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デジタイゼーションとデジタ”ラ”イゼーション。部分最適と全体最適の使い...

デジタイゼーションとデジタ”ラ”イゼーション。部分最適と全体最適の使い分け

最近聞いた言葉のなかで、最も印象深かったのが「デジタイゼーションとデジタ“ラ”イゼーション」。シーメンスPLMソフトウェアの事業戦略の取材のなかで、近年、事業が傾いた企業に共通する失敗の原因を解説する場面でこの言葉が登場した。デジタ”ラ”イゼーションではなく、デジタイゼーションと思っている企業は、その後のビジネスがうまくいかなくなってしまいがちなのだそうだ。たった1文字「ラ」があるかどうかでビジネスが大きく左右される。いったいこの2つの違いとは何なのだろうか?

▼同社の堀田邦彦カントリーマネージャーに聞くと、この違いは「部分最適」と「全体最適」だと解説してくれた。デジタイゼーションはある工程や作業を効率化するためにデジタルツールを利用することで、それ自体は悪いことではない。しかし視点が短期的に止まり、効果も限定的だ。継続して効果が出せるかどうかは分からない。一方、デジタ“ラ”イゼーションは、自社はもちろん、外部環境や自社のビジネスの今後も含めて長期的な視野でデジタル化に取り組んでいくもの。一朝一夕で、簡単に、小さな設備投資でできるものではない。すぐに効果が出るものでもない。現時点では最適解も分からない。しかしデジタル変革の波は時代の流れであり、この波に全社挙げて乗って行こうというのが”デジタライゼーション”である。確かに2つには局所的と全域的という大きな違いがある。

▼日本の製造業は現場が強いと言われる。「強い」は、能力が高いという意味だけでなく、発言力や実行力といった影響力も含む。現場力は大きな武器であることは間違いない。しかし、それを重視するあまり、現場が聖域になりかねず、経営や営業の最前線、さらにはユーザーとの距離ができ、「利益を生み出す」という企業本来の目的から離れてしまう可能性もある。日本で製造業のデジタル化やIoT化と言った場合、現場をデジタルの力で強くするという文脈で話されることが多く、デジタイゼーション的な意味合いが強い。現場の生産性向上や効率化の取り組みは、あくまで利益を生み出すための一つであり、それがすべてと思ってはいけない。経営者は、製造の現場も営業の最前線も含めて、全社的にどうデジタル化の波に乗っていくかを検討し、自らが旗を振って進めることが大切だ。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。2016年5月〜「ものづくりニュース by aperza」編集長兼任。 趣味は釣りとダーツ