インダストリー4.0の最新事情は?ハノーバーメッセ見学ツアー①フエニッ...

インダストリー4.0の最新事情は?ハノーバーメッセ見学ツアー①フエニックス・コンタクト

▼こちらからハノーバーメッセ2018取材フォトレポートをご覧いただけます。ハノーバーメッセ2018 国際産業技術見本市 取材フォトレポート

4月23日からドイツ・ハノーバーで行われた世界最大の産業見本市ハノーバー・メッセ。インダストリー4.0発祥の地・ドイツに、世界中から自動化や最適化に関する最先端の産業技術が集まり、大いに盛り上がりました。

数あるブースのうち、今回はドイツの産業用機器メーカーのフエニックス・コンタクトのブースツアーの様子をご紹介。どのような市場に対して、どんな製品を展開しようとしているのか?ご覧ください

世界最大の産業見本市ハノーバー・メッセってなにもの?

ハノーバー・メッセは、毎年4月末にドイツ北部の都市ハノーバーで行われる産業見本市です。主催はドイツメッセ。展示会場の持ち主が主催者になっているんですね。日本で言えば、東京ビッグサイトが主催と会場主を兼ねているような感じです。

世界最大の産業見本市というのはダテではなく、世界70カ国から6500社の企業・団体が出展し、会期中の5日間で約21万人が来場します。

昨年12月に東京ビッグサイトで行われ、とても混雑して賑わった国際ロボット展が13万人。それよりも規模が大きく、世界中のいたるところから最先端の技術が持ち込まれ、商談を行われるのが、このハノーバー・メッセです。
製造業に携わる人であれば、ぜひ一度訪れて欲しい展示会です。

フエニックス・コンタクトってどんな会社?

今回ブースツアーに参加したフエニックス・コンタクトですが、

・1923年創業のドイツ産業用機器メーカー
・日本法人は1987年〜。新横浜にオフィス
・コネクタや端子台など接続機器の世界トップメーカー
・PLCやネットワーク機器も揃え、総商品点数は6万点超
・2017年売上高22億ユーロ(約2900億円)
・従業員数1万6500人

という企業です。
端子台やコネクタなど配線接続機器が最も有名ですが、PLCやネットワーク機器なども世界で展開しています。

3000㎡級の巨大ブース。。。じっくり商談できるラウンジも

ブースの面積は約3000㎡級。超巨大です。。。
4分の3くらいが製品の展示スペースで、4分の1が商談エリアとなっています。

商談エリアはなんと3階建てのラウンジ!
1階はスタンディングカフェのような雰囲気で、2階はテーブルとイスが並び、座ってじっくりと話せる商談エリア。70〜80人くらいは座れるんじゃないでしょうか。3階はVIP用の個室があるスペシャルなエリアでした。商談エリア含む全エリアでドリンクの提供があり、コーヒや紅茶、ジュースなどが無料で提供されています。ドイツらしくビールもありました(ノンアルコールカクテルも)。一部ではおつまみや軽食もありました。

こうしたラウンジがあり、飲み物や軽食の提供があるのは、ドイツの展示会では普通のこと。ほとんどの巨大ブースではこうしたラウンジを設けてお客様をもてなしています。お客様を招待し、足を運んでくれた顧客とはじっくりとお茶をしながら商談をするのがこちらのスタイル。どちらかというと製品を見せて説明するのが中心の日本とは大きく異なり、人と人との面談による商談が中心。こうした文化の違いを楽しむのもまた一興です。


商談エリアからブースを見た感じ


日本から来たツアー客をおもてなしするCEOのフランク・シュトルンベルグ(Frank Stührenberg)氏

今回の目玉はPLCnextテクノロジー

ブースの目玉は、同社がいま最も力を入れているPLCnextの紹介。

製造現場にあるさまざまな機器をつなげて便利に使おうという取り組みが進む一方で、PLCのプログラムはラダーなどPLC言語、その他の機器や装置はC/C++等の汎用プログラミング言語や、MATLAB/Simulink等の開発環境が使われていたりと、そもそも言語が異なります。この言語の壁は大きく、もっとつながる世界を作ろうとしたら、この違いをうまく吸収または解消することが必要となります。
それを実現したのがPLCnextで、PLC言語と汎用プログラミング言語の両方でプログラミングできるという画期的なPLCのプラットフォームです。

ブースでは、PLCnextとはどんなものか?をプレゼンテーションで説明したほか、ワークショップのようなものを行っていました。

産業別ソリューションを中心に紹介

ツアーでは、主に産業別ソリューションを中心に紹介。

■■EV向けソリューション■■
ヨーロッパをはじめ世界で急速に広がっているEV(電気自動車)シフトを背景とした「EV向けソリューション」。100kVでの高速給電できる盤や、充電ステーション向けに複数の充電器をコントロールできる盤ソリューションを展示していました。充電方式の世界各国の違いも紹介していました。

■■監視カメラソリューション■■

■■インフラ向け  トンネル照明制御ソリューション■■
インフラ関連ではトンネル内の照明の制御ソリューション。トンネルの出入り口では明暗差で視界がなくなって危ないので、トンネル内で光を調節していって明暗差を減らして事故を回避しようというソリューションです

■■製造ソリューション マスカスタマイズができるデモ装置■■
製造ソリューションでは、マスカスタマイズをデモ。レーザーマーカーでペンに名入れするデモ機を展示していました。

■■工場向け照明制御ソリューション■■
工場内でも働く場所と人によって最適な明るさは異なります。それを制御して省エネにつなげようというソリューションです。

■■電力向けソリューション① 太陽光発電向け盤■■
太陽光発電向けの盤で、送電のコントロールをするデモ。発電所のオーナーがどれくらい送電し、どれくらいを自分で使うかを制御するためのものだそうです。

■■電力向けソリューション② 風力発電向け保護ソリューション■■
いまヨーロッパでは風力発電が広がっています。でも風力発電は落雷の恐れがあるほか、寒い地域で野ざらしなので凍ってしまうなどの障害があり、対策をしないでいると発電効率が下がり、メンテナンスの手間もかかってしまうそうです。
そこで同社では、落雷があった時にどれだけのサージ電流が流れたかを計測して管理者に知らせてくれるセンサ、ブレードが寒さで凍るのを防ぐセンサ、強風の時にブレードに力がかかり過ぎていないかを測るセンサをまとめて保護センサソリューションとして展開しています。

■■プロセス産業向けソリューション① バルブ開閉制御■■
オイル&ガス産業を想定した、バルブの開閉具合をセンシングしてデータを蓄積するソリューション。通常、バルブの開閉は人が行うので、どれだけ開いているかが詳しく分からなかったり、どういう状況の時にどれだけ開ければいいかが人の経験や技術に依存してしまいますが、それをセンサで検知して知見を溜めて最適な制御ができるようにするという利点もあるとのこと。

■■プロセス産業向けソリューション② 液体管理ソリューション■■
化学産業向けにレベルセンサを使って日々の液量と温度を管理し、異常の予兆が出たらアラートを発信するソリューション

■■スマートプロダクション 盤製造支援ソリューション■■
そしてスマートプロダクション。盤の製造の支援ソリューションですね

ソフトウェアで制御盤の設計をしたら、その情報が製造工程でも引き継がれ、どの端子台をどこに取り付ければいいかといった作業支援などを行ってくれます。技術者の作業を前もってガイドしてくれることで作業スピードのアップとミス防止につながります。写真は支援機能がついた作業台ですね。

見事に設計された盤。配線もキレイです。会場ではこの盤を使ってPush-in端子台の体験デモも実施していました。

配線前のケーブルの準備も一苦労。ケーブルの皮剥きから末端の処理まで電動でサッとできる便利工具

このほかラベルプリンタなどマーキング装置も

とこんな感じでソリューションを一通り巡るツアーは終了。色々な用途、産業で使われている、使えるんだという印象を受けました。

製品展示 今回発表の新製品なども

ブースではソリューション展示の他にも各製品ごとの展示も多数。今回に合わせた新製品も

新製品の超薄型サーキットブレーカー「PTCB」

電線を挿入してレバーを下げるだけで結線できるプリント基板用コネクタ「LPC/LPCH6」(新製品)

M12コネクタの新製品「M8 Dコーディング」

IO-Link対応の安全スイッチ「PSRswitch」

などなど。ここに紹介したのは製品のごく一部で、まだまだたくさんありました。

★参考:2018年フエニックス・コンタクト新製品

ハノーバーメッセは産業見本市という大きなくくりで、そこには工場やプラントの自動化もあり、ビルやインフラの管理、エネルギー管理、物流ソリューション等もあり、とても幅の広い展示会です。そのためフエニックス・コンタクトのブースも、FAだけでなく、インフラやEV等の展示を見ることができました。日本の場合、特定の業界や用途に展示会が細分化されていて、なかなかここまで幅広い展示は見られないので、一回で2度、3度美味しい思いができた気がします。

また、EVや風力発電、インフラ関係などの展示に力が入っていて、ヨーロッパまたは世界ではこの分野に力が入っていることが感じることができました。同社以外のブースでも、これらの分野の展示が必ずあったのが印象的でした。
こうした展示会では、お目当の製品や企業を見ることができるのはもちろんですが、どこ向けにどんなものを訴求していたかを見ると、今の産業トレンドがわかります。そういう見方ができるのも大規模展示会の醍醐味ですね。

参考:フエニックス・コンタクト

 

▼こちらからハノーバーメッセ2018取材フォトレポートをご覧いただけます。ハノーバーメッセ2018 国際産業技術見本市 取材フォトレポート


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。2016年5月〜「ものづくりニュース by aperza」編集長兼任。 趣味は釣りとダーツ