KZ法とは
KZ法のKは改善、Zは全体を表します。社長を筆頭に全員が現場で現物を前にしてワイワイガヤガヤと議論をすることで全体を把握し、最も役に立つ全体最適の改善をみんなで実行する方法です。
具体的な方法ですが、参加者全員が、一人30枚のカードを持って、その現場にあるひと月以内に使わないと思われるモノや問題があるモノにカードを貼ります。そしてそのカードを貼られたモノを外に運び出しますが、その時に場所を3つ用意しておき、それぞれに分類します。
①不要品
②不急品
③要品
不要品に分類されたモノをみんなで見ながら、これは何だろう? どうして捨てることになってしまったのだろう? これからどうしよう? といった議論をします。
するとそれぞれの人からいろいろなアイデアが出てきます。例えば、根本的な設計の問題、買い過ぎなどの調達の仕方の問題、品質管理や生産管理上の問題が見えてきてみんなで協力して行う改善ができるようになります。
そして要らないモノ・使わないモノを捨てることによって、職場はビックリするほど広くなります。
これからもっと多くの仕事を取って会社を発展させるためには場所が必要です。これまでは場所が無いので諦めていた仕事を、自分たちで場所を生み出すことで銀行からお金を借りるなどのリスクなしで始められます。
不急品はいつも使うものではないので、元の場所には戻さず、使う時に取りに行くようにします。これによって現場がすっきりして仕事がしやすくなります。
要品は使い易いように整頓して戻します。
その結果、それまでには手が付かなかった設計変更や購買方法の変更、あるいは営業部門と製造部門のコミュニケーションの改善など一部門だけではとてもできないことができるようになり、会社が大きく変わるきっかけができます。また不要品を捨てることにより、場所が大幅に空き新しいチャレンジができるようになります。
KZ法の実行を通じて、これまでに気付かなかった全社的な問題点が把握され、その改善実行のために必要なメンバーが分かるのでその場で決定し、加えてそれをすぐにやりたくなるモチベーションが生み出されます。
会社はみんなが仕事を手分けして運営します。設計が設計し、営業が注文を取り、技術が工程を敷き、調達が材料を仕入れ、製造が製品を生産し、物流が運搬し、代金を回収しています。
このやり方が一番効率的ですが、その結果、自分のことについてはプロだけど全体については全く知らない人ばかりの集団になります。一部しか知らない人が何人集まっても全体最適の議論はできません。
しかしKZ法を通じて、それぞれの人が目の前の製品に関して自分とのかかわりや、やりたいことを語る中で、全員がその製品の全体を理解し、全体最適の議論が具体的に始まるのです。
そしてこれで日本人が得意な「知のすり合わせ」を実行することになるのです。