HIOKI、バッテリハイテスタ『BT3561A』『BT3562A』『B...

HIOKI、バッテリハイテスタ『BT3561A』『BT3562A』『BT3563A』を発売 リチウムイオン電池の品質検査効率向上

日置電機株式会社は、バッテリハイテスタ『BT3561A』『BT3562A』『BT3563A』を発売した。従来機種が持つ高精度な計測に加え、測定エラー発生による自動検査ラインの停止を回避するために経路抵抗の許容範囲を改良、静電気耐性も大幅に向上した。自動検査システムの構築がよりスムーズになり、稼働中のダウンタイムも大幅に削減。生産量が急増しているリチウムイオン電池の品質検査の効率向上に寄与する。

HIOKI、バッテリハイテスタ『BT3561A』『BT3562A』『BT3563A』を発売 リチウムイオン電池の品質検査効率向上

開発の背景

現在、リチウムイオン電池はスマートフォンからEV(電気自動車)、電力系統の大型蓄電池まで、あらゆる機器の動力源として需要が急増しており、社会的な価値も向上している。高品質な電池を大量に供給するために、電池生産工場では高精度な検査ラインの高速化・自動化が進められている。そのため、多チャネル自動検査システムの実現と生産ラインのダウンタイムの低減が求められる。電池生産工場におけるこれらの課題を解決するために従来機種の設計を見直し、自動検査システムへの組み込みに最適な製品を開発した。
同社は長期経営方針「ビジョン2030」を掲げ、世界中の顧客と共に持続可能な社会づくりに貢献することを目指している。効率よく生産されることは製造プロセスでのCO2排出量の低減に繋がる。さらに、質の良いバッテリーは再利用が可能なため、最終的にはリチウムイオン電池のライフサイクル全体でのCO2排出量の低減が期待できる。

『BT3561A』『BT3562A』『BT3563A』の特長

1. 大規模な自動検査システムの構築が簡単に

従来機種と比較して経路抵抗(測定器と検査対象のバッテリーを繋ぐ経路の抵抗成分)に対する許容値が3倍に改良された。

HIOKI、バッテリハイテスタ『BT3561A』『BT3562A』『BT3563A』を発売 リチウムイオン電池の品質検査効率向上

経路抵抗にはシステムの構築に必要なケーブルやリレー(複数のバッテリーを測定する際に測定器とバッテリーの接続を自動で切り替えるもの)に含まれる配線抵抗やプローブの先端が摩耗すると発生する接触抵抗がある。これらの経路抵抗が一定値を超えると測定エラーが発生し、生産ラインがストップしたり、経路抵抗を抑えたシステム構築のためにコストと工数をかける必要があり、現場作業に支障をきたしていた。今回の許容値の大幅な改良により、経路抵抗の影響によるラインストップや構築工数が軽減されるため、とりわけ大規模な自動検査システムにおいて保守管理のためのランニングコストを大幅に低減可能。

HIOKI、バッテリハイテスタ『BT3561A』『BT3562A』『BT3563A』を発売 リチウムイオン電池の品質検査効率向上

また、多チャネル測定を実現するためにはリレーを使った切り替え基板を作製する必要があったが、手間がある上、測定誤差が生まれやすく精度が高い計測に向いていなかった。同社の多チャネル切り替え器であるスイッチメインフレーム『SW1001』『SW1002』は簡単にシステムに組み込めるうえ、測定誤差が小さく信頼性の高い多チャネル測定を実現する。

HIOKI、バッテリハイテスタ『BT3561A』『BT3562A』『BT3563A』を発売 リチウムイオン電池の品質検査効率向上

2. 静電気による故障を防ぎ、ダウンタイムを発生させない

バッテリーは搬送中に帯電する。そのバッテリーを検査すると、帯電した静電気による測定器故障に繋がる。新製品では静電気耐性が大幅に向上した。入力部に±30kVの静電気が印加されても故障しないため、測定器の故障によるダウンタイムが発生しない。
※試験条件:±30kV IEC1000-4-2 接触放電

HIOKI、バッテリハイテスタ『BT3561A』『BT3562A』『BT3563A』を発売 リチウムイオン電池の品質検査効率向上

3. LANインターフェイスを標準搭載

LANインターフェイスとRS-232Cインターフェイスを標準搭載している。PLC(機械を自動的に制御する装置)を利用した制御機器との接続にも柔軟に対応可能。

4. 従来機種からの置き換えがスムーズ

従来機種と完全な互換性があるため、生産現場での置き換え作業がスムーズ。測定器の交換作業によるダウンタイムが発生しない。

5. 生産過程で欠かせない検査を高精度に測定

リチウムイオン電池のパフォーマンスを検査するための内部抵抗測定(AC-IR)と、安全性を検査するための開放電圧測定(OCV)を高精度に同時測定することができる。
リチウムイオン電池は、使用用途により複数のセルを連結させたパック電池、モジュール電池の形態で活用されている。しかし、セルの品質にばらつきがあると、モジュール化した際に本来のパフォーマンスが発揮されない可能性があるため、セル段階で均一な品質で生産されることが重要になる。正確に効率よく計測することにより、初期段階でのセルのばらつきが軽減され、長寿命で安全なモジュール電池、パック電池の普及に貢献できる。

主な用途・ユーザー

  • リチウムイオン電池の製造プロセスでの品質検査、出荷検査工程、受け入れ検査工程
  • 高性能リチウムイオン電池セルのメーカー、電池パックのメーカー、生産設備製造メーカー

価格(税込)

  • バッテリハイテスタ『BT3561A』(60Vまでの小型パック向け): 231,000円
  • バッテリハイテスタ『BT3562A』(100Vまでの中型パック向け): 264,000円
  • バッテリハイテスタ『BT3563A』(300Vまでの大型パック向け): 308,000円
  • スイッチメインフレーム『SW1001』(3スロット):165,000円
  • スイッチメインフレーム『SW1002』(12スロット):308,000円

※スイッチメインフレームを使用するためにはマルチプレクサモジュール『SW9001』、または『SW9002』が必要となる。


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。