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エネルギー・電力改革と福島・熊本復興を基盤に、2017年度の経済産業政...

エネルギー・電力改革と福島・熊本復興を基盤に、2017年度の経済産業政策 (石田雅也,[スマートジャパン])

 8月23日に開催した産業構造審議会の総会で、2017年度の経済産業政策の重点テーマが固まった。未来に向けた民間の投資を呼び起こすため、4つのテーマを中心に政策を展開するのと合わせて、エネルギー・電力分野の改革と福島・熊本の復興を加速させる方針だ(図1)。

 このうちエネルギー・電力分野では、国内の資源開発を含めた「エネルギーセキュリティ」の強化をはじめ、省エネ・再エネを促進する「エネルギー革新戦略」、2015年度から着手した「電力システム改革」、さらに経済成長と両立する「地球温暖化対策」を柱に政策を実行していく。

 省エネ・再エネの促進策をまとめたエネルギー革新戦略は5月に閣議決定した。省エネ法のトップランナー制度を産業界に拡大するほか、固定価格買取制度(FIT:Feed-In Tariff)を改正して太陽光以外の再生可能エネルギーの拡大を図る(図2)。企業や家庭が節電した電力を市場で売買できる「ネガワット取引」の活用も盛り込んでいる。

 その一方で被災地の復興に向けて、「福島第一原子力発電所」の廃炉を進めるための技術開発や、ロボットと再生可能エネルギーの分野で新たな産業を創出する「福島イノベーション・コースト構想」を推進していく(図3)。福島沖で実施中の浮体式による洋上風力発電プロジェクトも構想の中に含まれている。

 再生可能エネルギーの分野では安倍総理が3月に打ち出した「福島新エネ社会構想」がもう1つの柱になる。この構想をもとに福島県内で風力発電を拡大しながら、再生可能エネルギーから大量の水素を製造する実証プロジェクトに取り組む計画だ(図4)。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの会期中に福島県産の水素を使って燃料電池車や燃料電池バスを都内で走らせることを目指す。

第4次産業革命でGDPを30兆円増やす

 加えて経済産業省は日本の産業構造を抜本的に変革する「新産業構造ビジョン」を策定中だ。IT(情報技術)による第3次産業革命に続いて、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの最新技術を駆使した第4次産業革命で世界をリードすることが最大の目標になっている(図5)。

 4月に公表した中間整理段階の報告書によると、第4次産業革命を通じて高付加価値・高成長型の産業構造に転換できれば、2020年度のGDP(国内総生産)を547兆円から592兆円へ拡大できる見込みだ(図6)。そのうち30兆円が第4次産業革命による付加価値で生み出される。

 新産業構造ビジョンの戦略分野は4つ挙げられている。既存の産業を横断する形で「健康を維持する」「移動する」「スマートに手に入れる」「スマートに暮らす」がテーマだ(図7)。この中でエネルギーが最も深く関係するのは、4つ目の「スマートに暮らす」である。

 全国すべての住宅でスマートメーターの設置が完了する2024年を契機に、電力の利用データを生かした情報サービスや関連機器の市場が拡大していく想定だ(図8)。スマートメーターは各家庭を結ぶIoTの中で情報発信源の役割を担う可能性が大きい。IoTが拡大してデータの活用範囲が広がると、医療・介護や住宅・生活関連産業全般に波及効果をもたらす期待がある。

 経済産業省は現在の日本が第4次産業革命のグローバル競争に勝てるかどうかの「分かれ目」にいると認識している。そうした危機感を背景に、9月から新産業構造ビジョンの検討を再開して、2030年に向けた長期戦略をまとめる予定だ。


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