シンガポール「ITAP」盛況、ASEANに広がる第四次産業革命の波

シンガポール「ITAP」盛況、ASEANに広がる第四次産業革命の波

ドイツのインダストリー4.0、アメリカのインダストリアルインターネット、日本のコネクテッドインダストリーズ、中国の中国製造2025など、世界の主要な製造強国が国策として第4次産業革命を推進している。一方、世界の工場たるASEAN各国でも国策としてデジタル化の推進を掲げ、第4次産業革命への対応を進めている。

昨年にはシンガポールでインダストリー4.0の専門展示会「ITAP」も開催されるなど盛り上がりを見せている。

 

ASEAN各国で始まるインダストリー4.0

ドイツがインダストリー4.0をスタートさせたのは2011年。ほぼ同時期にアメリカでも取り組みが始まり、14年には中国と韓国へと波及。日本では15年に、第4次産業革命を推進する主体組織としてロボット革命イニシアチブ協議会(RRI)が設立され、本格的なスタートを切った。

ASEANでも、15年にシンガポールが「Smart Nation」を提唱し、16年にはタイが「Thailand4.0」、18年にインドネシアが「Making Indonesia4.0」、マレーシアが「Industry4WRD(インダストリーフォワード)を国策としてスタートしている。

 

ASEAN初の第4次産業革命専門展

18年10月、ASEAN地域で初めてとなるインダストリー4.0専門展示会「Industrial Transformation ASIA-PACIFIC Hannover Messe Event (ITAP)」をシンガポールで開催したSingEXのシニアプロジェクトマナージャーのヘンリー・チュア氏によると「ASEAN各国もデジタル化への取り組みをスタートし、特に始まったばかりのマレーシア、インドネシアはとてもアクティブ。シンガポールでは今は中小企業のデジタル化を進めている。とは言え、全域で見ればASEANの第4次産業革命は始まったばかり。言葉や内容を理解しはじめたところであり、本格的な取り組みはこれからだ」としている。

ITAPは18年10月16日から18日までの3日間、シンガポールのSingapore EXPOで行われたASEANで初めての第4次産業革命にスポットを当てた専門展示会。

SingEXが主催し、ハノーバーメッセの主催者であるドイツメッセとコラボレーションしてハノーバーメッセのASEAN版として開催されて非常に好評で、約2万㎡の会場に23カ国から266社が出展し、日本からも29社・団体が参加した。3日間の会期で、55カ国から1万5000人が来場した。

スクリーンショット 2019-02-06 16.18.06

 

インダストリー4.0の「学びの場」を提供

同展の位置づけは、ASEANに広がり始めたインダストリー4.0について「学びの場」を提供すること。各社の展示ブースはもちろん、会場全体でインダストリー4.0を知るための工夫が施されている。

例えば来場者のレベル分け。来場者は入場前に自らのインダストリー4.0の取り組みレベルを初心者、中級者、上級者から自己申告する。入場時にそれに応じた入場証(入場ステッカー)が渡され、会場では来場者が皆、体の見える場所に貼り付けて見学する。

これにより、各人は自らのレベルを客観的に捉えて学べるほか、出展者側もブースに来た来場者のレベルがひと目で分かり、レベルに応じた説明や話ができて効率的だという。

 

また会場では、107人の各国・各企業のキーマンが登壇した4つのカンファレンス、インダストリー4.0の基礎知識や各国の状況を説明するGateway to Industry4.0、会期中に多くの無料セミナーや技術解説等が行われるSandboxes、協働ロボットやAGV等の実機デモを行うLeaningLab、会期前から誰でも参加できるコミュニティサイトで、会期中には生放送でキーマンのインタビューなどを配信するInterchangeなど多彩な取り組みが行われている。

100を超えるガイドツアーは個社向け、学生向け、インドネシアやブルネイなど近隣国向けのツアーに加え、各国の視察団向けにシンガポールのインダストリー4.0の関連施設や日系機械メーカーの工場見学も含めたツアーなども行われている。

 

規模拡大、より実用的に

19年は10月22日から24日まで、会場はSingapore EXPOでの開催を予定。18年は2ホールでの開催だったが、19年は3ホールに増設し、出展者数も350社、来場者1万8000人を見込んでいる。

2回目の開催ということで、学びの場のコンセプトは変わらず、一方でより実用的な経営層向けのカンファレンスや中小企業向けのワークショップ、現場実装に向けた内容を増やしていくという。

ヘンリー氏は「シンガポールも人材不足や人件費高騰が国の課題であり、それを解決するためには自動化は欠かせない。他のASEANの国々も生産性向上やデジタル化の取り組みをしないと競争相手に勝つことができない。これからもっと多くの日本企業にも参加してほしい」と話している。

 

※展示会詳細や出展申し込みは、日本能率協会 ドイツメッセ日本代表部まで
ITAP2019公式ホームページ
https://industrial-transformation.com/


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。2016年5月〜「ものづくりニュース by aperza」編集長兼任。 趣味は釣りとダーツ