東北大学、記憶と演算を両立する革新的スピン素子を開発〜省エネAIチップ技術基盤〜
この記事の内容をまとめると…
- ノンコリニア反強磁性体と強磁性体の積層構造による双方向制御素子を開発
- 記憶と演算を統合する革新的スピン素子の原理実証に成功
- 省エネAIチップ技術への応用が期待される成果
マクロには磁力を持たないノンコリニア反強磁性体と強磁性体を組み合わせた構造により、記憶と演算を同時に担う革新的スピン素子の開発に成功した。双方向制御という新たな機能により、AIチップの省エネ化に貢献する技術として期待されている。
AIスピン素子詳細
東北大学の研究チームは、ノンコリニア反強磁性体と強磁性体の積層構造において、ある電流領域では反強磁性体が強磁性体を、別の領域では強磁性体が反強磁性体を制御する「双方向制御」の実現に成功した。この構造を用いた素子は、記憶と演算の機能を併せ持ち、アナログ情報の量や符号を事前にプログラム可能とする新しい機能を備える。
本研究は、AIチップに求められる高効率演算機能、特に積和演算処理における電力消費の課題に対し、省エネ性能の向上が期待される技術的基盤を提示したものである。ノンコリニア反強磁性体の特性を活用したこの成果は、次世代のコンピューティング技術への応用に向けた重要なステップとなる。