウェア ソリューションセールスマネージャーの関真氏は次のように語っています。

 

「さまざまな機器のデータを収集し、モニタリングして効率を高めるだけではなく運転員の働き方や電力需要、燃料価格なども含めた膨大なデータを分析することで、全体的な運用効率を向上させることができる。」

(出展:日経ものづくり2016年11号)

 

機器だけではなく、運転員の心拍数、体温、体調、勤続年数、シフト、出勤/休憩時間などのデータも分析します。

その他、原油価格や天気、湿度も分析の対象です。

どの因子が効率向上と因果関係にあるのか探るため、おおよそ定量化できる要因は、全て分析の対象としているようです。

ですから運転員の働き方も考慮に入れます。

自分の動きが一挙手一投足、体温から心拍数まで把握される現場からは「なんだかなぁ〜」という声も上がってきそうですが。

これまで気にもしていなかった要因をも、分析対象にするので、新たな因果関係が浮かび上がってくることが期待できます。

あるシフトの組み方をすると、事故が起きる確率が高まるというようなことです。

(出展:日経ものづくり2016年11号)

 

こうした分析は、そのまま安全衛生活動へも展開できます。

労災を発生させた時の状況を検証する有効なデータになります。

心拍数までモニタリングされているので、現場の安全意識が自然と高まることも期待できます。

「無理な作業」はやめておこうと考えるからです。

 

インダストリー4.0の展開の中で、工場はIoTでつながれます。

そこで、安全衛生活動の質を高めるためにIoTを生かすことも考えるのです。

設備毎に設定された安全ポイントの順守状況、不安全行為の頻度、安全活動を検証する道具としても使えます。

設備効率を向上させる新たな因果関係が、見つかるのと同様に、労災発生の因果関係が新たに見つかるかもしれません。

 

労災が発生する背景は複雑です。人的要因、設備的要因、組織風土的要因、……。様々です。容易に特定はできません。

できないからこそ、前兆を捉える努力をするのです。

安全衛生に関して多面的に因果関係を探ります。安全衛生活動でIoTを生かす体制も目指したい。

IoTで得られた膨大なデータから安全ポイントを探ることもできるでしょう。

その結果、安全衛生活動を進化させることが期待できます。

 

これからも、安全には最大限の配慮をします。

安全衛生の問題を発生させた時点で、「儲かる」話はなくなります。

現場も、現場の家族の方々も、悲しむ事態になります。

絶対に発生させてはならないこと、それが安全衛生の問題です。

ですから、情報通信技術(ICT)を活用して、安全衛生活動も進化させます。

 

繰り返します……、どんなに技術が進化しても、地道な安全衛生活動は絶対に欠かせません。

 

現場の安全意識を高める活動を地道に展開していますか?

安全衛生活動の質を高めるためにIoTを活用することを考えませんか?

 

まとめ。

現場の主役はあくまで「人」であり、どんなに技術が進化しても地道な安全衛生活動は絶対に欠かせない。

IoTを安全衛生活動の質向上に生かす、という話です。

 

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出典:株式会社 工場経営研究所 伊藤哉技術士事務所


製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)