サンコーインダストリー、新型コロナワクチン職域接種 仕入れ先や飲食店と合同で
ねじ商社のサンコーインダストリー(本社=大阪市西区)が7月5日から、東大阪物流センター(東大阪市本庄西)を会場とする新型コロナワクチンの職域接種を行う。
職域接種は、接種者1000人以上、医師や看護師、接種会場の確保が実施要件となるが、中小零細企業では要件を満たすことが難しい。同社は、社員・パート・アルバイト合わせて455人で、その家族を合わせても接種希望者は約600人と1000人には届かず、同社の大阪府内の仕入れ先のうち中小零細企業124社、東大阪市内の飲食店約100社に声を掛け、合同での職域接種を申請した。
接種は、1回目を7月5日~10日に実施する予定で、各日とも医師1~2人、看護師5人~6人、同社従業員の運営スタッフ5~6人の体制で行う。2回目は8月2日~7日に実施する。同社の負担金額は500万円程度。
6月21日には物流センターの部課長が参加し、模擬接種を実施。想定する接種会場と同じ体制・レイアウトで、受付、問診、接種、待機の一連の流れを試し、課題を洗い出した。
合同接種を申請した理由について奥山淑英社長は「職域接種は大人数のところから実施しているが、あらゆる側面から接種を進める方がいいのではと、置き去りにされがちな中小、零細、飲食業の接種を進めたいとの思いで声を掛けた。当初1000人以上としていたが、2500人が集まった」と話す。「ねじのメーカーは、従業員が1ケタ~20、30人の会社が多く、一人も抜けられない状況。飲食店は時短要請などで最も影響を受けている。東大阪で生まれ育ったので、東大阪市内から先に打ってもらいたいという思いがあった」という。
実施に当たり、「接種希望者はすぐに集まったが、注射器を用いて接種できる担い手が見つからず苦労した。従業員が少ない企業や、飲食店の営業時間や定休日、夫婦は別の日になど、希望を聞きながらそれぞれの接種日を調整するのが難しかった」と奥山社長。「いち早く接種する方が変化に対応しやすく、経済的なメリットもある。1年近く外勤営業活動をしていないが、ワクチンを接種することで社員も安心感を得られると思う」と話す。
合同職域接種に参加予定の「中華そば 九兵衛」(荒本北2)店主の小野寺幹さんは「スタッフにもお客さんにも安心してもらいたいと、話をもらった時にいち早く打ちたいと思った。スタッフが若く、いつ順番が回ってくるか分からなかったので声を掛けてもらってありがたかった。営業方法は要請に従うので変わらないが、スタッフが安心して接客できる」と安心した様子を見せる。 ねじ製造の北螺子(らし)製作所(今米2)の北喜次社長は「社員は住んでいる地域も年齢もバラバラなので、全員で受けたいと思っていたところ、声を掛けてもらった。零細企業は複数名感染者が出ると仕事が止まってしまうので、全社員17人で受けることにした。感染者が出たらお客さまに迷惑を掛けてしまうので、安定して供給できるようになるとうれしい」と話す。
出典:サンコーインダストリー、新型コロナワクチン職域接種 仕入れ先や飲食店と合同で(東大阪経済新聞)