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中小製造業の【実行するMini-Industry 4.0】『レトロ指向...

中小製造業の【実行するMini-Industry 4.0】『レトロ指向』がオートメーション化を実現する

※2015年12月に書かれた記事です。

 

2015年も年の瀬を迎えようとしている。

製造業界にとって本年は、歴史的な潮目の変化を感じる年であった。

BRICsと騒がれた新興国への期待は、中国の経済変調の影響で大きく後退した。

 

また、安い労働力を求めた『チャイナ・プラスワン』は大幅に影を潜め、海外進出から一転し日本回帰に舵を切る企業が増えてきた。

一方で、インターネットを活用する社会構造の変化スピードは早く、本年2015年は、IoT(Internet of Things, モノのインターネット)やICTを活用した製造革新への動きが活発化した。

特に、製造業の生産システムやモノづくりのイノベーションをもたらす『インダストリー4.0』の波が全世界に伝搬し、日本でも本年6月に日本機械学会の『Industrial Value ChainInitiative(IVI)』が発足し、100社以上の企業や団体が参加し、目的別のワーキンググループ(WG)ごとに、“緩やかな標準”作りに向けた活動が始まっている。

 

米国GE提唱の『インダストリアル・インターネット』は本年度になって本格的に全貌を現した。

その概要は、製造業のQCD(品質・コスト・納期)追求にとどまらず、サービス領域全般を対象としている。

航空業界を筆頭に、輸送サービス業界、電力・エネルギー業界、医療業界など多岐に渡る社会構造全体のイノベーションである。

 

GEでは、IoTを支える高度にインテリジェント化されたセンサーの開発も実行されており、ここから得られるあらゆるビッグデータが人工知能などによって解析される。

解析結果は『人』の効率化も実現する。その仕組みにより、サービス全体の品質・コスト・納期の大幅改善を目的にしている。

米国は、『インダストリアル・インターネット』の活用による『新たなビジネス創出』を目論んでおり、インターネット革命に次ぐ革命と定義し“第3の波”とよんでいる。

 

この“第3の波”も、本年2015年を起点に来年以降、世界的な一大イノベーションを起こすと予想される。

『インダストリー4.0』も『インダストリアル・インターネット』も、大それた『革命』という言葉を使用している。

『革命』の言葉に、過去を破壊する暴力的なイメージが秘められているが、その言葉どおり『インダストリー4.0』も『インダストリアル・インターネット』もかなり破壊的な要素を含んでいる。

 

かつて100年以上前に『電気』が産業や社会生活で使われはじめ、敷設された商用電源が産業社会の根幹となり、長い期間に渡り(電気を使う商品が開発され)社会は激変した。

今日インターネットでも同じことが起きようとしている

現代のインターネットは、商用電源ネットワークとともに社会全体の根幹を支えている。

 

このインターネットを活用し、IoTというコンセプトのもとで、センサー技術や人工知能技術など、新技術を背景に推進されるのが、『インダストリー4.0』であり『インダストリアル・インターネット』である。

まさにトーマス・エジソンから始まるゼネラル・エレクトリック(GE)の歴史の再来といっては過言だろうか?

これらの(インターネット活用技術が)台頭する新時代では、旧システムが破壊的に抹殺されることを疑う余地はない。

 

残念ながら、日本の中小製造業では、このような認識が極めて希薄であるが、この革命を意識し、時代の変化に対応しないかぎり、中小製造業が未来永劫発展を続けることは至難の技である。

今の概念を固守し、変化への対応を避けていたら、どんなに優れた企業でも近い将来に破壊的抹殺の対象にされてしまう。

中小製造業経営者が破壊的抹殺を逃れるために、インダストリー4.0実現を経営方針に掲げたとしても、その実践は簡単ではない。

 

インダストリー4.0の実証例は、ボッシュ・シーメンス・BMWなど多くの企業例が紹介されているが、日本の中小製造業にとっては、雲の上の話であり、自社での実現性に欠けてしまう。

これらの大企業では、オートメーション化も相当の水準に達しているが、中小製造業が昨今の経済環境のもとで、大規模なオートメーションシステムの導入を断行するのは簡単ではないし、得策ではない。

ここで改めて、中小企業にとっての現実的なインダストリー4.0への到達手段が必須となる。

 

中小企業のための【実行するMini-Industry 4.0】に必要な概念は、『レトロ』である。

『レトロ(Retro)』とは、Retrospective(回顧)の略語であり、懐古趣味と一般社会では使用されているが、製造業での概念は、稼動中の(古い)機械に新たな装置やソフトを付加し、機能を大幅向上することをいう。自動化装置やロボットを『後付』し、オートメーション化を図ることなどが、非常に有効な投資手段となる。

この実現が、中小製造業の実態に即した有効な『打ち手』となる。

 

日本の中小製造業で稼働中の機械は、機能的にも精度的にも優れた最新鋭機が多く存在する。

現有機械をそのまま活用し、『レトロ』によって機能向上をしながら、オートメーション化やIoT化を実現することが、【実行するMini-Industry 4.0】の真髄である。

世界中で開催される国際展示会では、大メーカーによるインダストリー4.0の提案が盛んであるが、残念なことに中小製造業自身、および中小製造業を対象とするレトロ・ソリューションを扱うメーカーからの提案は極めて少なく、特に日本では皆無といっても過言ではない。

 

2016年は、中小製造業の【実行するMini-Industry 4.0】の具体的ソリューションを提案するメーカーが多く現れ、日本の中小製造業が大きく前進するチャンスの年になることを祈る。

※2015年12月に書かれた記事です。


株式会社アルファTKG社長。1953年長野市生まれ。2014年3月までアマダ専務取締役。電気通信大学時代からアジアを中心に海外を訪問して見聞を広め、77年にアマダ入社後も海外販売本部長や欧米の海外子会社の社長を務めながら、グローバルな観点から日本および世界の製造業を見てきた。 http://a-tkg.com/