ものづくりニュース by aperza

南部鉄器をロボットで作る 生き残りを図る伝統産業

南部鉄器をロボットで作る 生き残りを図る伝統産業

伝統工芸品というと、職人が一つひとつ手で作るイメージがあるが、岩手県の伝統工芸品である南部鉄器はそれをロボットで作ろうとしている。と言っても、ロボットがすべての作業を行うのではなく、職人技が必要なく、誰でもできる作業をロボットが担当し、本当に重要なキモの部分を職人が集中して行う。こんな作業分担を試験的に行っているそうだ。

▼具体的にロボットが行ったのは、仕上げ作業のうち、鉄製急須の内面の錆止めを行う琺瑯引きの工程。それまで職人が重い鉄器を手で持ちながら作業を行っていたところにロボットを導入。腕の疲れがなくなって作業負荷が激減し、さらに生産性も上がり、非常にうまくいったとのこと。職人も喜んだそうだ。

▼日本は小さな島国ながら、全国各地に独自の文化があり、そこにさまざまな伝統産業や工芸品が存在する。近年、訪日外国人の増加とともにそれらが海外で高く評価され、海外からの注文も出てきている。その一方で、後継者が入って来ないために職人の数は減り、あと10数年もすれば途絶えてしまうなんてものも少なくない。その解決策、延命策としてロボットの導入は有効だ。伝統工芸品をロボットが作るとその良さが失われるなんて意見が出るのは容易に想像できるが、観光立国を模索する日本にとって、その魅力や武器の一つが失われる意味でも、長年続いてきた技術や伝統が途絶えるのは、文化的にも経済的にも大きな損失である。伝統文化と産業保護のためのロボット活用。こんなテーマもたまには良い。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。2016年5月〜「ものづくりニュース by aperza」編集長兼任。 趣味は釣りとダーツ