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シャープ戴社長「IoTによるスマート化の世界では一番強い」 (長町基,...

2016/11/7 IT media

シャープ戴社長「IoTによるスマート化の世界では一番強い」 (長町基,[MONOist])

 鴻海精密工業の支援により経営再建を進めているシャープは2016年11月1日、2017年3月期(2016年度)第2四半期の連結業績を発表するとともに、成長に向けた戦略を発表した。

 シャープでは2016年4月2日に鴻海精密工業との戦略的提携に合意し、同年8月12日には出資が完了。同年8月13日には新経営体制が発足し、新社長に戴正呉氏が就任した。2016年度上期は早期黒字化に向けた「経営資源の最適化」「責任ある事業推進体制」「成果に報いる人事制度」の3つの構造改革を具体化に注力した。下期以降は成長軌道への転換を図り鴻海とのシナジーの発揮、重点事業の積極投資、さらなる経営効率の向上などに取り組む。こうした取り組みで「遅くとも2018年度には東証一部への復帰を目指すとともに、輝けるグローバルブランドへの飛躍を目指す」(シャープ副社長の野村勝明氏)としている※)

※)関連記事:シャープの“膿”は出し切れたか、鴻海傘下でもエネルギーとディスプレイに不安

2016年度上期は営業黒字化を実現

 再建に向けて歩みを進めるシャープだが、2016年度第2四半期(累計)の決算は、売上高は9196億8500万円(前年同期比28.1%減)、営業利益は7900万円(前年同期251億6100万円の赤字)、経常損益は320億7600万円の赤字(同386億5900万円の赤字)となっている。

 売上高の落ち込みは携帯電話端末などの販売が減少したことからIoT通信分野が前年比38.5%減の723億円となったことや、主力のディスプレイデバイスがテレビ用大型液晶やスマートフォン向け中小型液晶が減少し同36%減の3575億円にとどまったことが大きく影響した。また、その他のセグメントも健康・環境システム分野はエアコン、冷蔵庫が落ち込み同7.7%減の1390億円。複合機が不振だったビジネスソリューション分野は、同 7.3%減の1596億円。エネルギーソリューション分野もアジアのEPC事業など海外は増加したものの国内の太陽電池販売の減少で同33.6%減の522億円となった。

 一方、営業利益はIoT通信が組織のスリム化、開発の効率化などにより、前年実績は大きく下回ったものの61億円を確保した。健康・環境システムは空気清浄機や、調理家電の高付加価値商品の販売拡大などで前年5.2倍の131億円を記録した。また、ディスプレイデバイスは中国での液晶テレビ事業の体質改善などの固定削減効果により前年と比べ赤字幅は縮小している。このうち、デジタル情報家電の業績は売価下落の影響はあったものの、国内で4Kテレビの販売を積極的に進めたことなどから黒字化した。



シャープの2016年度上期の連結業績出典:シャープ

 通期業績については、売上高がディスプレイデバイスの販売減などにより、同18.8%減の2兆円(同18.8%減)とするものの、営業利益は継続的に実施してきた構造改革の取り組みに加え、鴻海精密工業グループとの協業によるコストダウン効果などもあり257億円と、3年ぶりの黒字化を見込んでいる。また、親会社株主に帰属する四半期純利益も下期には黒字化を予想する。



シャープの2016年度通期の連結業績予想出典:シャープ

構造改革は順調に進行

 経営再建に向けた構造改革の具体的な取り組み状況を見ると、堺事業所への本社移転(2016年7月1日)、東京(芝浦)オフィスの幕張ビルへの移転(同年9月30日)など事業所や拠点の最適化を進めた。Roxyグループ(香港)との合弁解消(同年9月26日)、SMS(国内)の吸収合併(同年11月1日決議)なども行うとともに、人員の適正化、資金政策なども実施している。さらに2016年11月2日には、子会社であるシャープビジネスソリューションが保有するシャープビジネスコンピュータソフトウェアをNTTデータに譲渡することなども発表している。

 また、収益責任を明確化する分社化経営、集中購買の推進などのサプライチェーンの改革、統制強化などにも取り組んでいる。さらに、信賞必罰のための具体的な制度づくりを進めるとともに、各ビジネスユニットの人材の専門化を高め、事業の競争力強化を高めるためにローテーション制度の廃止や採用方針の見直しなども進めている。



シャープの構造改革に向けた具体的な取り組み出典:シャープ

シャープの構造改革に向けた具体的な取り組み出典:シャープ

成長軌道への転換

 並行して成長軌道への転換への取り組みも開始しており、有機ELディスプレイのパイロットライン投資や製品ラインアップの拡充など成長事業への投資を推進していく。協力会社からの生産設備の買い取り、出資や内製化を通じたサプライチェーンの一貫コントロールにより、キーテクノロジーを同社主導で強化していく。成長を担う人材の確保も行う。



成長軌道への転換のための具体的な取り組み出典:シャープ

 この他「One SHARPの考えのもと事業間のシナジーの最大化や全社経営資源の有効活用により全体最適を追求していく」(野村副社長)とオールシャープの総合力を発揮していく方針だ。



シャープ 取締役社長 戴正呉氏

 中期的な事業については「シャープならではの『人に寄り添うIoT』を実現し、当社が得意とする音声対話や人の行動分析などを生かしたサービスを軸に、クラウドでつながった身近な機器が一人一人の生活シーン全体に寄り添うようなスマートな世界を目指す」(野村副社長)とし、同社のもつAIとIoTを融合したAIoT技術やこれを搭載した商品群、ロボット技術、無線通信技術、各種センサーやディスプレイなどで強みを生かしていく。

 シャープ 取締役社長 戴正呉氏は「今の事業を全部しっかりやっていきたい。まず、販売を拡大して黒字転換を図ることを目指す。IoTの技術により、さまざまなものをつなげていくことでスマートホーム、スマートファクトリー、スマートシティなどを実現していく。シャープはこの分野は一番強い」などと業績回復への自信をみせた。



シャープが狙う「人に寄り添うIoT」と実現する「スマート社会」出典:シャープ

シャープが狙う「人に寄り添うIoT」と実現する「スマート社会」出典:シャープ


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