標準作業
トヨタは機械加工工程の自動化は非常に進んでいる。
すべての作業に標準作業票が作られている。
しかし人の作業は大幅に単純化されており、標準作業票を作るのは比較的楽だと思う。
今、中国の工場へ来ている。
ここでは刃物を手動送りしている。
したがって、1個の加工時間は極端に長い。
その標準作業票を作ろうと思うと、トヨタに比べて非常に大変だ。
ということで、今まで作られていなかった。
ということは、すべて作業者任せだったということだ。
品質不良が出ても、それを追求していくツールが何もなかったわけだ。
これでは管理者がいくら、品質不良追求と叫んでもなにもできなかったわけだ。
現場の監督者にしても、新人に仕事を教える場合すべて実演と口頭説明だ。
これでは教える方も、教えられる方も大変だ。
教えられる方はメモしなければならない。
メモさせるぐらいなら、事前に文章にして読ました方が楽だし、何度も使える。
その点を、現場の監督者にといて協力をとりつけた。
あとはやるしかない。
その気になってやり出せば、なんとかなる。
やり方は極めて簡単だ。
(1)作業の順に、口頭で新人に伝える言葉をすべて文章にする。
その中には品質チェックのタイミングや内容、その他作業の急所など伝える側の頭の中にあることをすべて入れる。
(2)作業をビデオに撮り、各項目の時間を記録する。
たったこれだけでいいのだ。
ところで、外注メーカーの品質不良も多発している。
これは、外注メーカーへ生産委託する前に、内製で実際に作ってみた上で、上記のような標準作業票をきっちりつくり、その上で外注メーカーに作業指導をしなければならない。
そのような指導もせず、ただ図面を渡して終りでは、特に中国で満足のいくものが納入されるわけがないではないか。
話は変わるが、戦線離脱していった副総経理がまだ帰ってきてくれない。
機械加工の現場を覚えられる絶好のチャンスなのに、本当にもったいない。
機械加工は切粉や油で大変だが、非常に奥深い。またそれゆえに難しく、一朝一夕には覚えられない。
この工場の「真打」になるには、どうしても完璧に機械加工を習得し、品質問題などにも陣頭指揮をとらなければならない。
この「真打」にならずして、他の管理業務やマネジメントを覚えたところで上滑りのもになってしまう。
私の弟子の喬君ばかり頭がよくなってしまう。
ところで、その喬君がタバコを吸っている。
何回もタバコをやめるように言っても馬耳東風だ。
意を決して、「タバコやめないと弟子にしてやらないぞ」と脅したところ、「はい、やめます」と即答だった。
明日、本当にやめたか確認してみる。