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《難解》な若手技術者の技術報告書

《難解》な若手技術者の技術報告書

技術報告書の大切さは何度も述べているので認識されてきてはいるのですが、そもそも書かせたものの内容の意味がわからない、つまり《難解》である
というケースが非常に多いようです。

原因の一つとして真っ先に挙げられるのが、

「文章作成力不足」

です。

 

当然ながらこれは一因であることに疑いの余地はありません。

文章作成力を鍛えるのに最重要なのは文章を作成するという「経験」です。

ところが、ここで忘れられがちなことが一つだけあります。

 

それは、

「そもそもなぜこの報告書を書かなくてはいけないのかという“背景”に関する説明が不足している」

ということです。

 

自分でテーマやプロジェクトを動かすレベルにあれば、

「自分で考えていることなので、背景含めて理解している」

というのは当然のことです。

 

しかし、若手技術者の多くは、

「これやっておいて、あれやっておいて」

といわれとりあえず仕事を進め、その上で、

 

「報告書書いて」

といような仕事の振られ方をしているかもしれません。

そうすると、やったことを何となくまとめることはできたとしても、

 

「何故これをやったのか」

「この結果によって得たいものは何なのか」

というところまで思考が到達することは困難です。

 

これを能力不足と判断するのはやや勇み足というべきです。

特に多くの仕事を振られている場合、自分自身の処理能力が不足し深いところまで考える余裕がなくなります。

そこに追い打ちをかけるように、

 

「報告書の内容が意味わからないぞ」

と失跡しても若手技術者を追い詰めるだけです。

それよりも、

 

「今回やってもらったことは、こういう背景があって、こういうことを知りたいためにやってもらったことである」

ということを報告書作成前にきちんと説明することが重要です。

これにより、若手技術者を指示している指導者と同じ思考回路に近づいてきます。

 

こうなって初めて、

「文章作成力はどのくらいなのか」

ということを議論できるようになるのです。

 

技術報告書を書かせる前の背景説明。

是非、日々の業務の中で心がけてください。


東京工業大学工学部高分子工学科(有機化学)卒業後、ドイツ研究機関 Frauhofer Institute にて1年間医療材料研究のインターンを終了し、東京工業大学大学院修士課程(高分子応用研究)修了。学術論文一覧は研究者向けSNSである ResearchGate にて公開中。◎大手機械メーカーの航空機エンジン部門にて、10年以上にわたりFRPに関連する業務に従事。社内試作から始まったCFRP航空機エンジン部品の設計、認定開発、海外量産工場立ち上げを完了。本部品は先進性が高いという評価を得て、世界的FRP展示会 JEC にてInnovation award受賞。新規FRP材料研究においては、特許や海外科学誌への論文投稿掲載を推進し、Polymer Journal、Polymer Compositesをはじめとした科学誌に掲載。◎主な著書に『CFRP~製品応用・実用化に向けた技術と実際~』(共著)など。◎Professional member of Society of Plastics Engineers( SPE; 米国プラスチック技術者協会)◎– 高分子学会(The Society of Polymer Science) 正会員◎– 繊維学会(The Society of Fiber Science/Technology)正会員◎– NPO インディペンデント・コントラクター協会(IC協会)正会員◎– 国立大学法人 福井大学 非常勤講師 http://engineer-development.jp/