ものづくりニュース by aperza

《将来に対する不安》を抱く若手技術者を導くには

《将来に対する不安》を抱く若手技術者を導くには

若手技術者が抱くものとは

入ったばかりの新入社員は、恐らく目の前のことをがむしゃらにやる素直さがあると思います。

ところが、ある程度経験を積んでくるとがむしゃらにやるだけでは自分は成長できないのではと考えるようになるタイミングが出てきます。

いわゆる「将来に対する不安」というものです。個人差はありますが、概ね30歳前後、もしくは入社5年目の頃が多いようです。

  • この仕事を続けて先に何があるのだろうか
  • 今の自分の技術者としてのスキルレベルはどのくらいにあるのだろうか
  • 周りに目指すべき姿を有する上司や先輩がいない

このような気持ちになると一つ大きな問題が生じます。それが、「モチベーションの低下」です。

自分が目指すべき姿を描けないことによる不安が増大し、仕事に対するやりがいを失ってしまうのです。これは日々の業務効率の低下やアウトプットの質の低下といった多くの問題につながってしまいます。

このような状況にならないよう「自分の目指すべき姿は何か」ということを明確化するための知見を若手技術者に対して事前に積ませておくことが重要です。

「目指すべき姿」を明確化するための知見とは

目指すべき姿は何か、という事を明確化するために蓄積すべき知見。それは、「“軸足を持ちながら”広い仕事を経験させる」ということです。

この“軸足を持ちながら”というところがとても重要です。やたらめったにさまざまな職種を経験させてジェネラリストを育成するというのとは違います。

技術者としてはじめに経験した職種を軸として、それに関する職種を可能な限り幅広く経験させるのです。これによって一つの柱の両側に裾野が広がるようなスキル体系になり、視点が広くそして高くなっていきます。

 

この視点を持つことこそ、自らが目指すべき姿を見失ったときに「自分の目指すべき道筋は何か」という道筋を見つけるにあたり必須のスキルとなります。

若手技術者が中堅になってからも高いモチベーションを維持するには、常に目指すべき姿を見失わないことが重要です。

技術者が若手のうちから“軸足を持った幅広い経験”ができるよう、業務経験をさせるよう心掛けてください。


技術者育成研究所所長・FRPコンサルタント。入社2~3年目までの製造業に従事する若手技術者に特化した法人向け人材育成プログラムを提供し、自ら課題を見つけそれを解決できる技術者育成サポートを行う。◎東京工業大学工学部高分子工学科卒業後、ドイツにある研究機関 Fraunhofer Institute での1年間のインターンシップを経て同大学大学院修士課程修了。その後、複数の大手メーカーにて技術者として勤務。専門外の企業に転職したときは周りの会話についていけないという苦境に陥るが、試行錯誤の末に活字を基本とした独自の思考法を確立、開発最前線で成果を積み上げたことにより最先端研究プロジェクトリーダーに昇格。また、自らの立ち直りに実践した思考法を応用した技術者育成法により、技術者人材育成に悩みを抱えていた事業部から、多くの自発的課題発見/解決型の技術者を輩出。当時評価の低かった若手技術者を事業部最年少海外駐在者として送り出すなど、技術者教育でも高い評価を得た。◎11年にわたる企業の技術者勤務の後、自らの専門性を生かし複数企業と直接顧問契約を結ぶFRPコンサルタントとして独立。川中から川下の企業の研究開発最前線での技術指導、サポートを行う中で多くの企業が技術者人材育成に苦労している実情に直面し、専門性を生かすも殺すも人材に大きく依存することを実感。さらに自らの技術者人材育成経験から技術者育成には一般的な人材育成と異なる技術者に特化した「技術者人材育成」が必要という考えに至った。その後、技術者に特化した人材育成プログラムがほとんど存在しないことに着目して「技術者人材育成研究所」を創業、FRPコンサルタントとしてFRPに関連する高い専門性の技術指導やサポートを行う一方、現場の技術者の人材育成にも精力的に取り組んでいる。◎主な著書に『CFRP~製品応用・実用化に向けた技術と実際~』(共著)など。◎Professional member of Society of Plastics Engineers( SPE; 米国プラスチック技術者協会)◎– 高分子学会(The Society of Polymer Science) 正会員◎– 繊維学会(The Society of Fiber Science/Technology)正会員◎– NPO インディペンデント・コントラクター協会(IC協会)正会員◎– 国立大学法人 福井大学 非常勤講師 http://engineer-development.jp/