工場向けIoT入門キット 最新動向(2018年末版)“お試し”で終わらない“ずっと使える”IoTキット
思い返してみると、2017年はIoT狂想曲とでも言えるような、誰でも何でもIoTで、中堅・中小製造業にとっては分かりにくい年だったように思います。
2017年のアペルザカタログのダウンロード数トップ50のうち、半数近くがIoT関連、そのうち1/3程度が、POCや体験するための5万円〜30万円程度の簡易なトライアルプランや、簡単なセンサ・ゲートウェイ・ソフトウェアをセットにしたキットでした。(2018年は、IoT/AI以外もまんべんなくダウンロードされています)
また、昨年から今年頭の展示会においては、ITベンダー、技術商社、システムインテグレーター、機器メーカー、総合メーカーなどあらゆる企業が、IoTの「POC」「トライアル」「導入キット」といった名称で、種々雑多なサービスを展示していましたし、「IoTプラットフォーム」という言葉が濫用されていたように思います。
当時、展示会やカタログ掲載企業へのヒアリングを行っている中で、いくつか気になる特徴をもつパターンがありました。
- トライアルやPOCを銘打ちながら、数ヶ月の「トライアル / POCの内容と、その後の本格検討の内容が大きく異なり、コストも一桁以上変わる」ものが散見され、トライアル / POCが使い捨てで、かつ本格検討との差が大きくPOCで中断しかねない
- Raspberry Piなどの小型PCの自作など、「安価だが手間」がかかることと、「長期運用」や、ライン全体の一元的な可視化などの「拡張性に不安」がある
- 信号灯外付けセンサの状態可視化のように、日曜大工的に導入可能だが、ソリューションの個性が出しにくく、「完成度が高い後発ベンダーに入れ替え」されそう
2018年の状況を見てみると、上記の懸念がかなり改善されているような印象を受けます。
一つ目に関しては、ハードスペックやソフトウェア機能を制限しつつも、トライアル / POCと本格導入を同一ソリューションで行うことで、ニーズに合わせて大規模拡張〜増設〜現状維持まで選択できるようになってきました。
二つ目、三つ目に関しては、信号灯などのもともと周辺機器であったものがメーカーやパートナーの純正品が中心になり、装置から簡単にデータを取得するタイプのものは、最初の指導以降はユーザができるようにしつつ、グラフ化などのソフトウェアを充実させてきています。
また中堅・中小企業向けに、あまりIoTプラットフォームという言葉を前面に出さず、具体的に効果が見込めるソリューションをPRしているように見受けられます。
アペルザカタログの特集ページでは、“複雑高度なソリューション”に関しては、できるだけ「導入時のベンダー工数が少なく」「ユーザ自身が定常運用できるように工夫」されているもの、“比較的単純なソリューション”に関しては、「ソフトウェアも含めた完成度が高い」と思われるもの、「導入から運用までほぼユーザができるもの」から、参考になりそうなカタログを厳選して掲載しました。ここに掲載したものが全てではありませんが、これらをきっかけに理解を深め、効果的な導入の検討の一助になれば幸いです。