【中国の自動化 最新事情①】日沖電線(常熟)原淳総経理に聞く

【中国の自動化 最新事情①】日沖電線(常熟)原淳総経理に聞く

FAと医療業界に注目 ローカル化推進 ハイエンド市場開拓

「中国製造2025」で国の強力なバックアップを受けて急速に進む中国の自動化市場。既存の機器や装置の自動化、ロボットなど新たな自動化装置の開発、製造現場の自動化など、あらゆる切り口で自動化熱が高まっている。そんな中、中国に進出している日本企業は中国市場をどう見て、対応しているのか? 電線・ケーブルメーカー大手の沖電線の現地法人となる日沖電線(常熟)有限公司の原淳総経理に、3月4日から6日まで広州で開催された産業オートメーション、自動化に関する専門展示会「SIAF-SPS Industrial Fair Guangzhou(広州国際オートメーションテクノロジー専門見本市)」の会場で話を聞いた。

—— 中国の自動化市場はいかがですか?

中国でも3Kや単純作業を嫌がる人が増え、人手が足りなくなっている。多くのローカル企業がロボットなど自動化装置を作っていて、単に重いものを動かすだけ、細かな制御が必要のない作業にはそうした中国製品が使われている。精度が必要な作業のロボット化や、自動化装置の核となるサーボモータなどは欧米や日本の製品が選ばれる傾向があるようだ。

医療関連も大学や研究機関に莫大な開発費が投入され、教授が自ら起業するなど研究からビジネススタートまでの期間が短いのも特徴、そのせいか医療でのサンプル注文は多い、ただ医療は量産までは(臨床試験などで)時間を要するが、それに比べて自動化のFA関連は量産立上りが早い。

 

—— 御社の中国でのビジネスはいかがですか?

当社は電線・ケーブル、フレキシブル基板(FPC)、放電加工機用電極線の3つを主力製品としている。中国は10年前に放電加工機用電極線の製造でスタートしたが現在製造は日本で対応している。現在は放電加工機以外の製品の販売に力を入れている。中国にも電線・ケーブルのローカル企業はたくさんあり、価格競争では厳しい。しかしローカル企業は複合ケーブルや高屈曲性能、細かい信頼性試験データなどの提出などやハイグレード分野への実績などは苦手としており、当社はそうした分野に注力している。

例えば、中国のマシンビジョンやAOI、検査装置ではGig-E Visionが80%と圧倒的に使われている。当社は中国市場向けとして、Gig-E Visionケーブルと通信、I/O線を一体化し、省配線と屈曲性、耐久性に優れた複合ケーブルを開発し、中国の医療機器メーカーに実績が上がっている。ローカル企業でも複数のケーブルを束ねてひとつにすることはできるが、一本化の高性能製品まではできない。同様に、EtherCATで大電力機器への電源供給性能を高めたケーブルも提供スタートした。


 

—— 特に注力している市場や業界、アプリケーションは?

いま中国政府は医療機器に力を入れ、輸出産業にできるように開発に強く後押ししている。実際に体外診断装置(IVD)では中国企業のシェアは高く、伸びている。

当社も医療機器関連を有望と見ており、4月に上海のICMD(中国国際医療機器設計製造展)、10月には深圳のICMDに出展する予定だ。当社のFPCは医療機器などで日本で多く採用されている。ローカル企業も単純なFPCは作れるが、屈曲性や長尺などの対応はなかなかできない。ローカル企業の製品に比べて価格は高めだが、中国企業で対応できない製品を市場展開したいと思っている。

またデータ転送量の拡大や耐久性の需要拡大に合わせ、FAやインフラ関連に光ケーブルを提案していく。中国の光ファイバーはFTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)などですでに普及しているが、当社は通常の全石英よりもコアが広いため安定性、屈曲性や汚れ、耐熱性に優れ、安定した伝送が可能なHPCF(ハード・プラスチック・クラッド・ファイバー)をFAやインフラ市場へぜひ中国でも広めていきたい。

 

—— 今後に向けて

現在、品質を管理するのが難しい中国では自社生産はしていない。ローカルメーカーの製品を使い、それで満足しなかった、失敗したという顧客が多く、日本から持ってきた方がメリットはある。しかしスピード対応が求められるので、営業拠点と倉庫を中国各地に設け、きちんと在庫を持って即時対応できるようにしている。

中国は、今後は世界の(下請けの)工場という位置づけから、(例えばEV車などで)独特なチャイニーズスタンダードを形成していくのではないかと思う。また急速に今までの国内市場への販売がメーンであった企業も、国内で普及した後、他の地域に輸出して広げていく(一帯一路などの強力な政府の後押し)という流れがあり、そこには注意しなければならない。

また中国企業の研究開発も盛んで(例えば)ある大手の日系企業でも、中国で製品規格から設計、開発、マーケティングまで行う組織を整備し、ローカル化を進めている。当社は今後も、ローカル企業の近くで密に連携することで現地の需要を捉え、展示会などでも顧客動向に注意、品質は日本で徹底管理しローカル情報も製品開発にフィードバックするような活動を継続していきます。

参考:沖電線
参考:日沖電線

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1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。2016年5月〜「ものづくりニュース by aperza」編集長兼任。 趣味は釣りとダーツ