POCシステムとは

POCシステムとは

概要

POCは、Point of Careの略で、医療実施時点管理システムという。

これは、リアルタイムな処方指示を行うと供に、投薬ミスや患者取り違いなどの医療過誤を防止するための医療管理システムのコンセプトである。

医療現場の課題

我が国のみならず世界の医療現場では、調剤や投薬の事故が多数発生している。

これらの事故原因は、医療体制や組織の不備、医療事故防止のための原因究明不足、医薬品・医療材料の処方および処置の混乱等であると報告されている。

また、業務面からみた事故原因は、医薬品・医療材料へのラベル貼付間違い、類似名称による処方・処置ミス等であると報告されている(出典:American Society of Health system Pharmacist, Inc.)。

 

業務面の事故防止のために世界の医療業界で注目され、利用されているのがバーコードである。

医療従事者、すなわちヒトの判断や勘違いによる事故は、バーコードを利用することによって完全に解決することはできないが、類似名称による処置ミス、誤投与の防止に大変有効である。

また、使用実績管理、在庫管理、発注管理等の業務をシステム化することにより、医療事務の合理化、在庫削減、医師・看護士の評価が可能である。

 

さらに生物由来製品をはじめとする医療資材の製造、流通、販売、処方等における記録・保管・報告業務の義務化に対応するには、バーコードによる業務システムの実現以外にその方法は見当たらない。

投薬の指示と確認

医師は、患者を診断し処方箋を作成する。次にその処方箋に従って調剤され、医師・看護士によって投薬される。

そして、その実施実績がカルテに記録される。ここで、診断してから投薬されるまでの時間は、緊急でない限り数時間を要しているので、患者の容態が急変した場合は、頻繁に処方の変更が行われる。この変更が投薬ミスを増加させている。

そこで、処方箋を電子データで調剤室や看護士にリアルタイムに伝達する必要があり、そのために看護士が無線ターミナルを携帯するようになっている。

 

投薬するときは、患者を確認し、次に処方箋と薬品を確認する。

ここで、名前の似た患者による患者確認ミスや、品名の似た薬品による薬品確認ミスが発生する可能性が生じる。

そこで、患者と薬品にバーコードを付け、ハンディターミナルにある処方箋データと照合すれば、これらのミスを大幅に削減することができる。

 

また、同時に、看護士コード、検温データ、脈拍データなどを入力すれば、電子カルテとして履歴管理することもできる。

このシステムを実現するためには、バイアルやアンプルなど投薬単位(使用単位)にバーコード表示が必要であり、これらは表示面積が小さいので、省スペースシンボルRSSが使用される。

また、分封された錠剤は、袋単位に患者コードまたは処方コードのバーコードを貼付する。血液バッグは、ISBT128によるバーコード表示が行われている。

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▲リストバンドによる患者確認

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▲RSS表示されたアンプルとバイアル

検体検査

血液、尿などの検体検査は、患者とサンプルの照合が不可欠である。

従来は、サンプルに患者の名前を記入していたが、類似した名前による入力ミスを防止するためにバーコードを貼付する。

検体検査装置では、サンプルのバーコードを読み取ってから検査するので、早く正確な検査が可能となる。

 

バーコード情報は、患者のIDにするのが一般的であるが、サンプルの連続番号と患者のIDを紐付けすることもできる。

また、2次元シンボルを使用すれば、サンプルに検査項目情報を入れることもできる。

履歴管理

牛や豚などから作成した医療材料や血液製剤など、生物由来の医療材料・医薬品は、法令でその履歴管理が義務付けられている。

これを行うためには、商品名の他に、ロット番号やシリアル番号の情報もバーコード化されていることが望ましい。

これらの情報を小さいスペースに印刷するために、EAN.UCC複合シンボルが使用されている。

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▲商品コード、有効期限、ロット番号の表示された錠剤の例

在庫削減

多くの医薬・医療材料は、有効期限が存在する。したがって、有効期限を管理しないと有効期限切れにより破棄することになる。

現状、多くの病院では、有効期限切れによる大きな損失を出している。これは、医療材料・医薬品に表示されている有効期限の殆どは文字であるために、データ入力せず目視管理になっていることが原因である。

そこで、有効期限のバーコード化が必要となっている。外箱や中箱は、UCC/EAN-128が使用され、使用単位包装では、EAN.UCC複合シンボルが使用されている。

 

提供:アイニックス株式会社


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。