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原発稼働で悩む日立、IoTでエネルギー事業の利益率改善へ (陰山遼将,...

原発稼働で悩む日立、IoTでエネルギー事業の利益率改善へ (陰山遼将,[スマートジャパン])

 日立製作所(以下、日立)は2016年6月1日に「Hitachi IR Day 2016」を開催し、同年5月に発表した2016〜2018年度の3カ年で取り組む新中期経営計画(以下、新中計)に基づく各事業の今後の戦略について説明した。2016年4月から新体制に入った電力・エネルギー事業で課題となるのは、低迷する営業利益率の改善だ。

営業利益改善への体制変更

 電力・エネルギー事業の2015年度実績は売上高5195億円、営業利益率は2.2%だった。2016年度の見通しについては、火力発電をはじめとする大規模プロジェクトの減少を考慮し、売上高4630億円で、営業利益は0.6%としている。日立グループ全体の営業利益率を現在の6.3%から8%超えにまで成長させるという新中計の目標値を考えると、非常に低い値だ。

 こうした目標に向けた電力・エネルギー事業へのテコ入れ策として、日立は2016年4月から電力・エネルギー業務統括本部を新設し、その下に「エネルギーソリューションユニット」「電力ビジネス」「原子力ビジネス」の3つのビジネスユニットを置く体制変更を行っている。

 電力・エネルギー事業の新中計について、日立の執行役常務で電力・エネルギー業務統括本部副統括本部長を務める長澤克己氏は「短期的には営業利益率の改善に注力する」と述べる。電力・エネルギー事業全体の2018年度の売上高目標は5500億円、課題の営業利益率は2015年度比で6.5ポイント増の7.1%まで伸ばす計画だ。まずはこの目標に向け、人材配置の最適化や生産性の改善などによるコスト削減に取り組む(図2)。

 そして事業の成長エンジンとして特に注力するのが、IoTやAI(人工知能)をはじめとするデジタル技術を活用した新しいサービスの開発と、それによる新市場の開拓だ。これは日立グループ全体の事業戦略でもある。電力システム改革によるスマートメーターの普及や需給管理、系統安定化など、電力・エネルギー分野でもITを活用した次世代システムを求める動きが進む中で、日立が自社の強みとして掲げる「IT(情報技術)」と「OT(制御技術)」を積極的に活用したサービスの開発を進めていく。

 「世界の発電量は今後もまだまだ増えていくと見ている。さらに、地球温暖化に対応するための省エネ需要も拡大しており、再生可能エネルギーや原子力分野も市場成長の見込みがある。こうした中でITとOTを組み合わせたソリューションを求めるニーズや市場が広がってくると考えている」(長澤氏)

エネルギーソリューション分野は北米開拓を目指す

 電力・エネルギー事業の3つのユニットのうちエネルギーソリューションユニットは、電力会社や製造業、デペロッパー、通信・金融などのさまざまな日立の顧客企業に対しCO2削減や省エネ関連のサービスなどを提供している。2015年度の売上高は851億円で、2018年度にはこれを1100億円まで伸ばす計画だ。

 国内では電力システム改革の進行や分散電源ニーズの高まりに向け、IoTソリューションを幅広く提供していく。具体的には特に高圧直流送電システム(HVDC)、スマートメーターデータの解析ソリューション、デマンドレスポンスやバーチャルパワープラントの3分野に注力する(図2)。現在実績の少ない海外事業も伸ばす計画で、特に市場規模の大きい北米を注力地域とする。既に2016年5月に拠点を開設しており、北米で進む再生可能エネルギーの導入拡大による系統安定化需要などを開拓していく計画だ(図3)。



図2 国内の注力領域/図3 海外では北米市場の開拓を進める出典:日立製作所

風力発電シェア40%獲得へ

 電力ビジネスユニットは風力・太陽光やガス・火力をはじめとする発電事業と送変電システム事業、発電設備の遠隔監視やフィールドサービスなどを含むサービス事業を手掛ける。日立と三菱重工業とが出資する三菱日立パワーシステムズも含まれる。3つのビジネスユニットの中で最も売上高が大きく、2015年度実績では日立の電力・エネルギー事業の約57%を占める。2015年度の売上高は2705億円で、2018年度の目標は3200億円だ。

 サービス分野ではIoTによる付加価値サービスで、太陽光や風力などの発電設備の運用保守ニーズの開拓に注力し、売上高20%成長を目指していく。送変電システム事業では、国内の電力システム改革関連の需要の取り込み強化と、北米、アジア、中東を注力地域として海外での案件獲得も推進していく。

 50%と最も高い売上高成長を目指すのが発電事業だ。既にシェアを多く持つ風力発電事業を更に成長させ、国内シェア40%以上を目指していく。2016年度は130基の受注を目指す計画だ。さらに電源のラインアップも強化し、バイオガス発電市場の開拓も進めていくとしている(図4)。

原子力は海外事業に注力

 原子力ビジネスユニットの2015年度の売上高は1872億円だが、一時的な売上増加要因があったとして2016年度の見通しは1500億円としている。2018年度の売上高目標は2015年度比10%成長の1650億円だ。今後の戦略として国内事業では福島第一原発の廃止措置への取り組みと、その他の原子力発電所の早期再稼働に向けた審査支援を継続するとしている。さらにIoT技術を活用した安全性とプラント稼働率の向上にも注力していく。 

 原子力ビジネスユニットでは、国内事業を基盤としながら、将来は海外事業で成長を図っていく方針だ。日立は2012年に英Horizon Nuclear Power社を買収し、英国における原子力発電所の建設計画を進めている。こうした海外事業の推進により、2020年度には売上高を2800億円に拡大する計画だ。


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